外伝②「篠崎さんと杜若さんの休日」①
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外伝②「篠崎さんと杜若さんの休日」①
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銃声と共に、唸りをあげて銃弾が葵の頬を掠めていった!
「あっぶなっ!」
そう叫びながらも、葵はPP-19 Bizonを構えると、銃弾をバラ撒きながら、横っ飛びに飛んでゴロゴロと転がる!
敵兵が樹の裏に隠れるのを見ると、すかさず、その樹の横まで一気に走り込む。
当然、敵兵がもう目の前!
相手は驚いた顔をしながら、拳銃を抜こうとする! けれど葵の裏拳が相手の顔面に炸裂するほうが早かった!
続いて、回し蹴り! 敵が樹の幹に叩きつけられると、続けざまに鳩尾に掌底! そして胸の中央…壇中に肘打ち、最後に一歩下がって、人中…口の上と鼻の間に位置する人体の急所の一つ…に上段正面蹴りを決めると相手の後頭部が樹の幹にめりこみ、そのまま崩れ落ちる…。
ワンテンポ遅れて、相手のHPゲージが一気に無くなり、光る砂のようになって消滅する。
「先輩、お見事です…まずはワンキル達成…ご感想は?」
伽耶から葵に通信が入る…。
葵も思わず自己流の三段突きを決めてしまったけど…。
衝撃を逃がさない…樹の幹とのサンドイッチ状態であんなの決めたら、ガチで死んじゃう…そんな事を今更ながらに思って、相手のことが心配になる。
「い、今…相手死んじゃったの? 思わず、思い切りやっちゃたけど…。」
「ご心配なく…どうせ、5分もすれば戻って来ますからね…。
葵先輩…スゴいですね…ドローンで見てましたけど…。
あんな風に張付けにして、急所への三段突き…実戦系武術の使い手とは思ってましたが…。
やはり…わたくしの思った通りの方でしたね…うふふ。」
「リアルでやったら、ヤバイからね…今の。
けど、相手も…完全に殺しに来てたね…今のが食らったら死ぬ感じ…じっちゃんの言ってた死線って奴か。」
今更ながら、葵は両腕を抱えるように、震えるような仕草を見せる。
「よくご存知で…じゃあ、わたくしも…先輩と一緒に、インファイト縛りで狩りますかね。
こいつら、大したことないんで、チュートリアル代わりには丁度いいですね…。」
伽耶との通信が終わるなり、隣に何処からともなく白いロングヘアの金銀のオッドアイの少女が舞い降りる。
白いシャプカと呼ばれるロシア帽に白いコートを羽織っている…一言で言えば、白くなったメーテル…そんな感じ…視認性と言う面では、恐ろしく目立つ格好。
その手に握られているのは、スタームルガー スーパーレッドホークアラスカン。
2.5インチの短銃身コンパクトモデルながら、.454カスール弾仕様のそれは、あの.44マグナムの倍の威力を誇る化物銃のひとつ。
葵の方は、赤い髪をポニーテールにまとめ、赤をベースに金色の龍の刺繍の入ったチャイナ服とゴツい手甲を装備した姿。
長身で、PP-19 Bizonというロシア製サブマシンガンを首から下げた姿はチャイニーズマフィアの女拳士とかそんな感じ。
今回は…葵にとってはデビュー戦。
伽耶にとっては、半年ぶりほどになるガンフロ復帰戦となる。
一方、相手はもう大混乱だった。
チーム「オメガブルース」と「雷電」のチーム戦だったのだが。
いきなりの乱入者…相手はたった一人。
Fランクの初心者の「R.E.D」とか言う奴。
操作ミスでの乱入とタカをくくっていたら、もう一人いたらしくチーム雷電のメンバーがあっという間に壊滅。
オメガブルースの前衛もそのFランチャイナ服に素手で撲殺されると言う事態に、完全に浮足立っていた。
そして、もう一人の「雷電」を壊滅させた新手の名に彼らは震撼する。
「PKギルド「ウロボロス」…ギルマスのカーヤだとっ! 冗談じゃねぇっ! 乱入されて出会ったら最期、デスペナオンライン確定なんて言われた伝説級のSランPKじゃねぇかっ!」
「う、嘘だろ! そんなの勝てるわけが…く、来るぞっ! なんだあれっ! 二人共、木から木を飛び移って来る! た、弾があたらねぇっ! うわぁああっ!」
M16を構えた男が半狂乱で、乱射する!
