第62話 それは希望への道か
「オウルコスの場所が分かったぞ。」
「それは本当ですの!?」
「あぁ。ミーアと一緒に北の砦への補給を主に行っている行商人にあたったところ、東の村落へ足を延ばしている者がいた。」
「お手柄ですわレーヴェル。ミーアもお疲れ様でしたわ。」
「ちょうど北の砦へ行っていた漁礁が帰ってきてたタイミングだったからラッキーだったにゃ。ハルトたちはまだ帰って無いにゃ?」
「ハルト様とソーシエラは組合の図書室に行っていますわ。ですが、間もなく戻ってくると思いますわ。」
魔王城への近道があるというオウルコスの村の場所を調べるためアンフィクリアの街に滞在していたハルトたちだったが、5日目にしてようやく情報を得ることが出来た。ミーアとレーヴェルが帰ってきてほどなく、ハルトとソーシエラも宿に戻ってきた。
「ようやく見つかったか!流石に毎日図書館で調べるのも疲れてきてたんだ。助かったぜ。」
「ハルト様は研究職には向いていませんね。魔導士の研究なんてもっと過酷ですよ。」
「頭脳労働者と一緒にするんじゃねー。しかしまぁ、魔王城への近道があるって割には全然情報が無いんだな。その行商人も、そんな情報を持っていたら高く売れるだろうによ。」
「それがにゃ。行商人が言うには何もない本当に小さな村らしいにゃ。その行商は代々その村に物資を届けているから続けているけど、正直儲けがあまりないから付き合いが無ければ誰も行きたがらないって話にゃ。魔王城への道は知られてないみたいにゃ。もちろんあちし達もそのことは言ってないにゃ。」
「いずれにせよ道は聞いて来た。徒歩で5日程度の距離らしいぞ。準備が出来たらすぐに向かう。で良いんだな?」
「ミーア、どうだ?準備はどれくらいかかりそうだ?」
「オウルコスまではともかく、魔王城にはどれくらいで着くかわからにゃいと決めようがないにゃ。でもまぁ最大限用意していった方が良いと思うにゃ。3日欲しいにゃ。」
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そして3日後、ミーアが考えうる最大の準備を整えたハルトたちは東にあるというオウルコスへ旅立つ。
北の大襲撃直後はモンスターの出現がかなり少なくなっていたが、最近では少しずつモンスターが発生してきており、道中も1日に1回はモンスターとの遭遇があった。
しかし、モンスターとの大群を退けたハルトたちは自分たちでも想像時ないほど力を付けていたようで、ギガンテスといった強力なモンスターでさえ、4人の連携の前には苦戦する間もなく討伐することができてしまった。
「砦防衛戦で大量のモンスターを倒したからレベルアップしてるみたいだな!」
「レベルと言うのはよくわからんが、確かに今までより力がみなぎる感覚がある。」
「ソーシエラ、やっぱりモンスターを倒せば強くなれるんだぜ。そんな研究は無いのかよ?」
「どうでしょうか。もし本当にそうなら傭兵たちや兵士たちはもっと強くても良さそうですけれど。」
「ハルト様の勇者としての権能ではありませんこと!?」
「勇者って言っても人間にゃ。そんな物語みたいな能力があるにゃ?ハルトにそんなものがあるとは思えないにゃ。」
「同感だな。ろくに修練もせん奴にそのような力がある訳がない。」
「お前ら結構ひどいな。実際に強くなってるんだからな。たまにはエヴァの言葉に乗ってやっても良いじゃねぇか。」
そんな会話をしながら進んでいると、遠目に村らしきものが見えてくる。
「あれみたいだにゃ。」
「あれはなんでしょう?辺境の村にしては妙な感覚がありますね。」
村に近づくと、簡単な柵で覆われているだけ防衛能力は低そうに見える。しかし、モンスターに荒らされた様子もなく、村だけが道中からは考えられないくらい平穏さを醸し出していた。
「門番すらいないぜ。」
村の入口と思われる木でできたアーチ形の囲いを通り抜け、村の中に入っていく5人。少し道なりに進んでいくと、畑が見えはじめ、更には畑仕事をする村人たちも現れ始めた。
「おんや!旅人さんかい?珍しいねぇ。」
ハルトたちに気付いた村人が声をかけてくる。
「ここはオウルコスの村でいいのか?」
「そうだぁよぅ。ここはオウルコスさぁ。何にもない村だがぁ、道にでも迷いなさったかね?」
村人が一人ハルトたちに近寄ってきて尋ねる。
「この村に魔王城への近道があるって聞いてな。何か知っているか?」
「魔王城?そんなものは聞いたことも無いがね。村長にでも聞いてみるといいさぁ。このまま真っすぐ言って、村の中央にある一番大きな家にいるよぅ。」
「ありがとうございますわ。」
エヴァンシアがお礼を言って村人に言われた通り道を進む。
「村人たちも知らないのでしょうか?それともしらを切っているのでしょうか?」」
「雰囲気的には知らないって感じだったにゃ。でも驚きもしてにゃかったし、なんだか不思議な村にゃ。」
「平和ボケしすぎているしな。私たちが山賊などの悪党だったらどうするのだ?無防備に近寄ってきていたし、疑いすらしていなかった。ミーアの言う通り妙な村ではあるな。」
(そっか。この世界は簡単に他人を信用できるほど平和じゃないよな。)
レーヴェルの指摘にハルトが感心していると、村長の家らしきものが見えてくる。
「あれか。」
「そのようですわね。」
家の前には椅子に腰かけて村の景色を眺めている老人がいる。ハルトたちに気付いたようだったが、穏やかな表情を変えずに立ち上がり。声をかけてくる。
「おや、珍しい。旅人さんかね?」
「あぁ、魔王討伐の旅をしている者だ。あんたは村長か?」
「左様。儂はこの村の長をやっとるものですじゃ。魔王を倒そうなんてご仁がこんな辺鄙な村に何の御用かね?」
「神の使いから、この村に魔王城へ通じる近道があるって神託を受けた。本当にあるのか?」
それを聞いた村長の目がわずかに細まる。しかしそれは一瞬ですぐに穏やかな表情に戻った。
「女性ばかり連れているが、どなたが神託の巫女様ですじゃ?」
「わたくしでございますわ。エヴァンシア=アイトリアでございますわ。長様。どうかご存じのことを教えてくださりますでしょうか?」
「アイトリア王国の姫巫女様でしたか。と言うことは、そちらが神託の勇者様ですな。わかりました。ご案内しますじゃ。ですが、その前に一休みなさってくだされ。」
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