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第十一話「Boot Camp」①

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第十一話「Boot Camp」①

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11月28日


 今日の目覚めは、スマホのメール着信音だった。


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 タイトル:おはようっ!

 差出人:黒木加奈子

 本文:空也くん! おはようっ!

 外は朝焼けがとっても綺麗! 今日はいい天気になりそうだね。

 妹ちゃんがガンフロデビューするのって今日だったよねっ!

 どんなコなのかなー! 会うのがちょっと楽しみ。

 リアルな空也くんの事、色々聞いてみちゃったりなんかして!

 あと昨日はおやすみメールありがと! 返事出せなくてごめんだよっ。

 夜の10時過ぎると加奈子ちゃん…おネムになっちゃうから、寝落ちってた。

 空也くんもレッツ、早寝早起きっ!  あ、時間あるなら、ガンフロで遊ばない?

 朝早くは誰も居ないんだよねー。

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 加奈子さんのモーニングメールだった。

 昨日から、なんか送ってくれるようになった。


 呼び名も、すっかり空也くん。


 彼女…朝6時には起きているようで、6時半くらいに送って来た。

 その代わり、夜は10時位にはドタバタと落ちてしまうのが常。

 たまに粘る時もあるんだけど、前にそれで戦闘中に寝落ちってくれちゃって、大変な事になった。


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 タイトル:加奈子さん、おはようです!

 差出人:中室空也

 本文:おはようっ! 僕は、加奈子さんのメールでお目覚めです。

 さすがに、天気は変わらないけど、こっちはかなり寒いですヨ。

 朝晩学校の行き帰りは、マフラーとか手袋が恋しくなります。

 誰かプレゼントとかしてくれないかなー。

 雛乃|(妹の名前)はやたら張り切ってて、午後には二人を引率してログイン予定。

 午前中は、家の掃除やら雛乃の買い出しに付き合わないといけないので、ガンフロやってる暇はなさそう。

 ごめんねー!(T_T)  By空也

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メール送信すると、5分もしないうちに速攻返事。


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 タイトル:ほうほう。

 差出人:黒木加奈子

 本文:おうっ! 返事早くてびっくりした。

 起こしちゃった? ごめーん! わたし、朝は早いんだっ!

 妹ちゃん、雛乃ちゃんって言うんだ…小学生なんだっけ。

 空也くんに似てるんだろうね! きっと可愛いコだ!

 そういや、もう冬なんだね…わたしもお鍋食べたりとか、こたつでみかんとかしたいーっ!

 それにしても、空也くん? ひょっとして、わたしに手編みのマフラーとか期待してたりする?

 ふふん…そう言う事なら、クリスマスプレゼント用にちょっと頑張ってみるよ!

 こう見えても、実は結構手先は器用…編み物なんて、うまく出来るか解かんないけどさ。

 じゃあ、わたしも午前中はお買い物でもしてよう…Amazonで!(笑)

 そんな訳でまた後ほど…ばいちゃっ! By加奈子 

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 ええっ! なんですか…このラブい感じの展開は!

 女の子から手編みのマフラーとか、すっごい嬉しいんですけど!

 

 篠崎ハンドメイドマフラーは、なんか呪いがかかってそうで、あまり使いたくない…。

 こないだもマフラー使ってくれないのかって、遠回しに言われてたけど…。

 

 自分の髪の毛とか編み込んでるような気がしてならない…色、真っ黒だし。

 

 あれ? でも加奈子さん、マフラーなんてどうやって渡すつもりなんだろ?

 ひょっとして、リアルで会えるチャンス…なのかな。

 

 そんな事を考えていると、ドアがガチャっと開かれて、雛乃襲来!

 

「お兄ッ! 起きてる? 早く朝ご飯食べて、お出かけするよっ!」


 雛乃…本日のファッションは襟が猫耳風の三角になったグレイの長袖ワンピース。

 スカート部分が黒と言うお洒落可愛らしいカッコ。

 襟の猫耳がお気に入りとの事。

 

 と言うか…小学校低学年の子が同じ奴の色違い着てたような…。

 けど、似合ってしまう雛乃が悲しい…。

 

「ご覧の通り、もう起きてるよ…と言うか、まだ7時過ぎだろ。

 店なんかまだ開いてないだろ。」

 

「イトーヨーカドー! あそこ一階は9時からやってるから、ご飯食べて出たら、丁度いいじゃん!

 早く着替えて、下に降りてきてー! 美奈ちゃん来ちゃうよっ!

