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勇者転生 神の魔法で最強です≪サンサール戦記パンチャー編≫  作者: よろず屋


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第54話 防衛戦依頼

傭兵組合からの依頼を待ち一週間が過ぎた。その間、ハルトが娼館デビューしたり、好みの料理を出すレストランや酒場を探したり、各々がアンフィクリアでの生活を楽しんでいた。


そしてようやく傭兵組合から依頼が入る。


『北部前線にモンスターの大群が迫っている。前線砦の防衛とモンスターの撃退を行われたし。』


砦へのモンスター到達想定期間は2週間。アンフィクリアから砦までは4日かかるため、ハルトたちが到着してから10日で防衛戦が始まる予定となっている。


かなり大規模なモンスター襲来であるため、王国軍の増援や各都市から傭兵も集まり、総勢500名の戦力となる見込みである。砦の通常戦力が100名であることを考えると実に5倍の戦力を投入することとなり、兵糧も相当数が必要になる。戦闘員以外にも輜重隊や商人なども活発に行き来が始まっていた。


「ようやく依頼が来たか。ここはかなりいい街だからもっと居てもよかったけどな。」


「私は待ちくたびれたぞ。ここでは修行もままならん。」


「あちしたちは物資輸送の商人たちと一緒に行くにゃ。護衛料もプラスされてホクホクにゃ。」


ミーアは頭の中でお金の勘定をしてとても嬉しそうにしている。


「エヴァはこの街で待っていた方が良いじゃねぇか?」


ハルトの言葉を聞いたエヴァンシアはとっさに何かを言い返そうとしたが、何も言わずにうつむいてしまう。


「・・・ワタシはエヴァ様も一緒に来ていただいた方が良いと思います。」


「む?エヴァの身の安全を一番考えているソーシエラが言うということは、理由があるのだな。」


「何言ってやがる。今回の戦いは相当ヤバいんだろ?子供をそんな危険な場所には連れていけないだろうが!」


ソーシエラの言葉と、理由如何で賛成するような姿勢を見せたレーヴェルに対しハルトは若干の怒気を込めて言い放つ。


「わ、わたくしは・・・何か・・・何かできることがあるならばハルト様にお供したく存じますわ!」


「エヴァ・・・なぁエヴァ。ここからは大人がやるべきことだ。大人は子供を守らなきゃならねぇ。わかるだろ?これまでとは危険度がダンチなんだ。なっ?」


ハルトは少しかがみながら、子供を諭すようにエヴァンシアに目線を合わせる。エヴァンシアはそんなハルトの顔見て悲しそうな顔をして再びうつむく。


「まぁ待てハルト。ソーシエラが同行させようという理由を聞いてからだ。リーダーだからと言って勝手に決めるな。」


レーヴェルの言葉にハルトは立ち上がり噛みつこうとするが、さっと二人の間に入ったミーアがそれを止める。


「まぁまぁ。理由くらい聞いても損はないにゃ。話を聞いてからリーダーのハルトが決めればいいにゃ。」


そうでしょ?と上目遣いでハルトを見ながら微笑むミーアを見て、ハルトは大きくため息をつきはしたが、話を聞く姿勢にはなる。


「今回の戦いはハルト様の仰る通りかなり危険度が高いと想定されます。500名の戦士で迎え撃つと言っても敵の数が何倍にも・・・最悪10倍と言うことも考えられます。軍の動きはそれくらい妙です。」


「だったら尚更!」


「正面戦闘では勝ち目がありません。そこで儀式魔法を使おうと考えています。司令官が許せば、ではありますが。それしか勝機はないとワタシは考えています。」


「ずいぶん悲観的だ。そこまでか?」


「もちろん杞憂である可能性もあります。ハルト様の新たな魔法で一蹴してしまうかもしれません。ですがワーストケースに備えておきたいのです。」


「最悪に備えるってのは分かるが、その儀式魔法とやらもエヴァを連れていくこともわかんねぇよ。」


「順を追って説明します。儀式魔法と言うのはワタシが研究中の大規模魔法のことで、4属性それぞれの第四節の威力をはるかに上回る対軍用魔法です。これには大量のプラーナが必要になるので、最前線で戦うもの以外の全員のプラーナを結集する必要があります。しかしそれで足りる保証もありません。そこでエヴァ様がお持ちである強大なプラーナを使わせていただきたいと考えています。」


「エヴァ様は魔法が使えないにゃ。」


「エヴァ様は魔法を発動できないだけでプラーナの保有量なら王国一なのです。」


「えっ?そうなのか?エヴァ・・・」


「はい・・・ソーシエラの言うことは間違っておりません。一番プラーナの量が多いものが神託の巫女となるのですから・・・。でもソーシエラ。わたくしにそんなことが出来る力があるの?」


「はい、エヴァ様。魔法の発動自体はワタシが行います。それにリュコス殿も来られるということは同行している宮廷魔導士もいるはず。そのものに補助させれば、あと必要なのは強大なプラーナだけなのです。」


「研究中って言ってただろ。危険は無いのか?」


ソーシエラはふぅと大きく息を吐く。そして意を決したようにハルトを真っすぐに見据えて答える。


「わかりません。」


「わかりませんってお前!」


「ですが、理論は出来上がっており、低出力なら発動実験も完了しています。」


「今回使う威力ではやったことがないってことじゃねぇか!」


ハルトはソーシエラの言葉に納得がいかないと吠える。しかしそれを止めたのはエヴァンシアだった。エヴァンシアはハルトに抱き着き言葉を紡ぐ。


「ハルト様・・・ハルト様。わたくしの力が人を助けることに使えるなら、わたくしにやらせてください!わたくしは守られてばかりなのは嫌なのです。わたくしも勇者一行の一人なのです。お願いですハルト様!わたくしにやらせてください!」


ハルトはエヴァンシアの真剣な表情と言葉に気圧され押し黙る。そして抱き着くエヴァンシアの頭を優しくなでて一言。


「無理だけはするんじゃねぇぞ。」

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