第59話 大戦果
「レーヴェル!伏せろ!」
ハルトが叫んだ直後にソーシエラが放った球体が弾けた。吹き荒れる暴風はハルトたちのところまで到達しモンスターは吹き飛ばされていく。
ハルトとレーヴェルは地に伏して何とかやり過ごす。戦場に残っていたリュコスとそのパーティや兵士たちも何とか耐えきったようだ。
「なんつー威力だ。」
「ふぅ。何とかなったようだな。」
レーヴェルがハルトに使づいてくる。彼女もハルトと同様に細かい傷を負い、埃まみれになっていたが大きな怪我はないようだ。
「ハルトさん達も無事でしたか・・・。」
「そっちも大丈夫だったみたいだな。砦に帰ろうぜ。」
リュコスに話しかけられたハルトは気だるげに応える。リュコスたちは負傷した兵士や傭兵に手を貸しながら砦に戻っていく。レーヴェルも同様に手助けをしていた。
(はぁ・・・まじめだねぇ・・・しかたねぇな。ここで手伝わないと何言われるかわかんねー。)
ハルトも内心愚痴を言いながら兵士たちに手を貸した。
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「データは取れたであるか?」
「バッチリや。王国の魔導士もやるやん。」
「プラーナの制御は随分甘かったようであるがな。こちらの戦力を使わずに済んだのは良かったのである。」
「せやんなぁ。まぁこれでしばらくあの森のモンスターが増えることも無いやろうし、目的は達成っちゅーわけや。ほな撤退しよ!」
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「ソーシエラ、大丈夫にゃ?」
儀式魔法を放ってその場に倒れたソーシエラをミーアが抱き留め、声をかける。ソーシエラは無言で振るていた。
「ちょ、しっかりするにゃ!」
「ふっふっふっ・・・はーーっはっはーーーー!やりました!やってやりましたよ!これであの爺どもも文句は言えないでしょう!ワタシの!ワタシの時代がやってくるのです!」
突然立ち上がり叫びだしたソーシエラ。それを見ていたブランジが呆れたような目をしてつぶやいていた。
「私が制御を手伝ったから成功したんじゃないですか・・・。あーやだやだ。上位席は上を蹴落とすことしか考えていない。もう関わりたくないですよ。」
「ソーシエラ殿。ありがとうございました。あなたの魔法のおかげで死者を出さずにこの未曽有の危機を乗り越えることが出来た。後処理は兵たちが行うので、皆さんはお休みください。」
クレザー司令はくるくると回りながら叫び笑っているソーシエラに臆せず話しかけてくる。ミーアはその胆力に信じられないものを見たような目を向けたが、ソーシエラをこのままにしておくと どんな風評を受けるか分からない。司令にお礼を告げ、ソーシエラを引っ張っていく。そして、魔法陣の上で、座り込んでいるエヴァンシアも連れてあてがわれていた部屋に戻っていった。
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「魔石・・・どうすんだ?」
「あれを見ろ。後方に下がっていた兵たちが回収してくれるようだぞ。まぁ大量の薬や物資を消耗しただろうから、砦の修繕・維持費として使われるだろうがな。」
「数千個の魔石だろ?オレ達には回ってこないのか。やってらんねーな。」
「私達には組合から報酬が出るだろう。しかもかなりの額が。」
「あー、そうだったな。王家からの依頼だからかなりの額なんだったか。それなら許してやるか。」
「お前ひとりで倒したわけではない。その考えはどうかと思うぞ。」
「レーヴェルはお堅いねぇ。」
「お前が緩いだけだろう。」
ハルトとレーヴェルも負傷者をすべて回収したため、部屋に戻る。
「エヴァたちは大丈夫かな?」
「うむ。彼女らの力で勝てたのだ。労わってやらねば。」
レーヴェルが女性たちの部屋の戸を叩き確認する。
「レーヴェルだ。みんなはもう戻っているか?」
「あー、戻ってきたにゃ。今、ソーシエラとエヴァ様が着替えているからちょっと待つにゃ。」
(ちっラッキースケベは無しか。)
「ハルト。邪なことを考えていただろう?」
レーヴェルに見透かされ、底冷えするような冷めた声で指摘されたハルトは両手をブンブンと振りながら「そんなことはない」と必死で取り繕った。
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