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3.選択授業を選ぶのも一苦労

前話を加筆訂正しました。

 謎のカオスから抜け出したのは、あれから1時間くらい経ってからでした。

 そーっと抜け出そうとすると


「ウォルブライト君どうしたんだい?まだ時間は大丈夫だろ?」


と声をかけてくるアディンセル先生が、本当にホラーでした。

 穏行スキルをフルに使って、気配を完全に消していたはずだぞ!?


 おかげで攻略対象たちとじっくり話をすることになり、みんなからファーストネームで呼ばれるくらいに親密度があがってしまい、ゲームで言えば「好感度:20%」まで進んでしまって、みんなからアリスと呼ばれるようになってしまいました。

 ちょっと進み過ぎだろ?ゲームだったらイベントを3回くらいこなしてようやく到達してたはずだぞ?

 でも大丈夫、好感度が60%まではお友達エンディングというのがあるのだ。

 攻略対象たちとはつかず離れずいい関係で、それぞれ婚約者たちと結ばれてくれたら、私としては願ったりかなったりである。

 官吏になるとして、権力者たちに太いパイプラインがあるなら、それがベストではないか!

 ということで、目標を少し軌道修正して


攻略対象たちには触れない近寄らない視界に入らない→攻略対象たちとはいいお友達になろう


という方向でいくことにしました。

 面が割れた以上仕方ないですよね。

 下手にこじらせて嫌われて、官吏になってから苦労しちゃ元も子もないんです。

 なんでもポジティブにいこう、ポジティブに!

 消極的選択ではありますが……。



 さて、今日から2週間はどの講義を受けるか決めるための「予備授業」がはじまる。

 基礎科なので選択科目は少ないけれど、将来進む方向によって要不要があるものについては選択制になっているわけですね。

 全部の授業を選んでも授業が重なったりしないように考慮されているので、やる気のある生徒は全部選んだりするし、逆に1つも選択しなくても必須授業を全てクリアすれば卒業はできるというシステム。

 私はやる気は全くないけれど、官吏になるという目標があるので、政経・商学・都市管理あたりは選択しておきたい。

 逆に剣技や魔導・戦略といった実技系は、興味はあれども必要なしってことで、選択しないつもり。

 この他にもダンス・手芸・調理といった女子向け実技もあって、今後社交界に出ることも考えるとダンスは選択したいなと思ってる。

 そして手芸・調理に関しては、今更習うこともないかなぁ……というのが正直なところ。

 実は前世では、コスプレ衣裳作家として有名だったりしたのですよ、ワタクシ。

 なので手芸に関してはいまさら習う事など何もありません。

 調理にしても、前世ではごく一般的な共働き家庭でしたので、母親が帰ってくるまでに食事の用意をしたりしてたし、お菓子作りだって年相応に色気づいてあれやこれやと作ったことがありますから、こちらも習うまでもないレベル。

 たぶん女子生徒との親密度を上げるにはこちらの方へ進んだ方がいいだろうけど、このあたりの授業を選択するとなんだかんだとイベントと絡むことも多いので、親密度を上げないようにするためには選択しないほうがいいんじゃないか……ってことで、選択はしない予定。


 だったんですけどね、なぜかいま王太子たちに囲まれて、選択科目を決められています。


「アリサは調理を選択して、私たちに作ったものをくれたらいいじゃないか!」

「政経・商学・都市管理でしたら、わからないことがあれば私に聞いてください。」

「一緒に剣技と魔導と戦略選択しよーぜ!」


 上から順に、王太子・宰相子息・騎士団長子息の順番になっております。


「まず、ジェレマイア殿下」

「ジェリーでいいと言っただろ?」

「そうは参りません、私はあくまでも御身からすれば臣下の身です」

「アカデミーでは身分の上下はなく扱われるべきだ。なのでジェリーと呼ぶように」

「……ではジェリー、私は誰かのために授業を選択するようなまねは致しません。」

「もっと、くだけた口調でいいんだよ?」


 すっげーイケメンだけど、ニヤニヤしてて腹立つわー。

 一発殴っていいかな?

 いいよね??

 ね???


「ともかく、誰かに差し上げるために調理の授業を選択するようなまねは致しません。もし調理を選択したとして、私が作ったものを食べられるのは、私の弟だけです!」


 なんで私が作ったものをこいつらにやらなきゃいけねーんだよ、(うちの天使)にやるに決まってるだろうがよ!


「なんだ、さみしいことを言ってくれるね」

「テレンス様のご厚意も大変うれしく存じますが、先輩からの贔屓を受けたとあっては、一緒に学ぶ同士に申し訳が立ちませんので、辞退させていただきます」


 ほんとは、これはぜひともお申し出を受けたい!

 なにせ、宰相子息は昨年度の学年首位、しかも全教科で首位だったという化け物だ。

 できたら去年使った教科書とかノートとか過去問とか、全部もらいたい!!

 けど、ここは親密度を下手にあげるわけにはいかないので涙をのんで諦めよう。

 一時の楽より、一生の方が大事なのだ。

 努力でどうにかなる部分で楽をしてはいけない。


「そんなことを言うと、ますます君に手助けしたくなるね。私のこともテッドと呼んでくれないか?」


 なんだよ、こいつもいい顔しやがって、イケメンってのは顔が崩れなくていいですね!

 しかも天邪鬼かよこいつ、性質わりぃな!


「なーなー、一緒に講義……」

「私が、剣技・魔導・戦略を必要とする人生を送るとお思いですか、ザカライア様?」

「必要なくても、たのしーんだぜー!あと、ザックな!」


 あかん、こいつ言葉が通じねぇ。


 そのあともすったもんだあって、結局最初の2週間は全部の選択授業を受けることになってしまいました。

 そして、みんなのことを愛称で呼ぶことも決定されました。強制ともいいますね!

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