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第十一話「Boot Camp」④

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第十一話「Boot Camp」④

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 戻ってくると、こじろうや伝之助さんもやってきてて、雛乃達の訓練メニューもこじろうとカキザキくんを標的役にした実戦形式に移っているようだった。

 

 元プロ軍人のこじろうとカキザキくんとじゃ、動きも全然違うから良い練習になる。


 伝之助さんには、ご自慢の武器コレクションを持参いただいていて、露店みたいに、新旧取り混ざった銃火器がズラリと並べられていく。


 雛乃達の様子を見ると、ちょうど柿崎くんが蹴躓いてコケたとこへ、雛乃と美奈ちゃんが集中砲火かけて、フルボッコ中。

 

 加奈子さんが「そんなんじゃ、ドローンの方がマシ!」とか騒ぎながら、柿崎くんのとこへ走っていって、追い打ちキック! なんか…嬉しそうな柿崎くん。

 

 柿崎くん…キモいよ君。

 

 と言うか…二人共、結構上手くないか? 二人で連携してこじろうに当ててたし、柿崎くんあたりじゃもう回避パターン読まれてない? さっきから、全然、避けれてないよ柿崎くん。


 感心しながら見ていると、手持ち無沙汰な感じだったリンゴちゃんが寄ってくる。


 ちなみに、彼女のカッコは薄いピンクと赤のウッドランド迷彩模様のナース服とか、割とぶっ飛んだカッコ。

 この模様自体は…たまに町中でも見るけど…これ戦場じゃ目立つだろうな…。


 目は開いてるのか閉じてるのかよく解らない糸目。

 眠そう…と言うか睫毛が長くてそう見えるみたい。

 身体はちょっと小柄…150あるかないかってとこ…胸は…なんか大きい。


「ううっ、中室せんぱぁい…さっきはごめんなさいです。」


 そんな感じで、涙目で訴えられる。

 一応、失言だったって気付いたのね…まぁ、いい子っぽい。

 

 確かに柿崎くんちに行くとお茶出してくれたりしてたし、たまにお昼休みとかうちの教室に遊びに来たりしてたしなぁ。

 まんざら、知らない仲と言うわけでもないのだけど…。


「うん? …大丈夫、気にしないで…カナちゃんは話せば解る人だからね。

 それより、やっぱ篠崎ってそっちでも危険人物扱い…なのかな?」


「篠崎さんは…そうですね。

 うちのクラスで狙われた男の子が一人、それとそのコと付き合ってた娘がノイローゼになって…。

 結局、二人とも転校…他にも3年の先輩が一人犠牲になって…やっぱり転校。

 三年でも割と人気のある先輩だったから、三年女子の先輩達が武闘派10人位集めてシメようとしたんだけど、全員返り討ち…。

 黒後家蜘蛛ブラック・ウィドウなんて、あだ名もあるくらい…。

 けど、一年の女子の間でも、ヤバい子って有名なんで誰も何も言えないんです…。

 杜若先輩でしたっけ? 空手部のものすごく強い先輩…。

 あの人とたまに校舎裏でカンフー映画みたいな感じで殴り合ってるのとか、皆、知ってますからね。

 けど、先輩が手懐けてるのを見て、猛者がいるって話題沸騰中だったりっ!」

 

 やっぱり、そんななのか…篠崎。

 思ったより酷かった…犠牲者13人とか酷すぎる…大山くん達を入れたら、16人も…うわぁ…。

 ブラック・ウィドウとか…何? そのあだ名。

 

 …確か交尾後にメスがオスを食っちまうって、おっかない毒蜘蛛…似合い過ぎ…。

 

 と言うか、猛者ってなんだ! 猛者って!

 

「そ、そっか…僕ってもしかして有名人?」


「まぁ、それなりに…と言うか、かなり?

 でも…割とカッコイイって、騒いでるコも結構いますよ?

 皆、篠崎さんのせいで表立って、手が出せないってだけで…。

 確かに…こうやってみると結構イケメンさんだし…中室先輩…うん、確かに悪くない!」

 

 そう言って、ニッコリと笑いかけてくるリンゴちゃん。

 と言うか、僕ってそんなんだったの?

 

 たまに一年の娘達にすれ違いざまになんか噂されたりしてたのは知ってた。

 あれって、篠崎のせいで色々噂されてると思ってたんだけど…。

 アイツ居なけりゃ、後輩とかに意外とモテててたのか?

 

「そうだ! まず、兄貴繋がりのお近づきの印って事で、フレ交換とかどうです?

 兄貴以外にガンフロでリアルでも知り合いっていないんで…それに同じメディック系なんですね!

