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勇者転生 神の魔法で最強です≪サンサール戦記パンチャー編≫  作者: よろず屋


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第68話 シゴデキOLの非日常

ライラ・・・彼女は神ズワースにより生み出された神造神である。そのため神としての位階は低く、また生まれてから1,000年程度しか経っていないため、神としては未熟な部類に入る。しかし、ズワースが第5世界パンチャーを管理させるために造った神であるため、事務処理能力は高く、また超パワハラ気質のズワースと仕事ができるくらいストレス耐性も高かった。


今回、勇者ハルトの転生において多くの失敗が重なったことは、彼女が無能だったからではなく、彼女を育成すべき上司がその役を全うせず、また、他に模範となる神々も第5世界には存在していなかったことが大きな要因であろう。


「そ、そうだ。勇者はなぜ魔王の元まで到達できたの?神託は?え?実行されているじゃない?なんで?条件を満たせるはずが・・・。」


『条件ハ、都市アンフィクリア以北に到達すること、モンスターを3,000体以上討伐スルことデス。条件が満たされたタメ、光の道を伝える神託が巫女に発信されましタ。』


「な、なによこれ・・・。なんでモンスターが5,000体も集まって人類の砦を襲っているのよ・・・。しかも火と風の複合魔法?儀式魔法?システム外の魔法が実行されているじゃない。ってあーー!モンスターを倒したのは勇者じゃないじゃない!この魔導士の魔法じゃない!なんで条件を満たしたことになってるのよ!!」


『パーティメンバーの討伐数もカウントする設定になっていまス。』


「あああああ」


『精神の不調を検知しましタ。精神強化薬を投与しますカ?』


「やめて!廃人になっちゃう!」


叫びすぎてはぁはぁと息を切らすライラに対し、容赦なく労働を続けさせようとするヘパー。ヘパーには感情の機微を察知する機能は搭載されていなかった。


「ちくしょう・・・いえまだよライラ。この後が問題なんだもの。こんなところで止まっていられないわ。この後が勇者が負けたっていうところなのよね?」


ライラが何とか気を持ち直し、ハルトたちが魔王城へ足を踏み入れたところのシーンを確認する。


「え?誰こいつ・・・魔王じゃないじゃない。クロノベロスはどこにいったのよ!」


『この青年の後ろにイます。座ったまま一言も発せず、見ているだけのようデスが。』


「で、誰なのこいつ?」


『音声を確認スルかぎり、魔王軍司令トノことデス。魔王軍の司令官なのでショウ。』


「いや、まんまじゃない。でも人間・・・普人じゃないの?」


『データがありませんので、正確にはワカリマセンが・・・外見の情報から推測スルに普人の可能性が最も高いと考えラレマス。』


「はぁ!?なんなのこの強さ!ちょ、ちょっと!プラーナの数値を計測しなさい!」


『過去ログですので計測はデキマセン。しかし、発動している魔法や魔法剣の出力、数から推測すると勇者の10倍はあるものと考えられまス。』


「なんでこんなことが・・・。シ、システムは正常に起動しているわよね?」


『現在、異常は検知されていまセン。』


パンチャーでは人類の魔法はシステムによって制御されている。システムとは世界を管理するために鍛冶神ヘパイストスが構築したもので、過去にズワースが盗んだものでもある。パンチャーで人類が使用できる魔法はシステムによって制御された4属性と回復の魔法のみであり、威力が強くなりすぎないよう、それを使う人類もあまり大きなプラーナを獲得できないようになっている。


「システムの制御を受け付けていないってこと?人類にそんなことができるの?」


ライラは知らなかったが、ヘパイストスシステムが制御している魔法とは、プラーナの扱いが習熟していない人類レベルにおける赤ちゃん用歩行器のようなものである。ヘパイストスシステムがランダムに与える資質と一定のプラーナ量、そして魔法名を唱えるだけで、魔法陣を形成し魔法を放つことができる。当然、自らの研鑽によってプラーナの制御力を磨き、システムに頼らない使い方をすることが可能である。


歩行器があまりに便利であるため、プラーナ制御の研鑽を行う者がいないというだけであった。


そしてハルトの左目が斬り裂かれる。


『ココからは魔王城に設置されている視界での確認となります。』


「ちょっと引き気味だから分かりづらいのよね・・・。あー、魔眼の効果が切れたのね・・・。うわ、仲間に見捨てられているじゃない・・・悲惨・・・。」


『他人事トいうやつですカ?』


「うるさい。んー、この男、勇者たちは殺さなかったのね。いやでも本当にこの男は誰なのよ。魔族じゃない、人類が魔王に加担しているなんて。ヘパー、この件の調査は?」


『未実施デス。調査内容をズワース様への報告に含めますカ?』


ズワースへの報告と言う言葉に一気に青ざめるライラ。そしてキーーーっと叫んだ後に倒れて気を失った。


「う、うーん。いやな夢を見たわ。転生させた勇者がクソであげくに訳が分からない黒髪の男に負けるの。」


『夢ではアリマセン。ライラ様は5時間ほど気を失っておられました。再起動されたようですので、この先の対応を指示してくだサイ。』


「このクソロボット・・・。夢のままでいさせてくれたって良いじゃない。」


『ズワース様への報告はいかがされますか?』


「ほ、次の報告は本来いつだったかしら?」


「10年後です。ただし勇者が魔王を討伐シタ場合は即座に報告を行うことになっていマス。」


「よ、よし。それなら勇者の居場所がわかるまでは保留よ。アンカーが切れちゃってるから物理的に探すしかないわ。光の道を戻ったならオウルコスの周辺にいる可能性が高いわ。視界用のドローンを放って探してちょうだい。ついでに魔王軍の動向もチェックして。」


『緊急事態はスグに報告すべきデハ?』


「あのねぇ。ズワース様に報告するときに準備不足だとどうなると思う?」


『地雷を踏む可能性が高くなりマス。』


「そう、地雷を踏む可能性が高い。いえ、いままでの報告で準備が不足していた回数と地雷を踏んだ回数は?」


「どちらも7回デス。」


「でしょ!100%なの!地雷を踏んだら説教が始まるでしょ!」


『コレマデ3年から10年間かけたフィードバックが確認されています。』


「良さげな言葉に置き換えないで!あのネチネチ ネチネチした小言を何年間もずっと立たされたまま聞かされるのよ?絶対にそれは避けないといけないわ。」


『レディ』


ヘパーに指示したライラは、これでもかというほど大きなため息をつきながらどうにかしてズワースへの報告を穏便にすます方法を考え始めた。

神は無限の時を生きるため時間の感覚が人間とは異なります。


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