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第六話「彼氏彼女の戦場な日常」③

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第六話「彼氏彼女の戦場な日常」③

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 例によっての、三角飛び機動で忍者みたいにすっ飛んできたカナちゃんと合流。

 一路マップ左上端の敵陣地を目指す。

 

 …むこうもさすがに本気になったのか、無線もオフにしたらしく急に静かになった。

 

 普通に走ると、カナちゃんと僕はほぼ一緒だから、並んで走る。

 と言うか、アサルトメディックって移動補正入ってるから、むしろこっちが早いはずなんだけど…。

 なんで並べるんだろ? しかも、いわゆる女の子走りで時々スキップなんかしちゃって…。

 

「なんか、やってる事はあんま変わんないねぇ…カナちゃん。」


「あっはっは…わたしが攻めて、モンドくんがフォロー…だねっ!

 いやぁ…パイソンオンリーなんて、やっぱキッツいっす…けど、こう言うの…やっぱ楽しいっ!

 飛び交う弾丸! ギリギリの生死を分ける刹那の見切りっ! くぅーっ、生きてるって実感するわー。」

 

 なんかやっぱ、赤マフさんの時より生き生きしてるし、テンション高っ!

 …なんとなく、カナちゃんって…戦闘狂とかそんな感じ?

 普段、どんな生活してるんだろね…?


「どんな感じで行く? 特攻するなら僕は援護かな…一緒に突っ込んでいっても、あっさり落ちそうだ。」


「陣地前は遮蔽物無いからねぇ…モンド君に制圧射撃してもらって、その隙に突撃っ!

 弾幕切れたら、避けまくりながら敵陣特攻で手榴弾ボーンっ!

 所詮Fランルーキー、ぶっちゃけ、一発被弾で落ちるから、そんな感じで華々しく散ってきますよ。」


 なんとも、あっさりとした特攻宣言。

 キサラギなんかも、C-4抱えて敵諸共爆発オチってよくやってるし…。

 

 今のカナちゃんは赤マフさんと違って、命が軽い…けど、ちょっと複雑。

 あ、これか…。


 ふと、赤マフさんが僕らを見送る時、悲しそうな顔をしていた事を思い出す。

 誰も死なないし、すぐ戻ってくると解ってても戦友の最期を見届けるのはあまりいい気分じゃない。

 

 けど、今は逆の立場…守られるよりも率先して捨て駒として、戦える。

 …だから、彼女はこんなにも生き生きとしてるんだろうな。

 

「それにしても…こんな至近距離戦闘なんて赤マフの頃は論外だったけど、案外楽しいもんだね!

 向こう、ブレブレいるから、白兵戦になるかも…CQCって、ちょっち苦手だし、この体格だとキツいなぁ。

 あのミウラって人なんて、2mはあったよっ! さすがに、あれは喧嘩になんないっす!」

 

 確かに…僕もCQCはダメダメだけど、それでもカナちゃんに負ける気はしない。

 そもそも、やる気もないけどさ。


「まぁ…元々スナイパーやってたんだから…近接戦闘とか、ムリしないでいいよ。」

 

「あ、そうだっ! サイドアームでグロック持ってたよね? ちょっと貸して!」

 

「いいけど、こんな豆鉄砲役に立つの? 弾数くらいしか取り柄ないんだけど…これ。」


 言いながら、ほとんど一度も役に立ったことのないグロック17を手渡す。


「ふふん、これなーんだ?」


 両手に拳銃を構えて、両腕をクロスする独特のスタイル…ああ、もしかして…?


「ガン・カタ? そんなんまで、やっちゃうの?」


「わたしも、二丁拳銃でのインファイトって位しか知らないんだよね。

 まぁ、気分ですよ! 気分っ! インファイトもたまにはやってみるか…。

 向こうにも少しは華持たせないとね!」


 案外、適当な思い付きだった。

 まぁ、僕もよく知らんし…。


 森が開けた所に出る!

 土嚢と旗が翻る敵陣は目の前!!


 森から飛び出すなり、ステアーTMPで弾幕を張りつつ、右手を振り下ろす!

 カナちゃんが突撃開始っ!


「うぉっ! まじか! 敵陣特攻とかアツい真似やってくれるっ!

 Fランちびっ子とさっきのメディックさんかっ!

 皆、総掛かりだ! らんぼるぎーにの意地に賭けて、ここは守り抜くぞっ!」


 かうんたっく氏が身をかがめながら、叫ぶ。

 敵陣には6人…全員集合して、打ち合わせでもしてたらしい…。


「かうんたっく! さっきはイオタのポカで不完全燃焼だったからな! ここは俺が迎え討つっ!

