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第九話「ロリおかんのいる我が家。」②

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第九話「ロリおかんのいる我が家。」②

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 今日のメニューは、唐揚げのようだった。


 大皿にてんこ盛りの唐揚げに、レタスやらプチトマトで縁を囲んだシンプルメニュー。

 プラス コンソメスープと山盛り千切りキャベツ。

 

「じゃじゃーん! 今日は雛乃特製唐揚げだよーん! 黒っぽいのがにんにく醤油風、白いのはオーソドックスに塩コショウ風味! 二種類の味にしてみましたっ!」


「お、美味そうじゃん…どっちがオススメ?」


「お兄はにんにく醤油の方が好きなんじゃないかな…雛乃は塩コショウにレモンかな。」


「ゴメンな…僕、唐揚げにレモンは許せない派なんだ。」


「そう思ったので、初めからレモンかけたりとかしてないのです。やっぱ雛乃って気の使えるいい女よね!」


「いい女かどうかは知らんけど、立派に主婦はこなしてるからなぁ…エラいぞ!」


「ふふーんっ! お兄は家事とか全然駄目だから、雛乃はお兄のお嫁さんになった気分だよっ!

 ねぇっ! 愛してるよ…雛乃って言って!」


「…それはもういいから、いただきますっ!」


「ちぇっ、つまんないの…どうぞ、召し上がれっと!」


 そう言い合って、唐揚げをいただく。

 にんにく醤油の効いた濃い目の味…衣はカラッで肉はジューシー。

 塩コショウ風味の方は、マイルドながら基本に忠実。

 

 うん、やっぱ雛乃料理上手いよなぁ…これなら何処へ嫁に出しても恥ずかしくない!

 

 食べながら、TVのニュースを見ると、チベット動乱のニュースをやってた。

 国籍不明の武装集団…チベット解放義勇軍と人民解放軍が交戦し、人民解放軍潰走とかなんとか…。


 って! おいおい…3倍以上の兵力差で、確実に粉砕とか威勢のいいこと言ってたのに負けたのかよチャイナさん。

 しかも、潰走なんて表現からすると、全滅判定一歩手前で逃げ帰るハメになったって事だろう。


 義勇軍とやらに、フィンランド軍でも混ざってたのか…はたまた兵站潰しのゲリラ戦でもやられたのか。

 林芝ニャンティ市ってとこが義勇軍の拠点にされて、三方向からの包囲殲滅狙いで8個師団くらい動かしたって話。

 …数的には約2万の義勇軍に対して鎮圧軍7万くらい。

 チャイナさんお得意の人海戦術でのオーバーキルってとこなんだけど。

 どうやって勝ったんだろ…? 山岳地帯だから、長蛇の列作ったとこを側面奇襲でもかけて各個撃破?

 

「なんか、物騒なニュースやってるね。これどっちが悪モンなの? どっちも解放って言ってるけど、なんのこっちゃ? ややこしくて雛乃、良く解かんない…。」


 味噌汁を飲みながら、雛乃がニュースの感想を述べる。

 確かにあの地域の問題は非常に根深くややこしい。

 小学生に解れという方が間違ってる…。


「戦争に悪モンも良いモンも何もないさ。一方は侵略者から祖国を解放…。

 もう一方は同胞を守る為に反乱を鎮圧って感じ…どっちも大義名分としては充分。

 ただ勝てば官軍…今回は侵略者を撃退して、祖国開放の第一歩って訳さ。

 義勇軍ってのが、ものすごーく胡散臭いけど…いずれにせよ勝ったのは間違いないからね。

 と言うかよく勝てたなぁ…普通、負けるぞ…こんなの。」


 義勇軍…国籍不明のならず者の寄せ集めって割には武装は充実、練度も高い。

 …おそらく…表立って戦争はしたくないけど、チャイナさんの足を引っ張りたい国々が送り込んだ現役の兵士達ってところか。

 この手の話は、日中戦争のフライングタイガースを筆頭にゴマンと有る…言わば常套手段。


 アメさんやインド、フィリピンとかその辺が関わってるのは間違いない…下手すれば自衛隊も。

 