 寝間着姿とかだらしないカッコで出ていったら幻滅されちゃうよっ!」


 別に幻滅されたって構わないんだけどなぁ…そんな事を思いながら、着替える。

 まぁ、僕のファッションなんかどうでもいいだろうけど。

 

 青のチェック柄のフランネルシャツにジーンズ。

 まぁ、典型的な冬の若者スタイルってとこ。

 

 ちなみに、僕の冬場の上着は米軍G.I. M-65フィールドジャケットで決まり!

 ミリタリージャケット永遠の定番とも言われる逸品。

 デザインもカッコよく実用性も抜群。

 

 最近はオリーブカラーや迷彩カラーのジャケットなんかも普通に皆着てるので、町中で着ても何の違和感も無い。

 実際、僕も学校にも堂々と着て行ってるくらい…ミリオタ的には実に良い世の中になったものだよね。

 

 昔は、迷彩柄のジャケットやパンツなんて着て出歩こうものなら、職質とかされてたらしい…。

 おまけに、本来目立たない為の服装なのに、着てるのなんて滅多にいないから物凄く目立つと言う…。

 

 けど、それも過去の話…ガンフロだって他のサーバーも含めるとプレイヤー数、数十万人台の一大コンテンツ。

 時代は変わりゆく物なのだ…。

 

 TVを見ながら、朝食をパクつく。

 シャケにご飯に味噌汁…雛乃朝ごはん、普段は手早くパンとスープとかが多いけど。

 休みの日は割と余裕があるので、和風ってのが定番。

 

 TVのニュースは割と平和…どっかの動物園で珍しい動物の展示が始まっただの、どこぞのアイドルが結婚とかそんな感じ…例のチベット動乱については、まったく触れない。

 また情報統制でもかかったのかね…。

 

 なんでも、義勇軍の勝利声明のインターネット動画の端っこに、89式持った兵隊が映ってたって、ネットで騒ぎになってたからなぁ…。

 

 僕も見たけど、89式ならこじろう愛用で見慣れてるからすぐ解る…確かにアレはそうだった。

 

 まぁ、情報統制自体は別にケチを付ける気はない…。

 何でもかんでも垂れ流しだったり、マスコミのバイアスかかった報道なんて、状況次第では戦前のように戦争の火種になる事だってあるのだから。

 

 世の中、知らない方が幸せって事の方が多いのだ…口は災いの元って言うじゃない。


 …なんでチベット動乱に自衛隊が関わってるのかって事についても、大体見当は付く。

 それが結果的に日本の平和のためになるからだ。

 

 中露って国々は隣国なんだけど、日本にとっては、宿敵にならざるを得ない。

 地政学的と言う概念があって、中露のような大陸系のランドパワー国家と日本やアメさんのような海洋依存のシーパワー国家とは、お互い相容れない関係だとされている。

 

 実際問題、中露から見れば、日本列島は縦にやたら長い大陸側からすれば蓋みたいな国。

 連中は過去連綿と太平洋に出たいと言う野望を持っている。


 だからこそ、日本と言う国は向こうにとっては、排除したい障害物なのだ。

 こっちは当然ながら、排除される訳にはいかない。


 これで仲良くやれという方が無理な話。

 好きとか嫌いとか、差別だの経済とかの問題じゃないのだ…。

 地形的に邪魔だから、通り道にあったから…。

 戦争になる理由なんてそんなもんなのだ。


 もちろん、自国の平和の為に裏で内乱の手助けをするなんて、やり方は非道と言える…。

 案の定と言った感じで、今まで抑圧されきた人々が暴動を起こし、これまで支配者層だった人々は悲惨な事になってるらしい。

 何よりチベット動乱の鎮圧失敗は、向こうにとっては相当な痛手で、下手すりゃ内乱ドミノ発生だ。


 けれど、そうなるとこちらとしては、むしろ平和になるのだ…。

 二正面作戦なんて仕掛けるほど、向こうもアホじゃない…小競り合いくらいは仕掛けてくるだろうけど、せいぜいその程度に留まる。

 

 下手に長い間、安定されると、向こうは際限なく軍拡を進めて、こっちはそれに付き合わないといけない。

 

 本格的に日本が侵略されて、戦争なんてなると、僕達だって困る…全然他人事じゃない。


 だからこそ、大陸方面は適当に内輪もめでもして荒らぶっててくれれば、日本としては安泰…要するにそういうこと。

 この辺、かつてお花畑な事言ってた時代に比べると、随分現実的になったと思う。


 僕達は平和の為に、敵の足を引っ張る事に心血を注ぐ。


 これはもう立派な戦争状態。

 昔だったら、あっさり戦闘突入くらいなってただろうけど…今はどこも少しは大人になったから、正面切って殴り合ったりしない。

 だから、テーブルの上ではニコニコ愛想笑いしながら、下でお互いの足を蹴っ飛ばし合う。

 どこもかしこも平和なんかには程遠いのだけど…大方の人たちはその事に気付いてない…。

 