けれど、伽耶が放ったアラスカンの銃弾を食らったその頭が被弾エフェクトと共に吹き飛ぶ。
「うわぁああっ! そんなっ! 来るな! 来るなあっ!」
もう一人は、手にしたUziを乱射しながら、真横に降り立った葵の横蹴りを浴びて、くの字になって吹っ飛ぶ。
吹っ飛びながら、Bizonの追撃を浴びて、これもまた多数の被弾エフェクトの表示と共に消滅していく…。
「すっげっ! 相手が吹っ飛んだ! これ…リアルより私、パワーアップしてない?」
「お見事です…Bizonの方もいい感じで使いこなして来てますね…。
今みたいに、近接メインでBizonをトドメや牽制に使うって言う戦い方が先輩にはあってそうですね。
わたくしもそうなんですけど、武道嗜んでる人って、ゲーム内でパワーアップする傾向があるらしいですわ…。
このVR体って、リアルの筋力とか反射神経とかが影響するらしく…リアルで強い人は、こっちでも素で強くなるみたいです。
それに…キャラクターの補正値なんかもありますからね…先輩の場合はまだランク低いんで、その辺はあまり実感ないかもしれませんけど…。
ひとまず、その感じだと素で…少なくともBランク相当かも…先輩、さすがです。
要するに…ガンフロなら、手加減無用で日頃の鍛錬の成果を思い切り発揮できるって事です。
葵先輩…どうですか? 気に入ってもらえましたか?」
「…うん…こりゃ最高かも…。
私ね…知っての通り、ちょっと体格良すぎちゃって、試合とか練習もちょっと加減間違えるだけで、相手病院送りとかしちゃってさ。
もう何処行っても、手加減、手加減でうんざりだったんだ…実は、伽耶ちゃんくらいだったからね。
私が本気出しても、怪我ひとつしないような相手って…。」
「わたくしも先輩相手なら、本気で戦えてスゴく楽しかったのですよ…そんなの叔父様以来ですわ。
けど、先輩とは、なんかもう…すっかりお友達になっちゃいましたからね。
…そうなると前みたいに本気でってのは、お互い抵抗感ありますよね…。」
「うーん、それ言われちゃうとなぁ…。
私も伽耶ちゃんのその可愛らしいお顔…殴るの抵抗あってさ。
まぁ、顔やお腹は寸止めにするってのは、いつのまにかお互い暗黙の了解になってたけどね。」
「ふふっ…その節はお気遣いありがとうございました…先輩の拳、スゴく痛かったです。
おかげで、最初の頃はあっちこっち痣だらけにされちゃって…お風呂の時とか自分の姿見て泣きそうになりました。
けど、そうなると…今後、先輩に本気でお相手してもらうには、やっぱり、こっちに来てもらうのが早いかなって思いましたの。」
「あはは…痣だらけってのはお互い様だと思うな…色々、ごめんね。
けど、いいねっ! 怪我しないガチバトル! けど、これって死ぬほど撃たれたら、どうなっちゃうの?」
「えっと…デスペナ部屋とか言う真っ暗なとこに4、5分くらい閉じ込められるだけで、すぐに解放されますよ。
味方が全滅とかでもしない限り、戦線復帰も簡単にできますからね。
さっきの人たちもすぐ戻ってきますよ…大体30分くらいを目処に、時間内にお互いどれだけ相手をぶち殺せるか競う…そんな感じです。
1ステージで一度も死なないのは、さすがにわたくしでもなかなか厳しいですね…。
…とにかく、よく死ぬゲームなんで、そのうち嫌でも体験できますよ。」
「じゃあ、やられる前にどんどんぶっ殺さないと! そう言う事だね!」
「そういう事ですわ…けど、先輩、そこは物騒すぎるので、ぶっ飛ばす辺りにしときましょうか。
あら…早速、皆さん続々と戻ってきたみたいですね…先輩、二人で競争しません?
わたくしも素手とアラスカンだけで、どれだけ狩れるか…しばらくぶりなので、リハビリがてらに…。」
「じゃあ、スコア負けた方は晩御飯おごりって事で…。」
「いいですね…何食べましょうか…楽しみです。
それと葵先輩、下着の替えって持ってきてます?」
「そ、そんなのさすがに…持ち歩いてないよ…どういう意味?」
「殺したり殺されると…色々と…ですね…。」
そう言って、伽耶は葵にボソボソと耳打ちする。
たちまち、葵の顔が真っ赤になる。
「か、伽耶ちゃんって、もしかして結構そういうの好きな子?」
「もう…皆まで言わせないでくださいよ…。
この部屋…実はお風呂とか付いてるんで、あとでご一緒いたしませんか?
それと明日日曜なんで、ここでお泊りなんてどうです? ここって、実はわたくしがオーナーみたいなものなので、わたくしにとっては第二の我が家みたいなもんなんですよ。
だから、未成年でもお泊りコース問題ないですよ。」
「あはは…それもいっか…なんか、すっかり楽しくなってきちゃったからねぇ…。
切りのいいトコまで行ったら、お店開いてる間にお買い物行ってこよう!
じゃあ、残り15分…張り切って狩ってみましょっか!」
「はいっ! やっちゃいましょう!」
そう言って二人は拳をぶつけ合って、笑い合う。
けれど、そんな風に笑い合う二人に、連合を組んだ「オメガブルース」と「雷電」の総勢、14名が着々と包囲陣を敷きながら、迫り来るっ!!
…ある土曜日の昼下がり。
ガンフロ界隈を震撼させ、そして運営をも動かし一大イベント「バトル・ロワイアル」を巻き起こす事となる二人の事実上のデビュー戦は始まったばかりだった。
そんな訳で…。
ガンフロ外伝の続きです。
と言うか、前回ほのぼの路線だったのに、いきなりバトル展開です。
この娘達…いきなりなにしてんの? って感じですがー。
まぁ、その辺のいきさつはまた次回。
※サブタイトル。
前回準拠に変更。
以降、彼女達視点のエピソードは
「篠崎さんと杜若さんの〜」とします。
※変更2
カーヤ様の容姿描写を追加。
推敲時間が短くなってるので、この手の雑さが目立つ今日のこのごろ。




