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星の魔女 ~2years later~  作者: 羅偽
15/32

飽きに悩まされて。

久々に夢を見た。

城の夢。


どこかで見たような絵がずっと並ぶ廊下を歩くだけの夢。

赤いカーペットに足音が吸い込まれ、カイルをまだ見えぬ側へ引き込もうとする。


目覚めろ。


誰かが呼び掛ける。







目を覚ますと、木の天井が見える。

見たことのない木の色。

黒で、鼻に心地よい香りが滑ってくる。

「目がさめた?」

聞き慣れた声が左からする。

「よーく寝たわね、カイル。」

「あ…アトリア。」

体を起こす。

部屋には自分とアトリアだけ。

綺麗な黒と白の内装。

既にこの見知らぬ場所が気になってしょうがない。

笛の音や、荷物を運ぶ音も聞こえる。

「ここは?」

「大地の国よ。アンタがぶっ倒れてから、三泊目。心配したわ。」

そういってアトリアは近くのテーブルから何かを持ってくる。

湯気に、この香りは。

「はい、ラザニア。喉乾くだろうから、水はここ。好きに飲みなさい。しばらくここを動かないからゆっくりすると良いわ。」

「え?でも、ミザールに報告とか…。」

「アンタが寝てる間に来て報酬も置いといてくれたわよ。好きなときに戻ってこいって。」

「そっか、迷惑かけたな…。」

温かいアトリアの手料理を頬張りながら、気を落とす。

「スハイルに言ってやんなさい。運んできてくれたんだから。」

アトリアはそういうと扉に向かう。

「あ、暗くなったら【星の帽子】ってバーを見つけなさい。全員そこに集合にしてるから。んじゃ、後は好きにどーぞ。」

日がドアから差し込み、消える。





「嘘みたいに広い…。」

カイルはため息をついた。

宿を出ると、市場だった。

エルナトが統治する、大地の国は

活気があり、全ての店員から明るい雰囲気を受ける。今までで見たことのない光景がこの国にはあり、魔法士で道が混みあい、詳しく何があるのかを見ることが出来ない。

「向こうの方はここら辺と違って高い建物もあるな…行ってみるか。」





徒歩で人混みに揉まれ15分か、

ガラス張りのビル、そこにカイルはたどり着く。

「高いなぁ…。」

樹の国で見たビルそっくりである。

なんというか、この地域ではこの造りが流行っているのだろうか。

「ここではなんの建物なんだろ…。」

入ろうとする直前。

「お兄ちゃんみーつけた。」

「お兄ちゃんみーつけた。」

二人の声が聞こえる。

「…!?」

振り返ると、双子が立っている。

銀の髪の毛、白と紫のローブ。カイルより小柄で、無邪気なイメージだ。

雰囲気は、どこか誰かに似て…。

「あっはは、戦お!」

「戦お、あははっ!」

双子は無垢に言う。

「君達は…一体?」

カイルはビルの入り口から離れる。

被害を減らすためだ。

「私達?人形!」

「人形!名前なんてないもん!」

そう叫ぶ。

はっきりした。

この双子は、だれかの魔力による分身体であること。そして、この雰囲気は…。

「師匠に何て言われて来たんだ?君達。」

カイルはたずねる。

「ししょー?誰それー?」

「お兄ちゃん、あんなおじさんに魔法習って楽しいー?」

(師匠の分身体じゃないのか…?雰囲気は師匠のものを感じるのに…。)

カイルはまだ探りを入れようとするが、自らが契約している龍、ダイモスに遮られる。

『カイル、纏え。』

そう聞こえてカイルが動きを止めると、

双子は言う。

「お兄ちゃん、凍っちゃえー。」

「凍っちゃえー!」

左の方の少年の方が手を出すと、地面から冷気が走り、タイルが氷に覆われていく。

「『クロス!…』」

雷と炎がカイルの身を包む。

「『うぉおっ!!』」

炎を弾けさせ、冷気を吹き飛ばしたかに見えた。

しかし、その炎も凍っていく。

「『っ!?…そんな…!』」

脚が凍り、動きを封じられてしまう。

「爆発しちゃえー!」

「お兄ちゃんふっとんじゃえー!」

今度は右の少女。

目の前で炎が弾ける。

召喚士(サモナー)のミアに劣らない炎。

「『ぐっ…!あぁぁ!』」

地面を転がされる。

立ち上がれない。

「お兄ちゃん、魔力ちょうだーい。」

「ちょうだーい?」

そういって双子は互いの手を取り、回る。

「ぐっ!?…なんだ…これ…。」

体から力が抜け、龍依も解けていく。

「ありがとう、お兄ちゃん。またね!」

「ありがとう、お兄ちゃん。またね!」

二人はカイルから離れ、どこかへ歩いていく。

「ま、待て…。」

やっとの思いで立ち上がり、追いかけようとする。

しかしおぼつかない足で、どうにもならない。

横のビルの扉が開く。

人が出てきたのだ。

自分で避けたつもりでも、倒れこむ形でぶつかってしまう。

「あ、あなた大丈夫?」

女性の声。

「と、とりあえずウチに行くから。いい?」

そういってどこかへ担がれる。





「ベネさん…にカイル!?」

懐かしい声が聞こえる。

「またなんかあったのか?つくづく巻き込まれるタイプだな。」

こちらも懐かしい声。

「おっと、知り合い?良かった。カイル君?だっけ?【星の帽子】にいらっしゃいませ!」



To be continued



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