表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

1.明日は入学式

今回は説明会です

会話文がほとんどないので、読みにくいかも

 朝起きたら25歳だった私は、7歳になってました。

 まって!意味わからんとか言わないで!!

 さらに、私の勘違いでなければ、乙女ゲーの世界のヒロインになってるみたいなんです……

 お願い!見捨てないで話を聞いて!!


 私こと、乙女ゲーのヒロインであるアリサは、ブリーロウム王国の王都にある雑貨店を営む両親と、5歳年下の弟の4人家族。

 王都の商店ということで、そこそこに裕福ではあるけれど、どこをどう切り取っても100%混じりっ気なし、完全無欠の庶民!!

 なぜ私がヒロインになるかというと、私自身が優秀なおかげで、教会の推薦をうけて王立アカデミーに進学するっていう筋書きだったはず。

 しかし私は、決して攻略対象たちのお相手をするつもりはございません。

 何が哀しくて、身分違いの女に入れ込んで、平気で婚約者をないがしろにするようなバカの相手をしなくてはいけないのだ。

 王族・貴族ってのは、結婚すら義務なのだ。好き嫌いなんて感情の前に、お仕事の一環だってのに、その義務を遂行できないようなバカの相手はしたくない。

 あぁいうのは、フィクションの中だから楽しめるのであって、わが身に降りかかれば災難でしかない。物語は「めでたしめでたし」で終わっても、現実はそのあとまで続くのだ。

 ということで、私は攻略対象たちに関わるつもりはさらさらない。

 だったら王立アカデミーに進学しないのが一番いいのかもしれないけれど、王立アカデミーには進学したい。

 なぜなら、この国で一庶民が官吏になれるルートが、王立アカデミーを卒業することしかないから。

 庶民が官吏になればその実家も評価され、いつかは商店を継ぐ弟の箔付にもなる。

 なにせうちの弟はかわいいのである、天使なのである。

 うまくまわらない口で、私のことを「えーしゃん」と呼んでてこてこ後ろをついてくる姿なんて、神がこの世にもたらした奇跡なのである!

 とにかくそんなかわいくて仕方のない弟のためだったら、私は王立アカデミーに進学することを厭わない。

 フラグ管理をきちんとして、攻略対象たちに気に入られなければいいだけの話なんだから、アカデミーに進学することにはなんの問題もないはず。


 王立アカデミーというのは、王族と貴族が政治やその他諸々について学ぶための学舎のこと。

 そこに毎年数人ではあるが、庶民からも進学するものがいる。

 教会で日曜日に開催される学校で優秀な成績を修め、推薦されることで庶民が進学することが許され、さらに在学中は無償どころか、手当てが支給される。

 なぜかというと、王立アカデミー卒業後は、在学中に仲良くなった貴族の補佐官になったり、官吏になったりするので、在学中に社交界へも顔を出す必要があるから。

 一般庶民には、社交界へ顔をだすような衣装や装飾品を賄うだけの財力があるものは少ないから、「手当」という形で経費を支払っているわけ。

 もちろん、貴族様と同レベルの準備ができる金額ではないけれど、社交界に出ても恥ずかしくない最低限の準備はできるらしい。

 

 そんなこんなで、私は王立アカデミーへ進学するための一歩を踏み出したわけだ。

 10歳から日曜学校に通い始めて、3年から人によっては4年ほどかけて四則演算と読み書きをマスターして、職人だったら親方に弟子入りして手に職をつけて、商人だったら丁稚奉公でもして、15歳くらいから本格的に働き出すというのが一般的。

 私は自分がヒロインであると気づいたときから心がけて、誰もが見てわかるレベルで勉強できるように見せかけて、8歳で日曜学校に入らせてもらった。

 学校に行ってる間はかわいくてしかたのない弟と会えなくなるけれど、そこはぐっとこらえて、弟の将来のために我慢した。

 現代日本で学んだ数学知識を駆使して、四則演算どころか微分・積分といったカリキュラムを終了させたのは、入学して1年ほどが過ぎたころだった。

 これでも学生時代は全国模試で10位以内をキープしていたし、社会人になってからも近所のおばさんに頼まれて家庭教師なんかしていたので、学力だけは高いのです。

 教会では「この子は天才に違いない」と大騒ぎになり、教皇様が直々にお顔をお見せになったり、そのまま教会で働かないかという打診も受けたりしたけど、王立アカデミーに進学して官吏になりたいのだとお断りした。


「わたし、官吏になってこの国に住むすべての人が幸せになれるように、がんばりたいんです!」


と、子供が言い出したら、そりゃまわりも応援するってもんです。

王立アカデミーは、12歳から入学して3年間の基礎科を終了後、希望したものはさらに最高3年まで学校に残ることを許される。

 私が推薦を獲得したのが10歳だったので、その後2年間は王立アカデミーで生活するための知識を学習することになったわけです。

 現在の王族の家系図からはじまって、貴族様のお名前・領地・花押を全て暗記し、自分と同じ時期にアカデミーに在籍することになる子女も同じく暗記。

 どちらの当主様がどういった職務についてらっしゃるか、ってのもばっちり覚えました。

 あとは言葉づかいだとか、礼儀作法なんかも教え込まれ、ちょっとしたレディ教育をされたわけです。


 そしてとうとう明日は、王立アカデミーの入学式。

 どうか攻略対象たちとの接点がない、平穏な日々が送れますように!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