第58話 滅焔爆嵐
ハルトたちが戦う最前線からわずかに後方の空。攻撃に参加していなかったハーピーとヒポグリフが合わせて100体が砦に向けて羽ばたき始める。
「まずいぞ!飛行モンスターが砦に向かっている!」
その動きに気付いたスタヴロスが叫ぶ。後方の弓兵隊が残り少なくなった矢を必死に射かける。しかし一部のハーピーは矢に射貫かれ落下していくが、多くのヒポグリフが矢を避け空を飛ぶ。
「ケラウノス・ブロヒ・プトーシー!」
ハルトが右手を空飛ぶモンスターに向けて突き出し叫んだ。
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「航空部隊が来るぞ!儀式魔法部隊を守れ!」
砦ではクレザー司令が叫んでいた。ミーアもソーシエラのそばで彼女を守るべく右腕に装着したクロスボウを構える。その時、空が黄金の雷に引き裂かれた。そして、まばゆい閃光と轟音が響き渡る。
「な、なにが起きた!?」
クレザー司令が状況を確認する。そして空を見たとき、まさに迫らんとしていたモンスターたちが灰になって消えていくところだった。
「何体か抜けて来るにゃ!」
ハルトの魔法の直撃を避けた数体のヒポグリフが城壁の上で詠唱しているソーシエラに向かって飛び掛かる。
「アネモス・スフェーラ!」
しかしミーアが唱えた風の魔法第二節により撃ち落とされていくヒポグリフ。
「ミーア殿に続け!」
クレザー司令率いる直営部隊も参戦し、ハルトの魔法を逃れたハーピーやヒポグリフは殲滅されていった。
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「ふぅ。何とかなったか。っと!」
今放てる最大の威力で雷の魔法第二節を放ったハルトだったが、息をつく間もなく攻め寄せてくるモンスターを斬り伏せる。しかし、少しずつ負傷者が増え、前線を支える者の数が減っていく。スタヴロスやリュコス、レーヴェル達ですら無傷とはいかず徐々にダメージを蓄積させていく。
「ようレーヴェルまだ元気か?」
「フン。ハルトこそ随分派手な魔法を使ったようじゃないか。そろそろお休みの時間か?」
流石に息が切れてきた二人は、お互いをかばい合うようにして剣を振るう。しかし周囲の塀や傭兵が一人、また一人と後退していく中、二人には死の気配が少しずつ近寄ってきているように感じた。
(さて、これは本格的にヤバいぞ。ソーシエラ早くしてくれ!)
そして、ハルトたちの少し前で戦っていたスタヴロスの部隊が大きく後退し始める。むしろ後退と言うよりモンスターの波に押し流されるような動きだった。
「ハルト!スタヴロス殿の部隊の様子がおかしい!もしかするとスタヴロス殿に何かあったかもしれん!」
「マジかよ!このタイミングでおっさんがいなくなると、もう持たないぞ!
くっそー!こうなったらもう一発ぶっ放すしか・・・。レーヴェル!一瞬だけ持たせてくれ!」
「やらいでか!」
レーヴェルが剣速を上げて周囲のモンスターを一度に頬むる。一瞬だけハルトたちの周囲に空白ができた。
「ケラウノス・ブロヒ・プトーシー!」
ハルトの魔法が炸裂し、周囲のモンスターが100体ほど一瞬で葬り去られる。その間隙を縫ってスタヴロスの隊が砦まで後退。スタヴロスは数名の傭兵に抱えられていたようだった。
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「ソーシエラまだにゃ!?ハルトが2発目の魔法を使ったにゃ!これ以上は前線が持たないにゃ!」
ミーアが懇願するようにソーシエラに向かって叫ぶ。ソーシエラはそれすら聞こえないように詠唱を続ける。
「・・・紡がれし業火は解放を渇望し世界を焼き尽くす裁きの刃となる・・・
ディアコシイ・プシーヘス・エノティーテ、フォティア・ケ・アネモス、シンビエステ・ラ・エクラゲイテ、カタストロフィ・トン・パンドン!」
中央広場に描かれた魔法陣が真っ赤に輝きエヴァンシアを始めとした200人のプラーナを一転に集める。
そしてその詠唱がついに終わりを迎える。
「解放せよ――世界を喰らう業火の嵐!滅焔爆嵐!ピロス・ラライラプス・カタストロフィ!!」
ソーシエラが大きく突き出した杖の先には赤、黄色、白と輝きを変えた球体が生成され、真っすぐにモンスターの群れに飛び出していく。そして、群れの中心に到達した球体が弾けると収束された熱エネルギーが爆風と共に解き放たれた。
一瞬の光の後に荒れ狂う爆炎の嵐。炎にのまれたモンスターは一瞬で蒸発していった。
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