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勇者転生 神の魔法で最強です≪サンサール戦記パンチャー編≫  作者: よろず屋


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第53話 予防は大事

ミーアたちがとってくれた宿で合流したハルトとレーヴェル。かなりグレードの高い宿のようで、部屋まではボーイのような男性が案内してくれた。今回の部屋割り、正確にはレーヴェルの断固拒否があって以降はミーアとソーシエラ、エヴァンシアとレーヴェルの組み合わせで2人部屋を使い、ハルトは一人部屋となっている。ハルトはボーイが下がる際に質問を投げかけた。


「なぁ、この街ってさ・・・そのーあれだ・・・」


ハルトの煮え切らない質問にも表情を崩さず静かに待つボーイ。教育が行き届ているようだ。


「娼館ってあるのか?」


ハルトが絞り出した言葉を聞いて一瞬反応が遅れたボーイだったが、にこりと笑顔を見せて答える。


「ございますよ。国から支援金が出ている正式なものがございますので、そちらをご利用ください。案内状をお渡しできますので、お出かけの際はフロントまで“仮宿を利用したい”とお申し付けくださいませ。」


国営かよと少々驚いたハルトだったが、予想通り求めていたものがあると聞いて上機嫌でボーイに礼を言って下がってもらう。


(だがどうするか。夕食の後にそっと外出して・・・。)


ハルトの頭の中では綿密なプランが練られていることになっていたようだが、実質はノープランと同じである。


宿の食堂で夕食を摂るハルトたちであったが、ハルトは女性陣がメニューやその味の話で盛り上がっている中うわの空で何となく相槌を打っていた。


「ハルト様、いかがなされましたか?何か気になることでもありますの?」


エヴァンシアがハルトの様子に心配そうな顔をして声をかける。


「うわの空と言う感じだな。そう言えば傭兵組合に行く途中、何かを探しているようだったが見つかったのか?」


「えっ?いや、あぁ・・・まぁな。あぁうん。大丈夫だ問題ない。」


「露骨に怪しいですね。」


レーヴェルの問いに良く分からない反応を返すハルト。その様子を見てソーシエラは怪しさを指摘する。だが、ミーアだけはそんなハルトを気にもしないように料理や酒に舌鼓を打っている。


(ミーアは無反応なのがより怪しいですね。共犯か、ハルト様が何を隠しているのか把握しているか・・・興味がない、と言うことはなさそうですが。)


「えーっと、料理だよな。うん、旨いなこの料理。確か、あー、この街はうまいものが多いって話だったよな?」


「はい、そうですわ!わたくしも良いものを食べてきたという自負はございますが、この料理の多様さは王宮にも負けない、いえそれ以上ではないかと思いますわ!」


エヴァンシアの素直な喜びを見て、ハルトは後ろめたそうに眼を逸らす。


「ふむ、体調が悪い・・・と言うことではなさそうだが?」


「あ、あぁ全然大丈夫だ。元気だよ。だから心配そうな顔をするなよエヴァ。」


「そうですか?どこかお怪我などなされておりませんか?」


「一緒に旅してるんだから怪我したらエヴァンシアだってわかるだろ?大丈夫だ心配ない。」


謎の言動を繰り返すハルトであったが体調が悪いわけでも怪我をしているわけでもない。早く夕食を終えて外出したいだけである。


そんなことがありながらも食事を終える面々。そこでミーアがエヴァンシアとレーヴェルに先に部屋に戻るように伝える。


「む、また飲み直すのか?ほどほどにな。」


「お先に失礼しますわ。ハルト様。」


二人が部屋に戻っていく姿を見てハルトはますますそわそわし始める。


(なんだって二人は残ってるんだ。早く部屋に戻れよ!)


「ハルト・・・」


「な、なんだ?何か用があるのか?オレはもう飲まないぞ。」


「別に飲まなくていいにゃ。ちゃんと案内状の通りアフロディシアっていう店にいくにゃ。」


「え?」


ハルトは一瞬ミーアが何を言っているのか理解できなかった。


「ハルト様!娼館に行かれるのですか!?」


ミーアの言葉を聞いて反応したのはソーシエラだった。だがミーアは立ち上がったソーシエラをなだめ続きを話す。


「ハルトが娼館に行きたがってるのは知ってるにゃ。別に止めないにゃ。」


「い、いいのか?」


ミーアは何でもないように頷き言葉を重ねる。


「ただし、必ず浄薬を飲んで証文を書かせるにゃ。手配はしてくれるはずだから言う通りにやるにゃ。」


「どういうことだ?」


「はぁ・・・そこまで説明するなら本気なのですね。浄薬というのは妊娠や病気の感染を防ぐ薬です。貴族階級では比較的出回っている薬なんです。この辺の研究だけはかなり進められていますから。」


「証文はお互いに浄薬を飲んだって言う記録にゃ。托卵が出来ないように証拠を残すにゃ。貴族の利用も多いから相続争いなんかが起きないように配慮しているにゃ。」


「はぁーそんなことまで。日本の風俗よりしっかりしてるじゃねぇか・・・。」


「で、そこまでして行きたい理由はなんにゃ?」


「そこは聞くのですね。」


あーあー、としどろ戻りになりながら、ミーアをソーシエラを交互に見ながら躊躇するハルト。しかしミーアから表情が抜け落ちているのを見て若干の恐怖を感じつつも諦めて話始める。


「試してみたいんだよ。」


「試す、ですか?」


「あぁ、ミーアがいろいろと教えてくれたから、そのなんだ、上手くはなってるんだろうなって思う。だけど本当なのか確認してみたいんだよ。自信を持っていいのかをな。」


「ワタシの感想では駄目なのですか?」


「駄目じゃねーけどよ。まぁ仲間って言う配慮とかありそうじゃねーか。でも村娘はダメだっていうだろ。だったら娼館ならって・・・。」


ミーアは少し可哀そうなものを見るような目で、「浄薬と証文を忘れないようににゃ。」とハルトを送り出した。ハルトは意気揚々と宿を出て夜の街に消えていった。


「良かったんですか?」


「別に問題ないにゃ?ソーシエラは嫌だったにゃ?」


「うーん、そうですね・・・よく考えると別に嫌ではなかったですね。」


「逆に娼館の方が安心にゃ。そこらじゅうで女を作られたらそれこそ悲劇にゃ。それに、下手に束縛しすぎてハルトが暴力であちしたちに言うことを聞かせようとするようになったら困るのはあちし達にゃ。」


「そこまで考えていましたか。確かにミーアの言う通りですね。」


「ハルトはこの世界の人間じゃにゃいからか、力づくで女に言うことを聞かせようって発想がないみたいにゃ。そのままのハルトでいてもらった方が良いにゃ。」


「大したものですね。今日はワタシがおごりますよ。」


女二人、複雑な感情は若干ありつつも、上質な酒を楽しむことにした。

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