 私もネトゲじゃ、回復職ばっかりなんですよ! 気が合いますねっ!」

 

 そう言って、リンゴちゃんに手を握られるとブンブン振り回される。

 何と言うか…妙にパワフルな感じの娘だった。

 

「ま、まぁ…いいけど? メディック系のフレって初めてだなぁ…。

 いいよ…可愛い子のフレなら歓迎だよっ!」

 

 リンゴちゃんからフレ申請が飛んできたので受領。

 

「やった! まずはガンフロでフレになれたって事で、一歩リード!

 バカ兄貴に感謝っ! んじゃ、さっきのちっこいお姉さんに睨まれないうちに、リンゴちゃんは撤退します!

 兄貴ーっ! 私、用事思い出したから先帰るねーっ! 皆さん、お邪魔してごめんなさーい!」

 

 そう言ってリンゴちゃんは、柿崎くんに手を振って、射爆場を出て行く。

 

 リアルの印象は…ダブルお下げのソバカス顔とどちらかと言うと地味な感じ。

 小柄で胸も普通…正直、あんま印象ない。

 

 でも、眼は確かにいつも眠そうなあんな感じだった。

 

 けど、柿崎くんの妹にしては、気立ても良くて性格的にも普通の女の子って感じ。

 

 フレリストを見ると兵種はなんと「ナース」!

 …女子プレイヤーからの要望で実装された補助専門職だった。

 

 メディックからの二次派生職なんだけど、装備は拳銃とマシンガン、PDW系の最低ランク。

 各種ステータス補正値もメディックと変わらずと一見微妙なんだけど、遠距離回復という固有スキルを持っている。

 

 おまけに、普通は重傷→軽傷みたいに、一段階の回復なのに、ナースは回復速度がメディックの倍近く早い上に、たまに二段階回復出来る事があるらしい。

 

 もう、やってる事は他のゲームのプリーストとかみたいな感じ。

 もはやゲームが違うと言われつつも、なんだかんだで貴重な癒やし枠となっている。

 

 敵に回すと、瀕死や手足被弾のリタイヤ確定組がさくさく復活するので、ものすご~く厄介なんだけど。

 100%リアル女子と言うことで…皆、敢えて狙わないのが不文律化してると言う…。

 おかげで、姫プレイ状態になってたりする娘も多くて、割と困ったチャンってのが正直なとこ。

 

 撃って文句言われるととか、ガンフロ的にはとっても理不尽。

 僕なんか、同じ回復職なのに、ガンガン撃たれてるんだけどね! やっぱ理不尽。

 

 そんな事をやってるうちに、大体ブートキャンプのメニューも終わったらしい。

 射爆場では、装備制限が一切無いので、銃火器類も兵種関係なく撃つことが出来るようになっている。

 雛乃と美奈ちゃんも一通り、皆が持ち寄ってくれた各種銃火器を触ってみたようで、ミウラ先生による白兵戦も軽くやってた様子だった。

 

 チュートリアルだと乗り越えないと先に進めないテストだのなんだのと色々あるんだけど…。

 身内によるブートキャンプだから、そんなのパス。

 

 実戦経験豊富な二人の教官役による総評が始まった。

 

「とりあえず、ひなちゃんはロングレンジがイケてそう。

 結構ちまちまと動けるから、ガンナー系かスカウト系がオススメだね。」

 

「雛乃は、他ゲームでシーフとかレンジャー系やってたからね!

 忍んだり、避けるのとか、遠距離戦は得意っ!

 そうすると、カナちゃん先生と同じスカウト系かなぁ?」

 

「そうだねえ…スカウト系…悪くないかもね。

 スカウトはいわゆる偵察兵ってとこだから、足の速さと隠れたり、索敵が得意。

 割りと先陣切って突っ込んでったり、光学迷彩で隠れて待ち伏せとかそんな感じ。

 そう言う事なら、ひなちゃん向きだよね。」


「おおっ! それまさしく、シーフって感じだ! それで行こうっ!」


 雛乃の方針は決まったらしい。

 

「ミーナちゃんは…あなた、すごいっ! 白兵戦かなり強いし、身のこなしも抜群!

 ねねっ! いっそブレイド系とかどうかしら?

 と言うか、リアルで武道嗜んでるか、他のVR系ゲームの前衛職でもやってたんでしょ?

 動きとか勘の良さ…素人のそれじゃない…こっちが驚いたくらいなんだけどさ!」

 

「はいっ! 私…ついこないだまでひなちゃんと一緒に「フェリキュアオンライン」やってました!」


 …なんか、スゴいタイトル出てきたなぁ…。

 

 正式には「舞闘妖精フェアリーキュアキュアオンライン」

 略して、「フェリキュア」


 その可愛らしい風なタイトルと裏腹にひたすら剣と鈍器と拳で語る世界って言うVRMMOゲーム。

 

 元々、アニメ原作があって、小学生が羽根の生えた妖精に変身して、悪い奴らと戦うって話だったんだけど。

 シリーズを重ねるうちに、複数チーム化してお互い競い、相争いながら、敵とも戦うとかそんな調子になった。

 