 ちびっ子とは言え、あの身のこなしっ! タダもんじゃねぇのは、もう解ってる! 本気でやるぜっ!」


 ずぃっと2m近い巨漢…肘や膝にスパイクの付いた黒くてゴッツいプロテクターを着込んで、二本のツノ付きメットを被ったミウラ氏が陣地から出てくる!


 戦闘始まってから、直に見るのは初めてなんだけど…。


 うわっ! なんだこれっ! ブレブレの機動装甲服じゃなくて、本物の鎧じゃん!

 と言うか、この人だけ他の連中と違って、なんかオーラみたいなのが漂ってる気がする!


 何と言うか…ボスキャラ臭とかそんな感じっ!


「お任せですっ! 他の奴はミウラさんの援護とメディックを制圧! らんぼるぎーに、なめんなーっ!」


 かうんたっく氏の指示と共に、カナちゃんが突っ込んでくるのに向かって、400GT氏とエスパーダ氏が弾幕を張る!

 

 400GT氏はSIG SG550なんてマニアックな小銃。

 エスパーダ氏はAK-47…割と堅実。

 

 こっちにも、かうんたっく氏の放つ銃弾が飛んで来るので、少し下がって姿勢を低くして樹の裏に隠れながら、牽制射を放つ!


 カナちゃんは、綺麗に素早く側転を繰り返しつつ、弾幕を振り切ると、最後にバク転ジャンプを決めながら、空中でパイソンを二発!!


 土嚢から頭だけ出していた400GT氏の頭部に二つの赤い着弾エフェクトが表示され、大きくのけぞる!


「ナイスヘッドショットッ! かっけー!」


 その映画のワンシーンのような銃撃に、思わず、感嘆の叫びをあげてしまう。


「400GTーッ!」


「ス、スタイリーッシュッ!」


「か、神回避だっ! なんだ今のっ!」


「スクショだ! スクショを撮るんだっ!

 ミウラの兄貴っ! 別に勝たなくていいから、なるべく粘ってくれっ!」


なんか敵陣で歓声が上がってるっ!

あんな神プレイ、間近で見ちゃったらそうなるよなぁ…。


「うぉおおっ! なんだそりゃっ! お前、どこのSラン様だよっ! ランク詐欺もいいとこだろっ!

 くそっ! 俺の本気見せてやる! 必殺ッ! 縦一文字唐竹割りッ! 受けれるもんなら受けてみろっ!」


 ゴツい両手剣を眼前に掲げて、ミウラ氏がカナちゃんへ向かって突撃し、着地直後を狙ってまっすぐ振り下ろす!


 ガツンッと言う金属音がしたと思ったら、その剣筋が逸れ、地面を叩く!

 ミウラ氏が驚愕の表情を浮かべる!

 

 そして、カナちゃんの姿が消えるッ!!


 と思ったら…ミウラ氏の肩に手をつく格好で、逆立ちをしていた!!


 そのまま、唐竹割りを空振った直後で、背を曲げたミウラ氏の背中に両足を着いて着地すると、大ジャンプ!!


 これって、あれだ! ミウラ氏! あのセリフっ! あのセリフを言うんだっ!


「お、俺を踏み台にしたーっ!」


 ミウラ氏、たまらず前のめりに倒れながら、皆の期待に応えるかのように、あのセリフを叫ぶっ!

 

 そして、続けざまに石切のように地面を滑るようなジャンプを繰り返すと、最後に土嚢を足場に真上に向かってクルクルと大ジャンプ。


 もはや、陣中のらんぼるぎーにの面々は、ポカーンとその華麗なるウルトラCを眺めるしか無かった。


 そして、陣地の反対側の土嚢の上にシュタッと華麗に着地!

 …したのだけれど。


 その勢いの良すぎる着地と一陣の風のいたずらで、カナちゃんのミニスカートがフワッと大きくめくれ上がって、フリフリの可愛らしい黒いモノが覗いたのを…僕を含めて、その場にいた全員が見逃さなかった。


 水を打ったかのような沈黙が辺りを支配する。


「ナ、ナイス…パンツ…?」


 かうんたっく氏が一言。


「ビューティフォー…ふつくしい。

 一連のアクロバティックアクションによる太もものチラリズムで、皆の目線を釘付けにっ!

 その上で、意外性に満ち溢れ、かつそのこだわりを感じさせる黒の可憐な下着をフルオープンッ!

 そして、その頬を桜色に染めた恥じらいの表情、まさにパーフェクツッ! パーフェクトパンチラッ!」


 エスパーダ氏、拳を握り締めて、目から滝の涙。

 …なんなの? この人。


「ディアブロ…スクショ撮れた?」


「バッチリだっ! イオタ!

