Last Extra WAKER
窓
「結局お前の勝ちか。」
「みたいだな。」
二人が話す。
「良い方には転ばないと思ってたんだが…。お、そうだ。なぁ、魔法士連って知ってるか?」
「先生からなんども聞いてるだろ。昔はいろんな大陸にいたが、今生き残ってるのはごく少数なんだって。」
「じゃあ、覚醒者は?」
「初耳だ。なんだそれ…?」
「知ってる癖に…。」
セイリオス学園で一番高いビルの廊下は慌ただしく靴音と声が飛び交っていた。
「光の魔法士連は現在追跡中…」
「水の魔法士連からこちらに連絡が…」
「火の魔法士連もです。」
「闇の魔法士連、木の魔法士連はこちらの判断を待つようで…」
各方面からの言伝てにカイルは両手をあげた。
「わーかった!わかったから。落ち着いて、水の魔法士連から話しに行く。オーケー?」
『はい。』
三人の返事が一斉に聞こえた。
「カイル様…我々は何もしないのですか…?」
返事を返さなかった一人が尋ねる。
「俺達がやる事はある。でも、魔法士連と同じような事じゃダメだ。彼らと違う事をこの学園はしなくちゃならない。」
光の魔法士連は幼い天才を手に入れた。
非道な光の魔法士連の手に余る、強力すぎるソレは眠りについたのである。
その期間およそ数百年。
光の魔法士連専用の兵器となる為に。
その間に魔具により世界中の魔法の知識を吸収しながら。
これは、世界に何を及ぼすかわからない。
光の魔法士連によって利用されない為、各魔法士連も天才を選び出す。
闇の魔法士連
「総帥!…宜しいのですか…。」
「あぁ。妻もいない。今は私もあの子に何もしてやれない…。なら、未来に生かしてやるのがせめてもの償いだ。しかし、もしそれで良いのなら娘の病の解明も必然的にしなければならない。異存は…?」
「ありません。」
「娘は首を縦に振るはずだ。私は時魔法士の元へ行く。その間に準備を頼む。」
闇の魔法士連は総帥の愛娘を選ぶ。未知の病の解明を兼ね、宿命を背負わせる代わりに外の世界を彼女の足で自由に歩んでほしいと。
矛盾しているがそれが最善だと言い聞かせ。
思った以上に、この決断は上手く繋がる…。
水の魔法士連
「総帥!」
「良し、志願者がいたんだな!」
「はい!」
フォーマルハウトは嬉しそうに笑う。
「良かった…本当に。志願者がいるのは幸運だ…。無理矢理はダメだからね。さて、我々が志願者に召喚し、授けてやるのは…!」
「大陸竜…ですね。」
水の魔法士連は人望が吉を呼んだ。
強大な力は光の暴走を食い止めるのか、否か。
窓
「おい、何をしている。」
男が二人に声をかける。
「あ、こんにちは。」
「挨拶とは余裕だな。偉人の手記を持ち出して反省の色が全くないとは。」
「コイツしか悪くないですから。」
「二人とも同罪だ。」
「逃げようとしてもムダだったな。」
一人が窓から男の方に降りて言う。
「あ、そういえばこれ、学園長の手記ですよね?」
「そうだな。盟友の物だ。」
もう一人も降りてくる。
「やっぱりか…。」
「どうしたのだ?」
「先生、覚醒者って知ってます?」
後に降りて来た方が言う。
「…知らんな。そんなことより、すぐ授業が始まる。遅れるなよ。」
男が言うと、二人は元気に声を上げた。
『はい、ミザール先生!』
Wate until next season come.