 いかにも魔法少女モノっぽくみせかけて、要は女の子がスタイリッシュに空飛んで物理で殴り合う…基本そんな感じ。

 けど、その可愛いコスチュームやキャラクターには定評があって、女子小中学生と大きなお友達に大人気のアニメだったりする。

 

 原作がそんな調子なので、出来上がったのも物理で殴り合う感じのゲーム。

 魔法とかもあるけど、使い魔みたいなのが使ってくれる感じで、自分はとにかく物理で殴るって言う。

 

 原作ファンを中心に、割と小中学生とかの女子ゲーマーがこぞって手を出したみたいなんだけど。

 ガンフロと同じくリアリティ重視と言う明らかに間違った方向性で…。

 

 …皆、思ってたのとなんか違う…ってなって、続々と引退。

 

 無駄なパンチラとか脱げ要素とか、明らかに女子ウケしない事に力入れてたのも敗因とも言われてる。

 あと大きいお友達の様々な蛮行も…タイーホされた奴も出たくらい…。

 何があったかは…色々お察しください。

 

 挙句に、突然長期メンテに入り、そのままサービス終了のお知らせと言う華麗なコンボを決めて終了。

 

「フェリキュア…って、そりゃまた…。

 確かにアレってゲーム自体は割りとリアル志向だったからねぇ…。

 私も無料ベータテストで、ちょっとだけやったけど…VR格闘ゲームって割り切れば、それなりに出来は良かったんだよね。

 けど、負けると脱げるとか誰得仕様、しかもプレイヤーは女子小中学生中心とか…。

 教育委員会とかでも問題になって、結局お取り潰しになっちゃったのよね…。」

 

 やっぱ、そうだったのね!

 さすが、三浦先生…良くご存知で…。

 

「私は…剣や槍で戦うの結構好きだったんですけどね。

 サービス終了はとっても残念でした…これでもサーバートップランカーだったんですけどね。」

 

「だよねー! ひなは大した事なかったけど…。

 ミーナちゃんは舞闘大会優勝とかしちゃったくらいだもんね!

 「疾風迅雷のミーナ」なんて、二つ名ついちゃったくらい!」

 

 マジですか? 美奈ちゃん…。

 でも確かに、さっきミウラ先生と白兵戦やってた時、互角に打ち合ってたもんなぁ。

 

「…そりゃまた…なんともご愁傷様としか言えないわ…けど、納得。

 そうなると…やっぱブレイド道をオススメかな。

 ブレイド系っても、ガンブレとかなら、銃撃戦も出来るし、機動力もあるからブレブレよりはそっちかなぁ。

 もちろん、浪漫を追求してブレブレ道を進むのも悪くないけどね…私やキサラギさんはそんな感じ。

 けど、極めてブレイドマスターになっても、ストーミーガンナーの重機関銃やキリングスナイパーのアンチ・マテリアルには敵わないのよね…。

 こないだなんて、対戦車ミサイルで吹き飛ばされちゃったし…。」

 

 ミウラ先生? その辺出さないと歯が立たないって、それもうおかしいです。

 その辺持ち出すのって、戦車とか装甲車相手にする時なんですけど! 

 MINIMIの弾幕強行突破って、おかしくありません?

 

 僕、目の前に立たれた時のあの絶望感、忘れてません!

 

「なるほど、ヘビータンカー系とスピードファイター系って感じですね!

 良かった…銃撃戦ゲームって聞いてたんで…。

 私、白兵戦メインだったんで、どうしようって思ってたんですけど。

 これなら、なんとかなりそうですっ!」

 

 美奈ちゃん、意外…大人しそうな娘なのに、物理で殴る派だったのね…。

 

 まぁ…そんな感じで、二人の方向性も決まったので、早速実戦演習開始っ!

うん、どうにもテンポが微妙。

まぁ、日常回の延長ですから、仕方ない。


あと「フェリキュアオンライン」は、一発ネタなんでそっちには多分派生しません。(笑)


実はガンフロと同じく「VRアサルトエンジン」と言う軍用VRシュミレーター派生ゲームエンジンなので、UIとかVR体の操作感がほとんど一緒と言う裏設定があります。

なので、美奈ちゃんは相当な強キャラです。


余談ながら、今回チラッと篠崎さんの日常でのはっちゃけ振りと、残念な異名が出てきた訳ですが。


実は、このブラックウィドウってあだ名が「くろがね」改め「転ロリ」の方でのカヤ様の戦闘スタイルの元ネタになってたりします。


こっちのガンフロは、結構あっちにも色んなネタを提供してて、本編側の世界観やキャラクターを支えるバックグラウンドともなってます。


だから、PV数が一日数十程度でもお構いなし。

もう好き勝手やってます。


たまに、本編「転ロリ」(くろがね)経由でこっちに流れてくる方もいるようなので、本編ともどもよろしくお願いします!

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