 玄関のチャイムの音で我に返る…美奈ちゃんかな。

 雛乃が出てーとか言うので、僕が出迎える。

 

「やぁ、美奈ちゃん…いらっしゃい。」

 

「おはようございます! お兄さん! 今日はよろしくお願いします。」


 古館美奈こだてみなちゃん。

 身長150cm台と、雛乃と同い年なんてとても思えない大人びた容貌の「小学生」。

 胸のサイズはCくらいはあって、ちょっと細身ながら普通に女の子らしい体型をしてる。


 …最近の小学生発育良すぎ。

 ボストンバックを持参していて…そう言えば、今日はお泊りって雛乃が言ってたって思い出す。

 

 三つ編みお下げにメガネをかけてて、地味っぽいけど真面目な大人しい娘だ。


 服装は、水色のセーターにデニムのオーバーオールスカートと言うなんとも子供らしい格好。


 スカートには、真ん中にでっかくヒヨコのアップリケが入ってて、高校生とかがする格好じゃないんだけど。

 別に年相応の恰好なんだから、問題ない。

 

 まぁ…彼女の場合、下手に大人っぽい格好をすると、普通に中高生くらいに見えるので、こんな格好の方がらしくて良いんじゃないかって気がする。

 

 そんな彼女の意中の人は、他ならぬ僕。

 年の差ありすぎて無理とちゃんと断ったのだけど…。

 

 諦める気は全然ないらしくて、今も恋する乙女って感じの熱のこもった眼で僕のことを見つめていて…。

 視線が合うとニコッと微笑まれる。

 

 まぁ、実際可愛いコなんだけどね。

 篠崎とかと比べたら、まじ天使。

 

 けど、残念ながら、小学生相手に恋愛感情も何もない。

 僕は犯罪者にはなりたくない…なので、お友達のお兄さん以上の関係は望まれても困る。

 

「雛乃? どうする…美奈ちゃん、上がってもらう?」

 

「洗い物して、洗濯機のスイッチ入れたら、すぐ出れるから、そこで待っててもらって!

 お兄ちょっと、相手してあげて!」

 

「だってさ…すまんねぇ…美奈ちゃん、座って待っててよ。

 あ、そのバックは…お泊りセットってとこ? だったら、玄関に置いといて良いよ。」


 そう言いながら、玄関先に腰掛けて靴を履く。

 美奈ちゃんも荷物を下ろすと隣に座って、ピトッと寄り添って体を預けてくる。

 

 まぁ、狭い玄関に二人座るとそうなるんだけど、相変わらずスキンシップが好きな子ですこと。

 

 なんでも、彼女は長女らしく下は弟と妹…どっちも小学生。

 お兄さんと言うものに昔から憧れを持ってたらしく、大人しそうな外見に似合わず、めちゃくちゃ積極的。

 せめて、一コ下くらいだったら、全然オッケーなんだけどね。

 

「おーおー、今日もラブラブだねぇ…美奈ちゃん! おっはよっ!」


「ヒナちゃん! おはよう! 私は空也お兄さん、ラブですからねっ!」


「えー? 雛乃はぁ?」


「雛乃ちゃんも大好きですっ!」


 そんな調子で狭い玄関で抱き合う二人。

 こう言うのは見てて、微笑ましいから良いんだけどねぇ…。

 

「バス、急げば間に合うから早くしろー」


 そう声をかけて、僕は二人の買い物に付き合う…保護者役も大変なのだ…。

そんな訳で、ガンフロ再開っ!

あんま、ストックがないので、そのうちスローペースになるかもしれず…。


ジャンルをVRMMOに変えて、方向性変えてみるか…。

そんな風にソードアートのアニメ見ながら、思ったりも…。

あれ、今まで全然見てなかったんですけど、VRMMOモノのデファクトスタンダードみたいな感じだったんですねー。


ちなみに、くろがねもこっちもカヤ様出ると妙に受けると言う法則があり、外伝のウケも良かったような印象なので、この二人のガンフロ生活も少し全面に出すのも手かなーとか思ったり。

うぉ、ものすげー行き当たりばったりwww


ちなみに、空也の独白で少し触れてますが。

この世界の日本はかなーり過激思想に傾きつつあります。

VR技術が突き抜けてるせいで、自衛隊はVR演習でガチ実戦みたいなことやってたりしますし…。

首都高を一六式が突っ走ってたり、F3が前倒し配備されて都内上空をかっ飛んでたり…その手の裏設定がいくつもあったりします。

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