 けどさぁ、この状況…俺達この後どうなるかは、もう言うまでもないけどな…覚悟は出来てるか?」


「ああ、死して屍拾う者なし…だな…この運命は甘んじて受け入れようか…兄弟。」


 カナちゃんの顔が見る見る真っ赤になっていき…。

 スチャって感じでパイソンとグロック17を構えて、その手を交差させる!


「こ、このっ! スケベ野郎どもッ! お前らなんか皆、死んじゃえーっ! んにゃあああああっ!」


 なんとも可愛らしい悲鳴を上げながら、超至近距離からの拳銃乱射。

 為す術無くバタバタと撃ち倒される、らんぼるぎーにの面々…敵陣はあっという間に死屍累々…。

 動かなくなって、消えつつある状態になっても執拗に弾丸を撃ち込むカナちゃんの姿…。

 それは、まさに鬼気迫る物があった。


 良かった、要らないこと言わなくて…もし言ってたら、あいつらのお仲間入りだった。


 ゼイゼイとまだ赤い顔のままのカナちゃんが荒い息を吐く。


 唯一かろうじて生き残った…瀕死でボロッボロ状態のかうんたっく氏が、よれよれな感じで土嚢から顔を出すと僕と目が合った。

 

 なんだか、凄く満足そうな笑顔と共にサムズアップ! けど、その手には手榴弾が握られていた!


「カナちゃん! そこから逃げろっ! 手榴弾だっ!」


「えっ?」


 カナちゃんの顔が引きつる…次の瞬間、手榴弾が爆発っ!

 

 カナちゃんの姿が爆風に飲み込まれ、ステータスがDEADになった。

 

 かうんたっく氏…敵ながら、アッパレ! めっちゃ爽やかな笑顔と共にカナちゃんを道連れに逝った。

 まぁ、いいもの見れたんだから、そりゃ満足だろう…なんか、すっげーっ! 癪に障るけど!


 と言うか、散り際のサムズアップは彼の美学か何かなのだろうか?


 そして、カナちゃん…君を守れなくてすまない。

 

 とりあえず、お疲れ様。


 …最後に残ったのは僕とミウラ氏の二人だけ。

 

 この人の装甲服…マグナム弾、弾いたって…カナちゃん言ってたよなぁ。

 僕一人じゃ、どうあがいても勝ち目ない。

 と言うか、ステアーTMPだけじゃ、こんなボスキャラみたいな人…どうにもならないでしょっ!


「まるで嵐みてぇな…すっげぇちびっ子だったな…どうする?

 生き残ったのは、俺とあんただけみたいなんだが…いっちょやるか?」


「いやぁ…どっちにせよ僕じゃ勝てそうもないんで…ここはもうひと思いにやっちゃってください。」


 そう言いながら、両手をあげてミウラ氏に歩み寄りながら、自分の額を指差す。


「そ、そうか…じゃあ、すまんけど…お言葉に甘えて、落とさせてもらうわ…。

 ちびっ子にいいもん見せてもらったって、よろしく伝えといてくれ…。

 あ、一応言っとくけど…俺、何も見てないからな! 何ていうか、俺的には誰得って奴だしなぁ…。」


 そう言って、大型拳銃…IMIデザートイーグルを構えるミウラ氏。

 おおっ! 渋いっ!

 しかも、 Mark XIX(ザイックス).50AE弾仕様の50口径 6inchモデルっ!

 世界最強のハイパワーガンッ!


「おっ…あんた、いい趣味してるねぇ!」


「でしょ? デザートイーグル Mark XIX .50AE! あんま、使わないんだけど…浪漫ってヤツ?

 と言うか…何かコレ、やりにくいなぁ…ちょっとくらい、頑張ってみようって気になったりしないか?」


 苦笑するミウラ氏。

 なんか口調も妙に優しい感じ…見た目の割に気のいい人らしい。

 

 さすがに棒立ちってのもやりにくそうだから、一応こっちも構えるかっ!


「んじゃ、隙ありっ! いただきっ! って事でっ!」


 ニヤリと笑って、スチャッとステアーTMPを構える!


「ワリィな! 銃向けられちゃ撃つしかねぇや! じゃあ、またな!」


 バウンッ!


 銃声とともにブラックアウト。

カナちゃん、敵陣特攻!

パンチラサービスした挙句に銃乱射して、爆発オチ。


こんな最期を遂げるヒロインがいただろうか…いや、あんまり居ない。


モンドくんもデザートイーグルでヘッドショットで射殺!


仲良く揃って、デスペナ行き…。

まさしく、なんだこれ?


そして、明日までに10万テキスト分アップのノルマはいけるのか?


次回、VSらんぼるぎーに戦決着です!

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