 ただここでボロ負けしたとなると、チャイナさん結構ヤバイ。

 あの国は火種だらけなのを武力で抑えつけてきた経緯がある。

 その武力が圧倒的優位な条件で惨敗したとなると…情報統制もいい加減破綻してるし、もう抑えきれないだろう。


 次はそうなると…チベット全域、その後はウイグル、上海、香港、台湾あたりってとこ。

 ただ中共がこのまま手をこまねいている訳がない…この分だとどっかで勝って、埋め合わせしないと国が持たない。


 だから、絶対どこかでなんかやらかす。

 

 そう考えると、またぞろ尖閣辺りか、色々きな臭い台湾とか…親父達の出張も絶対関係ありそうだ…。


 二人共、無事に戻って来て欲しい…海の向こう側の出来事なんだけど…はっきり言って全然他人事じゃない。


 …こんなこと雛乃にはとても言えないけど…家族ってのは、いて当たり前なんだ。

 誰か一人でも欠けるような事は…あって欲しくない。


「お兄、さすが詳しいねぇ…と言うか、そうなの? 雛乃全然わかんないだけど。」


 雛乃の感想に、我に返る。

 どうも軍事オタクって奴はこんな海外の紛争のニュースからでも、色々想像出来てしまう。

 平和が一番なんだけど…日本国内が平和でも、周りは全然そんな事ない…これが僕達の住む世界の現実。

 平和ってのは、いろんなもんを犠牲にして成り立ってるんだから。


「ん、ああ…よく勝てたなって話だっけかな。

 要は一人相手に三人がかりで、殴りかかったようなもんだからね…普通、勝てないだろ。」


「三人がかりとか、何それ! イジメ? けど、それで勝つとか、きっと無双ゲームの主人公みたいなのがたくさんいたんだよ! 我は無敵なりーってさ!」


 …今朝のメールから連想したアルデバラン無双の光景を思い出す。

 うん、ミウラ先生も戦場行って、無双しそうだ…たぶん加奈子さんも。


 キサラギもだけど、ガンフロのリアル女性陣…皆強いよな…。

 リアルの野蛮ヒロイン二人も大概だけどさ。

 

 なんて、思ってたら、スマホにメール。

 

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 タイトル:わーい! 空也くんからメール貰っちゃった!

 差出人:黒木加奈子

 本文:めっちゃ寝てたっ!

 タブレットちゃんのメールお知らせコールで起きたら、空也くんのメール!

 し、しかも…「愛してるよ…加奈子」なんて、ちょっ! 君、大胆すぎっ!

 モンドくんの甘々ボイスで脳内再生ばっちりでした!

 もうね…さいっこうのお目覚めでした! 加奈子ちゃん幸せっ!

 思わずベッドの上で枕抱えて転げ回って、落っこちそうになっちゃったよ!

 おかげで熱なんてどっか行った! 加奈子、復活ですっ!

 

 それと嫁設定の件ですけどね…。

 …昨日、モンドくん落ちてから、ミウラ先生とチャットしてたら、つい勢いで嫁です! とか言っちゃった!

 キャーッ! 思い出すだけで、恥ずいーっ! なんかわたし、萌え死にそう!

 けど、空也くんが嫌なら、自称って事にしますから、無理に合わせなくてもいいよ?

 今のメールだけで加奈子さんは、なんかもう幸せ気分夢気分なのです。

 じゃあ、わたしは先にガンフロインします。

 あ、空也くんはゆっくりと来てね! リアル大事、大事。

 でも、早く会いたいな…なんて。          By 嫁より愛をこめて (*ノェノ)キャー

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 思わず、吹いた。

 でもって、ベッドの上で真っ赤になって転げ回る加奈子さんを想像して、なんともニヤニヤが止まらなくなる。

 ちょっと大胆なセリフ混ぜちゃったけど…思ったよりウケたっぽい。

 

「お兄…ご飯中にスマホ始めて、ご飯吹いて、ニヤニヤとか…ちょっとキモいんだけど。

 雛乃のお兄ちゃん像が壊れちゃうから、止めてくんない?」

 

 雛乃がジト目でこっちを見る。

 ああ、そう言えばこいつもガンフロ始めるんだっけ。

 カナちゃんどうやって紹介するかな…正直に、言っとくかこれは。


「ああ、すまん…その…ゲーム内嫁の娘からメール来てさ。

 内容が面白すぎて吹いた…食事中にメールとか悪かったな…スマンスマン。」

 

「え? それマジ? あれでしょ! ネット彼女とかそんな感じ?

