第一話「まずは、チュートリアルってみよう!」②
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第一話「まずは、チュートリアルってみよう!」②
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せっかくなので、この場で僕の仲間たち。
チーム「ウォーキーガンナーズ」のメンバーでも紹介しておこう
こじろう「遅いねぇ…赤マフさん。 俺、ちょっとリアルで一服するぜ! かぁ~っ! やっぱうめぇっ!」
こじろう…日の丸マークの鉢巻巻いて、箒を逆さにしたみたいな頭をした日本刀と89式小銃装備のうちの切込み番長。
とても愛国心溢れる方なので、装備は陸自仕様に拘りがある…と言うか、元陸上自衛隊員と言うことで、リアルで扱い慣れてるんだってさ。
今日は、いつもの陸自デジタル迷彩の上下にボディーアーマーを着込んだ重装仕様にしてきたようだ。
ちなみに、各人のアバターは3Dのディフォルメ風キャラで、8個のマス目に区切られた画面上に表示されて、思い思いのポーズやアクションをしている。
いわゆるエモーションコマンドで、この辺は結構色々なアクションやポーズを決められる…女の子キャラだとこれがやたら充実してるらしいのだけど…正直、よく知らない。
こじろうの兵種、アサルトガンナーは、はっきり言って物凄くスタンダードな職種。
重火器以外の大抵の装備を使用可能で、接近戦も銃撃戦もこなし、足の速さにも定評あり…強いて言えば、特徴がないのが特徴って奴だ。
なんだかんだで、その手の職種の例に漏れず使い勝手のいい兵種なので、この系統が一番プレイヤー人口も多い…「迷ったらアサルトガンナー目指せ」そんな風にWikiの初心者ガイドに書かれる位にはスタンダード。
ガンフロに実装されている兵種としては、接近戦向けのブレイド系、銃撃戦向けのガンナー系、偵察及び狙撃向けのスカウト系、補助職のメディックの4系統があるんだけど。
クラスアップに伴いクラスチェンジして、上級職へ転職出来るようになっている。
こじろうのアサルトガンナーは、ガンナーの正常進化版…まぁ、一言で言うと足が早くなったガンナー。
アサルトと付く職種は基本足が速くて近接も強い…これガンフロ豆知識。
ちなみに、こじろうはリアルでも愛煙家で、VRでも何かと言うとタバコから離れられない。
もっとも最近は、リアルで禁煙中らしくお金もかけずに好きなだけタバコを吸った気分になれるとか言って、暇さえあればゲーム内でタバコを吹かしてる。
今もこじろうのアバターはあぐらをかいて、ぷっかぁとタバコを吸ってる…何と言うかいい味出してる。
元陸上自衛官と言う事なのだが、なんでもミャンマー内戦にPKOとして派遣、その際名誉の負傷を負って除隊後、のんびり西日本のど田舎で畑仕事の毎日を送ってるとかなんとか。
ミャンマー内戦のPKO派遣は聞いた事あるんだけど、隊員が負傷したなんて話聞いたこと無いって思ったんだけど。
こじろうの話だと自衛隊もガッツリ実戦に巻き込まれており、戦死者も出たとか言ってた。
その戦いの勝敗については…キルレシオが40:1とか意味不明な勝ちっぷりだったらしい。
ニュースにならなかったのは、国同士の話し合いの結果、お互い無かった事にすると言う取り決めがなされたから…と言う事だった。
要するにお互いの都合で事実を表に出せなくなったって事…。
相手がどこだったかは、某国が一時期を境に急激に大人しくなったのでなんとなく見当付いた…同じような時期から日本政府が強気に出るようになったのも確か。
その話が本当なら、こじろうはガチな実戦経験者と言う事なんだけど…戦闘時の決断力とか迷いのなさとか、そう言われると確かに頷けるものがあった。
キサラギ「ちょっとぉっ! こじろうって、リアルで禁煙したんじゃなかったの?
