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第七話「学校に行こうっ!」③

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第七話「学校に行こうっ!」③

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 まず、その日の午前中は問題なかった。

 昼になると僕の教室…つまり2年D組に当たり前のように弁当持参でやってきた。

 

 どうもお昼は二人でお弁当と言う計画だったらしく、余らせてしまうのも勿体無いし、クラスメートからもまるで悪者を見るような目で見られたので、止むなくご相伴に預かることにした。


 ちなみに、そこから先の事は僕は覚えていない。

 一口二口ほど食べた事と美味かった事は覚えているのだけど…。

 

 なので、そこから先は保育園から延々と同じクラスと言うもはや奇跡の腐れ縁…幼馴染の杜若葵かきつばたあおいから、聞いた話なのだが。


 まず僕は突然昏倒し、意識不明の状態になったのだそう。

 …篠崎が僕を保健室に連れて行くと称して、背負って行こうとしたので、杜若も手伝うべく、篠崎の肩に手を触れようとしたのだが。

 

 その瞬間、まさかの正拳突きが返ってきた!

 杜若は、空手家の親父さん直伝、空手黒帯級の武闘派少女だったので、その躊躇ゼロの顔面狙いの一撃はかろうじてガードしたのだが。


 その光景を見て、キレたのが密かに杜若の友人でもあり、彼女に密かに想いを寄せていたヤンキーの大山君。

 何すんじゃワレとばかりに篠崎に立ち向かったのだけど。

 

 正中線三段突きなんて物騒な技で一撃轟沈!


 これは、人体の急所…丹田、鳩尾へ二段正拳突きを決めた後、フィニッシュで顎に飛び膝蹴りを決めるとか言う技。

 格ゲーでそんな技見た事あるけど…リアルでやっちゃダメな技。


 仲間をよくもとばかりに、大山くんのヤンキー仲間の小竹君と中島君も立ち上がったのだけど…。

 篠崎に軽く触れられただけで、コマのように空中を舞い、敢え無く撃沈。

 …空気投げとか言う柔道の技に見えたのだそうだけど…。

 相手の受け身とか一切考慮なしのガチ殺しの古武術系の技だったらしい…なにそれ、頭おかしい。


 かくして、二年D組の教室は四人もの男子生徒が転がる惨劇の舞台となった。

 僕も含めて、クラスメート4人を葬り、なお敵意を向け続ける篠崎に杜若も応戦しないわけにはいかず、訳も解らないまま、篠崎VS杜若のキャットファイトが勃発!

 

 そして、篠崎は騒ぎを聞きつけた先生の接近を悟ると三階の窓からダイブ。

 その足取りは誰も追うことなど出来なかった。

 

 篠崎伽耶…恐るべし! やべぇのにロックオンされて、中室ピンチ!

 そんな風にクラスメートの誰もが僕の運命を案じるに足る出来事となった。


 それからはしばらく、毎日が修羅場だった。

 毎朝、如何なるルートを用いても待ち伏せされ、前述のように時間帯を変えても無駄。


 もう止めて下さいと頭を下げたら、なんか首筋がチクッとしたと思ったら、意識が飛んだ。

 

 この時もやっぱり、昏倒したまま危うくお持ち帰りされそうになったらしかったのだが。

 たまたま通りがかった杜若が、助けに入ってくれたらしくセーフ!

 なんでも一戦交えて、力づくで取り返したらしい…杜若すげぇ!

 

 と言うか…お持ち帰りされてたら、僕はどうなってたんだろう?

 あまり想像したくなかった。


 その後、どうも杜若と篠崎の裏での攻防戦が繰り広げられてたらしいのだけど。

 その辺の事情はよく解らないし、なんで杜若がそこまで頑張ってくれたのかも良く解らない。

 

 幼馴染への義理とか言ってたけど、しょっちゅう痣やら絆創膏だらけになってたりと…。

 なんとも痛々しい姿になりながらも、文字通り連日身体を張ってくれたらしかった。

 

 もっとも、篠崎の蛮行はそれだけに留まらず、深夜僕の部屋へ夜這い敢行なんてのもやらかしてくれた。

 

 ある夏の熱い夜…人の気配と衣擦れの音で目を覚ましたら部屋の中で正座待機状態。

 

 でもって、目が合うなり、いきなり脱ぎだした!


 いや…まぁ、すっげぇ綺麗でしたよ?

