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第十話「Combat Proof!」④

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第十話「Combat Proof!」④

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「うえっ! ヘリの音がする…あいつら、汚っ!

 たった二人に、二回全滅させられたからってそこまでする? ふつー?」

 

「敵は…UH-1とそれに乗って増援チームで5人追加ってとこか…向こうは2チーム連合で来るみたいな感じだね。

 そろそろ…こっちも増援呼ぼうか…さすがに、僕ら二人でヘリ相手は無理だ。」


 敵チーム情報リストが更新。

 

 全部で10人…全員匿名設定にしてるらしく兵種とナンバーしか表示されない。

 わざわざこう言うモードを用意してる辺り、運営もこう言うプレイスタイルは容認してるって事だった。


「そだね…さすがに、キッツいわこれ。

 あ、ミウラさん達も呼ばね? 今、オンラインっぽい!」


「そうだね…うちフルメンでも敵戦力は倍…2チーム合同なら、戦力的にも互角ってとこだしねぇ。」


 ヘリが来るまでしばらく猶予はありそうだし、敵も今のところ全滅状態。

 こちらもメニューを開き、増援要請。


 メンツは、うちのチームメンバーと…らんぼるぎーにの皆さん。


 向こうがその気ならこっちもその気っ!

 こうなったら、徹底抗戦だっての!


モンド「現在、乱入PKチームと交戦中…2周落としたら、相手1チーム増えてヘリまで出してきた。

 現在10対2…形勢不利、増援求むっ!」


 メッセ付きで増援要請。


こじろう「お、やっとお呼びがかかったな! 実はいつでも増援に出れるようにって、皆スタンバってた!

 なっかなか、楽しそうな事になってやがるじゃねぇかっ! 助太刀上等っ!」


キサラギ「そういう事~! お二人さん楽しんでるっぽいから、邪魔しちゃアレかなって思ったんだけど!

 相手10人がかりとなると、助っ人がいるよね! おっけー! 待ってて!」

 

伝之助「向こうも2周も落とされたんじゃ引っ込みつかないんだろね。

 ヘリ居るんだ! なに、その美味しい相手! なら、イグラ持ってくよ!」


ミウラ「援軍お呼ばれします! って言うか、PKとかマジムカつくんですけど! 絶対っ! 粉砕っ!

 うふふ…PKなんか、二度とやる気が起きなくなるくらいベッキベキに心折ってやろうっと!」


かうんたっく「義によって、助太刀了解っ! うちもフルメンで行きまっす!

 ヘリ出されてるなら、うちもカウンタック号出しまっす! フレッチャ歩兵戦闘車って知ってます?」


 皆の返事が戻ってくる。

 なんだ…皆、待っててくれた様子。

 ありがたい話だった。


 それにしても、かうんたっく氏…フレッチャ歩兵戦闘車ってまぢか。

 

 イタリア軍のチェンタウロ戦闘偵察車。

 …これは、最近日本に配備された16式機動戦闘車と同じ戦車砲搭載の装輪装甲車なんだけど。


 それの兵員輸送車仕様と言えば解りやすい。


 装輪輸送車と言って甘く見ちゃいけない。

 時速120kmで突っ走り、エリコンKBA 25mm機関砲を搭載し、M2重機関銃の弾丸を跳ね返す装甲を持ちながら、完全武装の歩兵7人を乗せられる。


 ヘリ相手でも、十分戦える強力な奴だ。


 昨日の敵は今日の友。


 こりゃ、頼もしい援軍だ。


「なんか、皆スタンバってたみたい…すぐ来るってさ。

 かうんたっく氏もなんかびっくりドッキリメカ持ってくるって言ってた。」


「ミウラさん、気合入ってるなぁ…わたしにもウィス来たよ!

 けど…この分だと、わたしら一回はブッとばされるねぇ…ロケラン積んでるよ…アレ。」


 言われて、迫り来るUH-1のシルエットを見つめる。

 左右のハードポイントにM134ガトリング砲とロケット砲…Mk4 FFARが搭載されている。

 M21サブシステム搭載のガンシップタイプだった。


 なんだそりゃ、オーバーキルもいいとこだっての。


「…ヘリ相手、それにこの地形じゃ、逃げても逃げ切れそうもないねぇ。」


「だよねぇ。さすがにここまでオーバキルで来られると、さすがのカナちゃんもお手上げだわ。」


「けどまぁ、増援呼んだから、デスペナオンラインにはならないでしょ。

 爆発オチかね…こりゃ。リア充爆発しろってか?」


「よし、じゃあさっ! モンドくん、だったらリア充らしく、あれやろっ!

 お題は戦場の露と消える男女、わたし達、最後まで一緒だよねっ!」


 そう言って、満面の笑みを浮かべて加奈子さんが両手を広げる。

 そう来たか…まぁ、いっか。今度は失敗しないようにしないと。


 僕が高さを合わせて、膝をつくと加奈子さんが胸に飛び込んで来て、ギュッと抱きしめてくれる。

 僕も応えるように、その小さな肩を抱きしめる。


 頬を赤く染めながら、無言で顔を少し上げて、目を閉じる加奈子さん。


 ええっ! ここで…しろと?


「何やってんだよぉ…女の子に恥かかせんなっつの…。

 あと、名前呼んで…カナちゃんじゃなくて、加奈子って…。」


 躊躇ってると、小さな声で加奈子さんのリクエスト。

 ここはやるしか無いでしょ…爆発させられる前にキメないとね。


「か、加奈子…そ、その…」


 そう言って、僕はそっと加奈子さんの顎に指を這わす。

 うっわあ…何かすっごいドキドキする…リアルでする訳じゃないのに。


 ここで、愛してるよ…とか言ってやれと、もう一人の自分がエールを送る。


 けど、無粋なシュルシュルと言うロケット弾の飛来音。

 えいっ! ままよっ!


 そして、僕達はお互いの唇を重ねようと…した。


 直後、無情な爆発音と共にブラックアウト。



 かくして、リア充は爆発した。



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 もはやお約束のデスペナ部屋。


 ひっくり返った格好のままで、ぼんやりとその真っ暗な天井を見つめる。

 

「あと数センチだったんだけどなぁ…。」

 

 なんか、直前に「リア充爆発しろっ!」とかシャウトが聞こえてたけど。

 戦隊物の怪人だって、空気くらい読むっての。


 腕に残る加奈子さんの細い身体の感触がなんとも名残惜しかった。

 今のでリアルに死んでたら、絶対成仏出来そうもない。

 

 憮然としながら、タイマーのカウントを見つめる。


 これ絶対、加奈子さん荒ぶってるよなぁ…ゴメン。



さすがに、加奈子さんもヘリには勝てなかったよ。


うだってる間に爆発オチ…うん、ラブコメの基本!


ちなみにM21サブシステムってのはUH1の強化オプションの一つで、

無痛ガンって凶悪なガトリング砲とロケットポットを搭載した簡易攻撃ヘリに仕立て上げられるシステムです。

多分、中学校の校舎とかをあっという間に廃墟にできます。


でもまぁ…こんなもん付けて、兵員満載とか、かなーり無茶してます。

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