リアルで吸ってVRでもとか、健康舐めんなって感じよっ! 大体、療養中なんじゃないのあんたはっ!」
この…なんだか妙に説教臭いのがキサラギさん。
彼女はブレイズブレイド…銃撃戦主体のこのゲームにしては、変わり種の接近戦特化という面白い兵種。
ブレイド系自体はローラーブレードによる高速移動で一気に間合いを詰めて、近接戦を挑むという接近戦スペシャリストなんだけど。
二次職の白兵特化のブレイズブレイドは、機動装甲服という防御力が高く機動力も高い専用特殊装備を装備可能となる。
要はパワードスーツ歩兵のようなもの…リアルじゃこんな兵種は存在しない…その辺はまぁ、ゲームだし。
近接特化職くらいあってもいいし、きっと需要くらいあるさとかそんな発想なんじゃないかなぁ…。
その為、銃火器の装備制限があって、拳銃と手榴弾くらいしか銃火器は装備できない。
そのかわり、パワーとスピードはトップクラスなので、接近戦はとにかく滅法強い上に、ジャンプ力とかもう人間離れしているので、その動きはもうマトリックスとかの世界。
極めればかなり強い…のだけど、さすがに銃撃に対しては、ちょっとはしぶとい程度なので…調子に乗って突っ込むとすぐ死ぬ。
まぁ…状況次第で強いって感じの所謂ロマン職。
プレイヤー人口はかなり少ないのだけど、リアルで格闘技経験のあるような奴が選ぶ事が多いので、その戦いぶりはスタイリッシュで、傍から見てると結構アツい。
ちなみに、彼女のメイン装備は黒いグルカナイフの二刀流なんて言う渋カッコいいもの。
引退したプレイヤーの忘れ形見だとかで、SR級のレアリティの付いた強力な武器。
それとモーゼルC96なんて、骨董品な感じの拳銃を使う…意外に火力高いらしいけど、やっぱり浪漫。
いつも先頭きって最前線に突入する上に、先行強行偵察とかもよくやるので、死亡率はダントツナンバーワン。
うちのメンバーで真っ先に落ちるのは大抵彼女…もはやデイリーノルマとも言われてるのだけど、本人は反省も後悔もしないし、戦いに犠牲はつきものなのだ…。
何と言うか…勇猛果敢って言葉がぴったりな女傑って感じである。
うちの唯一の女性メンバーなのだけど、あまりに漢らしすぎるので、ネカマなんじゃないの…とか思ったりもする。
と言うか、このゲーム…内容がハードすぎて、女性人気はほぼ皆無だったりするのが実情で…。
プレイヤーの男女比は50:1くらいなのではないかと言うのがもっぱらの噂。
コスプレアバターなんて言うキャラの外装や声までも変更できるアイテムの存在や複数キャラを作れてしまう関係上、女性キャラ自体はよく見かけるんだけど。
VRモードって、本人の口調や癖とか仕草がもろに出るので、ちょっと話したりするとすぐ解るし、歩き方なんかでもバレバレだったりする。
キサラギの場合…なんか仕草とか口調に、むしろ男らしさが目立つ…今もキサラギのアバターなんかどっかりあぐらかいてるし…ホットパンツ姿だから、別に色々見えたりしないけど、お下品ですよ?
本人曰くリアルで看護師やってるとかなんとか言ってるけど、正直どうなんだろう…と思ってる。
看護師やってる人って、毎日が最前線みたいな調子でキモも座ってて、パワフルな人が多いらしいけど…。
まぁ、基本的にいい人じゃあるし、別に迷惑もかけられていないので、個人的にはその辺はあまり気にしてない…こじろうが兄貴分なら、彼女はいい姉貴分って感じ。
こじろう「禁煙ねぇ…あんな変なガムなんかで、こいつの代わりになる訳ねぇっしょ! 俺はコイツなしでは生きていけねぇ男なのさ!」
キサラギ「コルァ! 何カッコよくキメて、誤魔化した気になってやがんだ! ああっ? お前みたいな奴に限って、なんかやらかして、病院送りになって私らの世話になった挙句、文句ブツクサ垂れんのよっ! いい加減、節制って言葉を覚えなさい!」
こじろう「キ、キサラギの姉さん…解ったから! 怒らんでくだせぇ…ああ、赤マフさん! 早く来ねぇかなぁっ! さすがにこりゃ遅刻っしょ! 罰ゲームものじゃあ!」
キサラギ「話逸らして、誤魔化してんじゃねぇよっ! うらぁっ!」
キサラギさんはなんか健康オタクのケがあるみたい…良くこんなふうにこじろうにお説教してるのを見る。