 …基本的には美少女だし、色白さんでスタイル抜群だもんコイツ。

 

 けど、月明かりに照らされながら、衣服を一枚一枚脱ぎながら、無言でジリジリと迫って来る光景は、なんかもうホラー。

 …本当に恐怖の頂点に達すると…人間って、何も出来なくなるのな。

 

 けどその日は、どう言う訳か雛乃が僕のベッドに潜り込んで来ていた。

 …それも熱帯夜で暑いからって下着姿というあられもないカッコ…。

 それに気付いた向こうが何やら勝手にダメージを受けて、撤退してくれて事なきを得たんだけどな…。

 

 素手で窓ガラス粉砕して、いくら深夜で人気がないからって、下着姿のまま夜の住宅街を逃亡とか、女子あるまじき暴挙だと思う…。

 

 けど…その後、色々あって…こっちも割と篠崎の扱い方も解ってきた。

 

 要するに、こっちが逃げたり拒絶すると、より一層ムキになって迫ってくるタイプで、逆に強気に出ると案外大人しくなると言うことが解ってきた。

 あまり邪険にしないようにしたら、前ほどヤンチャはしないようになった。

 

 つまり、飼い慣らしたって事だ。


 とりあえず、朝と帰りに並んで登下校する事と、お昼に弁当くらい付き合ってやってる感じ。

 傍から見ると、如何にも彼氏彼女みたいな感じに見えるかもしれないが、そんな甘い関係じゃないのだ。


 こっちは正直、猛獣を連れ歩いてる気分。


 おまけに、パーフェクトレベルの隠蔽スキルをリアルに所得しているので、毎度毎度こんな風に忽然と現れるので、なかなか心臓に悪い。

 

「先輩? どうかされましたか?」

 

 篠崎が小首を傾げながら、聞いてくる。

 

「あ、ああ…篠崎も最近は無茶しなくなったなぁと改めて、思ってたわけでな…。」


「はい、わたくしはこうやって、先輩の隣を歩けるだけで幸せなんだと気づけました…その節は色々とご迷惑をおかけしました…。」


「うん、じゃあ…その殊勝な心がけに免じて、手でも繋いでやろうか?」


 そう微笑み返して手を差し出すと、顔を赤くして三歩ほど後ろへ離れて、手を繋ぎ返そうがどうか迷うような仕草のあと、更に三歩後退。


 うん、僕の勝ち。


 夜這いなんぞ敢行した挙句、深夜のストリーキングをやらかしたような奴と同一人物ととても思えない。

 初めから、コレくらい慎ましかったら、良かったのに。

 初手から脳内のどピンクな妄想垂れ流しで、想いの丈を相手にぶち撒くのは、ある意味痴女と変わりない…やっぱ、女性たるもの奥ゆかしさと慎みは大事だよね。


 篠崎が振ってくる今日の天気やら、ニュースの話やらに適当に相槌を交わしているうちに、富士林高校に到着。

 時間は8時20分…今日も何事もなく到着。


 篠崎としては、朝のひとときをご満悦いただけたらしく、上機嫌な様子で一年の教室の方に消えていった。


 デイリーノルマ達成。

 肩の力が抜け、深くため息を吐く。


 そして、教室に入るなり、杜若が僕を見つけ駆け寄ってくる。


「空也っ! なんだよぉ…ここんとこガッコサボってたから、今日来るなんてこっちも思ってもなかったよっ!

 と言うか…そうなると、篠崎に出くわしたんじゃないの? 大丈夫だったの?」


 まぁ、幼馴染と言えば幼馴染だから気安いもん。


 見た目は、赤みがかった長い髪をポニテでまとめた感じで大きな目とそばかす顔、口を開くと八重歯が目立つ。

 顔立ちは悪くない…むしろ、黙ってれば美少女と呼んで差し支えないだろう。

 

 全体的に引き締まったアスリート体型で背がすらっと高い。

 並ぶと僕よりデカい…180cm近くはあるらしい。

 

 小学校くらいまでは、男と同じようなカッコしてたし、一緒に山とか川で遊んだもんだ。

 家もご近所…と言うか向かい隣。


 親父さんが道場やってる関係で、空手少女でもあるんで、スパッツ標準装備。

 スカートは結構際どいミニスカ状態…スパッツないとパンチラ必至。

 ただ…基本的に色気ってモンに欠けてる上に、胸も控えめBカップ。

 性格的にも何と言うか…とっても漢らしくて、豪快かつガサツ。


 確かに幼馴染なんだけど、正直恋愛対象外って感じ。

 何と言うか、こいつとの仲って、もう男友達とかそんな感じなんだよね…。

 中学入って、制服着てスカート履いてる姿見て、ああ…コイツって一応女だったんだって再認識したくらい。


 美少女ゲームなんかじゃ、女のコの幼馴染とイチャラブ展開になるとかよくあるけどさ。

 10年以上も幼馴染やってる相手に、恋愛感情なんて沸かんよ?

