第7話 vs ゴブリン
ファンタジーの定番ゴブリン戦
隠密行動などしたことがないハルトであったが、それなりに気を付けて森を進む。
(確かに森の中は視界が悪いな。時間の感覚がなくなるってのも分かる気がする。これは気を付けないとなぁ。)
10分ほど進んだところで、遠目に何かが動いているのが目に留まった。ハルトはそっと身を低くして、その何かを注視した。そして少しずつ近寄ってみる。
(あれがゴブリンかな。まぁ想像通りの見た目だ。手には武器を持っているタイプか。)
全容が見えるにつれ、ハルトはこの世界のゴブリンが、ゲームやファンタジー作品に登場する、緑色の肌を持った小鬼と言った姿をしていることを確認する。ゴブリンは3体一緒に行動しており、何かを探しているような動きをしていた。それぞれ手に持っているのは、こん棒が2体、石斧が1体。
(さて、他にはいなさそうだし、とりあえず戦ってみるか。まずはやっぱりこれを試さなきゃな。)
「ケラウノス・ラフティオ!」
ハルトの伸ばした手の先に金色の魔法陣が現れ、雷が放たれる。一瞬で1体のゴブリンに到達した雷はゴブリンを焦がし灰に変えてしまう。
(やっぱり魔石は残らないか。っと考えるのは後だな。)
『ギギィィ!』
落雷音と共に仲間が1体消滅したことに気付いたゴブリンは声を上げて、周囲を警戒する。
間髪入れずに神剣にプラーナを込め残ったゴブリンに襲い掛かるハルト。ゴブリンも攻撃に気付き、武器を構えるがハルトの剣がゴブリンの腕を斬り付ける方が早かった。深手というほどではなかったが、剣撃を受けたゴブリンは硬直し、倒れこむ。
ハルトは倒れたゴブリンを放置し、残りの1体にも剣を繰り出す。しかしゴブリンも石斧の柄でハルトの剣を受けた。
しかし、受けた瞬間にビクッと体を震えさせて、その場に倒れてしまう。ハルトは倒れたゴブリンたちに剣を突き刺してとどめを刺した。ゴブリンは光の粒になって霧散していった。
「へへっ、やっぱり神剣は便利だな。まさか受けられても麻痺するとは。これ、最強じゃねーか。そして剣で倒せば魔石は落ちると・・・。」
剣で倒したゴブリンからは赤い小さな魔石が1つずつドロップしていた。
(となると、やっぱり魔法だと魔石は落ちないって事かなぁ。でもそうすると魔法使いなんかは魔石を稼げないってことになっちまうし・・・。もう少し検証するか。)
ハルトはとりあえず魔石を拾って他のゴブリンを探すことにした。魔法を使ったことで大きな音を出したので、音を聞いたモンスターが集まってくるかもと想像したハルトは早々にその場を離れ、また慎重にモンスターを探し始める。
すると、5分もしないうちに3体のゴブリンを発見する。先ほど戦闘した場所に向かって移動しているようだった。
(やっぱり音を聞いて集まってきているような気がするな。戦っている最中に集まってくるとさすがにヤバいかもしれない・・・。様子を見るか。)
先ほどは ほとんど一瞬で倒すことができたが、万一ゴブリンが持っているこん棒や石斧で殴られたら怪我をするかもしれない。日本に住んでいる頃は日常的に怪我をすることは無かったので、鈍器で殴られることを想像すると少し寒気がしたハルトは、より慎重な行動を選ぶ。
(転生1日目でケガするなんて勇者らしくない。そうビビってるわけじゃないんだ。オレは慎重さも持ち合わせているクールな勇者ってことだ。)
心の中で言い訳をしながら。
しかしハルトの判断は悪くなかったようで、更に3体のゴブリンが現れる。最初に見つけた3体と戦っていたら背後から襲われていただろう。
(さーて6体か。どうするかな。とは言え手札は魔法と剣だけ。やれることは同じか。クールな勇者はクールに状況を判断して行動するぜ。)
「ケラウノス・ラフティオ!」
「もういっちょ、ケラウノス・ラフティオ!!」
ハルトは後から来た3体のゴブリンに雷魔法を2連続で放つ。多少の間はあるが、連射性能はそれなりにあるらしい。
魔法を受けたゴブリンは当然のごとく灰となって消滅。落雷音と共に仲間がやられたゴブリンは慌てて武器を構えるが、すでにハルトが剣を振るった後。胴を斬りつけられたゴブリンは体を一瞬震えさせて倒れる。
ハルトは倒れたゴブリンをそのままに、更に3体のゴブリンに向けて突撃。とにかく剣を当てることを考えて剣を振るう。2体のゴブリンは腕や足を切りつけられて倒れ、最後の1体も必死にハルトの剣を躱そうとするが、2回躱した後に、木の根に足ととられ転倒。そのままハルトに頭を剣で貫かれ、光になって霧散する。
ハルトは倒れているゴブリンが動かないか様子を見ながらとどめを刺していった。
「ふぅ。何とかなるもんだな。これで魔石は全部で6個になったか。おっと、さっさとこの場所を離れよう。」
魔石を拾ったハルトは、とりあえず早々にその場から離れる。慎重に歩きながら、この後のことを考えるハルト。
(ゴブリン自体は強くないから戦闘はあっという間に終わるが・・・なんかこう・・・精神的に疲れたような・・・)
命のやり取り、更にモンスター自体は灰や光になって消えるため、返り血を浴びたり無残な姿の肉体が残る訳ではないが、命を奪うという行為、それ自体に慣れていないハルトは肉体的な疲労はほとんどなくても、精神的な疲れを感じていた。
(時間もわからんし、今日は様子見だけだから帰るとするか。宿の晩飯に間に合わなかったら最悪だしな。)
エンカウント:ゴブリン
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