 いやぁ…お兄モテますねぇ…リアルで伽倻お姉さんと葵姉ちゃん、美奈ちゃんにこの雛乃。

 お兄ハーレムすでに四人もいるのに、更にネット彼女まで! さっすが!」

 

 とんでもないことを言い出す雛乃。

 ハーレム? 美少女ゲームとかでよくあるけどさっ!

 絶対違うだろ…コレっ!

 

「こらまて…何を言い出すお前はっ!

 と言うか、なんで篠崎のこと知ってるんだ? お前に話したことなんて一度もないぞ。

 あと、ハーレムってなんだそりゃ? そんなもん作った覚えないんだけどさ? 」

 

「雛乃ネットワークを甘く見ないでほしいな…葵姉ちゃんから色々聞いてるからね。

 伽耶さんなら、本人にも会ったよ! 綺麗な人だったね…伽耶お姉さんって呼んで良いって言われた!」

 

 …僕の知らないところで、そんな事に…。

 篠崎の奴…さては、自宅近辺まで来てたな…雛乃にまでちょっかい出すとかあり得ん…。

 と言うか…お姉さんとか呼ばせるとか、将来予約済みとでも言いたいのか…あんにゃろう…。

 

「そうなると、お兄に思いを寄せてる女の子…これで五人目って事だね!

 これってどんなハーレムって話だよね…うんうん、解ります。

 雛乃はお兄がモテればモテるほど、嬉しいのだ…一夫多妻どんと来いだもんっ!」

 

 …どんと来ないでください。

 ハーレムって、加奈子さん以外は全員バッドエンド直行じゃないですか。


 と言うか、なんで葵が入ってくるかなぁ…幼馴染は永遠に幼馴染だと思うよ?

 雛乃も未来永劫、僕の妹なんですよ?

 

 美奈ちゃんも触るだけで、事案バッド・エンド!


 篠崎は…あいつ、突然記憶喪失とかなったりしないかな…。

 あのついカッとなる攻撃的な性格、口より先に実力行使とか、ヤンデレ気質とか…ああ、ダメだ。

 

 篠崎伽耶さん…ホント、どうすりゃいいのよアレ?


 なんか、雛乃の変なスイッチを入れてしまったようなので、そそくさと飯を掻き込み、ご馳走様。

 風呂は…もう、寝る前に入ろう…。

 この分だと十中八九雛乃の乱入が来た挙句に、根掘り葉掘り聞かれるのは避けられない。


「あ、お兄! 先にお風呂行ってて、今日は雛乃と一緒に入ろう! お背中流してあげるよ!

 でもって、しっぽり二人湯船に浸かりながら、詳しく色々話を聞いてあげるのだ! それとペロペロも特別に許可するよっ!」


「お断りです…今日はもう部屋に引き篭もるから、お前は先に風呂済ませて、宿題やって寝ろ!」


 そう言い残し、逃亡っ! 部屋に戻って、鍵をかける。

 

 ふぅ…雛乃…メンドクセーっ!

 けどまぁ…何の情報も無しで加奈子さんに会わせる方が却って面倒くさい事になっただろう。

 ホントに、耳年増な上にブラコンとか、困ったもんだっての…。


 ああ、もう…ガンフロ…。

 あの殺伐とした世界でも、僕にとっては心のオアシスだったのに…。

 何故、雛乃に侵略されなければいけないのだか。


 PCを起動し、ガンフロクライアント起動。


 ログイン…するなり、いきなりヴィーヴィーとアラート。


『Attention! Call For Reinforcements!』


 増援要請のテロップがいきなり出た…何事?


 殺伐とした世界には、やっぱり殺伐なお出迎え。

 

 今夜のガンフロはちょっと過激な事になりそうな予感がした。

集中治療室は、スマホ圏外なんすねー。

だから、予約上げ。

機内モードで続き書いてるんじゃないかな。

きっと。

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