こじろうの場合、負傷療養生活中なので、人一倍健康に気を使って欲しいところなんだけど。
まだ二十代後半らしいし、体力あるだろうから、雑な生活送ってそうじゃある。
ただ、キサラギさん、ご覧のように時々激しくガラが悪い…テキストチャットだけでなく実際にVRモードで話してもこんな調子。
だから、僕ら以外からも良くネカマ扱いされる…もっと大人しくしてればいいのにさ。
容姿的には茶髪ショートボブの髪型に赤いベレー帽がトレードマーク。
泣きぼくろが特徴の20代の半ばくらいな感じのお姉さんキャラ…。
機動装甲服はSFチックな西洋甲冑みたいな感じで、カッコいいんだけど…何と言うか…少なくとも可愛い系じゃないね。
たまに、バニーガールとかナーススタイルなんて、変なコスプレアバターで現れることもあるんだけど…まぁ、目の保養にはなる。
そもそもスタイルとかは悪くないし…。
ちなみに、コスプレアバターはキャラの性別とか装備も関係なく、姿を変えてしまうもので声なんかも変えることが出来る…。
もっとも、姿が変わるだけで他に何の意味も無いので、あくまでネタと気分と観賞用以外の何物でもない。
けど、運営は他のネトゲ同様、すっかり収入源として目をつけたらしく、アニメや漫画、他のゲームとコラボして、続々と新作アバターを登場させている…。
ガチャシステムもしっかりあるので、お目当てのアバターを手に入れたい一心でリアルマネーをつぎ込む輩も後を絶たない。
おかげで、最近は対戦相手がコスプレ集団だったり、タウンマップという公共VRフィールドがコスプレ会場みたいになったりもするようになった。
昔はもっと硬派なゲームだったんだけどなぁ…ああ、でも第一期とかそうでもなかったか。
伝之助「まぁまぁ…お二人さん、喧嘩はしない…こじろうくんも未成年者の前でタバコの話とかしちゃ駄目でしょ。赤マフさんの遅刻は…いつもの事だし、ボクだって、遅刻はしょっちゅうだからネ…。
割と時間の制約がある人みたいだから、しょうがないよ。そもそも本来はこんな深夜に来ない人だもの…けど、本人、張り切ってたから、すっぽかしはないと思うよ。
ところで、モンド君、新発売のレーションって食べた? 陸自カレー意外と美味かったよっ!」
こじろう「伝之助の旦那、食い物の話ばっかじゃん…まぁ、俺のタバコみたいなもんか。けど、その陸自レーション…俺は要らんから…と言うかPKOでさんざんカレー作らされて、毎日食ってたから、さすがに飽きた。
なんか知らんけど、一緒になったイギリス軍の連中共がハマっちまってさ…けど、こっちがカレー作らねぇと奴らのマズメシ食わされるもんだからよ、俺らも必死だったんだぜ。」
伝之助「出たっ! 英国伝統のマズメシっ! 僕もあの国行った時、苦労したよ…どこ行ってもご飯が不味い!
でも、美味いものはちゃんと解るし、本人達も自覚してるみたいなんだよね…それでなんで美味飯作る努力しないのか、不思議なんだよね…英国人ってさ。」
伝之助さんは、40代半ばくらいでうちの中では最年長プレイヤー。
バスターガンナーと呼ばれる重火器装備主体の兵種。
ガンナーから二次派生する職種で機動力と回避重視がアサルトガンナーなら、こっちは火力と防御力重視。
対戦車ミサイルや軽機関銃、グレネードと言った重量級装備含めてほぼ全ての装備を使用可能…その分、足も遅く、接近戦も弱いんだけど、火力については文句なしのトップ。
旧ドイツ軍の軍服に灰色のベレー帽をかぶった…メガネを掛けた小太りおじさんのキャラなんだけど、リアルもそのまんまって感じらしい。
如何にも人の良さそうなおじさんって感じなんだけど、実際そんな感じ。
ちなみに、こじろう以外全員ベレー帽装備だけど、これはチーム全員のお揃いって事で皆で揃えた。
棒人間が銃背負ってる感じのなんともゆるーいチームエンブレムが描かれている。
こじろうは…日の丸ハチマキがどうしても外せないらしい…終生、日本国に忠誠を誓ってる証なのだそう。
うん、立派…さすがは日本の防人。
伝之助さんは、MINIMI構えて弾幕張って火力支援したりグレネードでドッカンと道を作ってくれたり、後方に下がって指揮統制に回ることもある。