 はっきり言って、もう空気みたいな感じ。

 なお、朝起こしに来たりとかそんなイベントも無い。


「まったく…葵も心配症だねぇ。篠崎は…例によって、待ち伏せしてたみたいだけど。

 最近、扱い方が解ってきてね…今朝はなかなかご満悦な様子だった。

 要は邪険に扱わず、たまに強気で迫る素振りをするだけで、むしろ満足する…対処が解れば可愛いもんさ。」

 

「ふーん、けど、あんま調子に乗ってると、また襲われるよ?

 あたしが側にいる時なら、何とかしてあげるけど…。いないとこで、襲われたらどうにもならないからね。

 そうなるとお昼にはまた愛妻弁当持って、来襲って感じかな。

 大山達には逃げとくよう伝えとかないと…。

 あいつ未だに、篠崎見ると脂汗流して卒倒しそうになるみたいなんでね。」


 大山君達には、ホント悪いことした…義侠心で立ち上がってくれた勇士だったのに。

 篠崎の公式犠牲者一号となってしまった…すまない…誠にすまない。


「い、一応、あたしもお弁当付き合ったげるよ! その…また何かあるといけないしさ!

 ホント…篠崎には気をつけろよ…あいつ、何考えてんか全然わかんないし。

 向こうがその気になったら、空也なんてあっさりやられちゃうからな…あいつマジでつえぇから。

 てか、なんでいきなり朝から来てんの? …サボり魔のくせに。」


 ああ、そう言えば…学校来る時は前日に連絡するって話だったの忘れてた。


 こいつと学校行けば、ママチャリに乗せてくれるから楽できる上に、朝イベントの篠崎エンカウントを強行突破出来る。

 

 ちなみにドライバーは杜若。

 普通、自転車ニケツなんて言ったら、女の子荷台に乗せてって思うんだけど…。

 コイツの方がデカいし、体力も断然上…それに、なんかいつもやたらハッスルするんだよな…。

 二人乗りママチャリ立ち漕ぎフル加速で、車と並ぶとか意味が解らない…。


 それでも、うっかり信号待ちや渋滞で止まったりしたら、速攻篠崎エンカウント。

 こいつも大概だけど、篠崎も大概だった。


「いやぁ…ネトゲで知り合った人が高校の先生でさ。

 サボりまくってんのがバレて、お説教されて…とりあえず、しばらくは真面目に通うことにした。」

 

「そっかそっか! そりゃいいことだと思うよ。三浦先生、泣いて喜ぶんじゃないかな?

 …ガンフロだっけ? その先生いい仕事してくれるねぇ…。

 おっ、噂をすればなんとやら…一応、三浦先生には謝っといた方がいいよ。

 あたしなんかにまで相談してくるくらいには、悩んでたみたいだし…。」

 

 杜若に促されて、振り返ると三浦先生が教室に入ってくるところだった。

主人公のリアルな身の回りの人達って事で、新キャララッシュ!


今回は、幼馴染属性の杜若葵ちゃんです。

リアルヒロインその2。

カキツバタって「燕子花」とも書くんですけどね…人名っぽくないので、「杜若」を採用。

ルビ振らないとどっちも読めませんね。

デカくて強くて、献身的…でも、アホの子。

基本、脳筋ガールですけど、頼まれると嫌と言えないお人好しさん。

エエ娘です。


なお、主人公の独白では「杜若」で、本人に呼びかける時は「葵」になってますが。

これは、お互い名前を呼び捨てにするのが自然な位の仲だから。

でも、他人に紹介する時なんかは他人行儀に杜若呼ばわり。

なんとも複雑な二人です。


伽耶ちゃんは、ドS自己中ヤンデレ腐女子と言う素敵な方なので、立ちふさがる敵は粉砕っ!

愛の為なら脱ぎますし、ストリーキングだってやっちゃいます。


テンプレヒロイン? なにそれ?

ちなみに、次回登場の三浦先生はまともな人(?)です。

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