戦車だの大型兵器相手の時は、もっぱら伝之助さんが頼みの綱。
なんでも、小さな会社の社長さんって事で、人生経験も豊富で、人を仕切ったりするのに慣れてて、判断力にも優れてて、色々作戦とかも立ててくれるうちの軍師みたいな感じ…。
と言うか実質的なリーダーなんだけど、若者を立てる主義らしくて、いつもニコニコ見守ってくれて、困ったときはそっとアドバイスしてくれたりするような感じ。
つまり、とってもいい人! みんな大好き伝之助さんって感じ。
とにかく、食べるのが大好きらしいんだけど、医者から少し控えろとか言われてるらしくて、いくら食べてもリアルに全く影響しないVRの世界で色々食べるのが楽しみのひとつになってるらしい。
最後に、モンドってのは僕のキャラ名。
これは、中学の時のあだ名から拝借した。
僕の本名は、「中室空也」。
このあだ名自体は、「中室と言えば主水だろう?」とか意味の分からない理由で付いたあだ名なのだけど。
元ネタはとある有名な時代劇の主人公の名前らしい…随分昔の時代劇なので詳しくはしらないけど、その有名な必殺のテーマはなんか知ってた。
僕の兵種は…アサルトメディック…要するに回復バックアップ要員ってとこ。
手足にダメージを負ったとか、軽度のものなら即座に回復可能で、ほっときゃ死んじゃう瀕死状態を重症にして助けたり…毒やら麻痺みたいな状態異常を治したりと、他のゲームで言うところの回復職なんだけど…。
まぁ、撃たれたら大体死ぬこのゲームの場合、ぶっちゃけ気休め程度な残念職。
一応、アサルトメディックは、メディックの上級職なのだけど、アサルトが付いているだけに、機動力が高いし、メディックよりは戦える。
ただ、戦えると言っても本職にはまず歯が立たないし、僕自身戦闘はあまり得意ではなく、弾幕を張って足止めとかその辺がせいぜいで、はっきり言ってあまり強くない。
タイマンだとうちのメンバー誰一人として勝てる気がしない。
あと、予備弾薬バッグというマルチな予備弾薬の詰まったバッグを所持可能で、小銃やPDWなどを使ったある程度の銃撃戦もこなす事も出来るので、後衛組の歩く弾薬庫兼近接護衛って感じ。
戦場では、弾切れ=死なので、重要だと思うんだけど…弾切れより先に大抵死ぬし、マップ上に補給コンテナが転がってたりするので、これも必須でもない。
標準装備はサブマシンガンのステアーTMPと拳銃…グロック17…この二つがメイン。
別にオーストリア製にこだわってる訳じゃないのだけど、なんかこうなった…どっちも扱いやすさを重視してる。
見た目も結構地味で、青いベレー帽に青基調の英軍迷彩ジャケットにカーゴパンツってのが標準装備。
海上マップなんて、今のところないから、海上迷彩とか意味不明なんだけどさ…青ってなんか好きなんだよね。
ちなみに、英軍迷彩は流行りのデジタル迷彩でなく、ウッドランド迷彩なんだけど、パターンが割とお洒落。
今時、海上迷彩服なんて採用してるのは、海上自衛隊くらいなんだけどね。
理由は…「海の上で兵隊が海上迷彩しても意味なくね?」って、アメさんが気づいて、スパッと廃止しちゃったから。ですよねー?
あとは、索敵と隠蔽が得意。
まぁ、これは兵種スキルとかじゃなくて、自前…要はプレイヤースキルなんだけどね。
警戒要員とか奇襲への対応、待ち伏せなんかの事前感知もお手の物。
その辺の応用で、隠れたりするのも得意。
チームのレーダー役ってとこ。
どうにも派手さはないのだけど、仲間を守ったり支援の専門家…それが僕。
うん、地味だ。
けど、前に出て戦うだけが戦いじゃない。
戦える人を戦いやすくその力をフルに発揮できるようにアシストする。
これはこれで重要な役割だと思うんだけどな。
まだ続きます。
@3000文字ちょっとでチュートリアル編終了です。
けど、仲間と世界観…この二つを押さえてもらわないとワケワカメなので、基本っちゃ基本です。
一応、設定資料もあるんですが、カオス&ネタバレの嵐なんて、もうちょっと綺麗にまとめます。
仲間キャラクターは兄貴分、姉貴分、おやっさん。
こんな感じで10分ほどで仕上げました。