第33話 第二戦解説
「さて、第二戦はハルト選手の勝利で終わったわけですが、決勝戦の前の休憩に入る前にアレクシオス様に今の戦いを解説していただきたいのですが、よろしいでしょうか?」
「はい。まず、スタヴロス選手が回避に専念したところから流れが変わりましたね。」
「ハルト選手のラッシュを完全に躱していました。」
「剣を振るうというのは想像以上に体力を消耗します。スタヴロス選手は歴戦の傭兵ですから その辺のペース配分は抜群に上手いのでしょう。一方ハルト選手はそこまで巧みにスタミナの管理ができなかった。疲れが動きに影響してしまった隙をスタヴロス選手に突かれてしまいました。」
「アレクシオス様も ここです と叫んでらっしゃいました。」
「ははっ、少々恥ずかしいですがあれほど見事に策がはまると剣士としては興奮してしまいますね。話を続けます。スタヴロス選手の大剣は小回りが利きません。しかし柄頭で攻撃するならばリーチは短くなりますが、かなり細かく そして素早い動作が可能です。それが見事にハルト選手にミートしたわけですね。」
「あれは完全に決まったと思いました。」
「はい、あれを受けて意識を失わなかったハルト選手を賞賛すべきでしょう。」
「そして、更にはスタヴロス選手の追撃すら防いでしまいました。」
「スタヴロス選手の膂力で振るわれる大剣を受け止めるとは、いったいどういう筋力をしているんでしょうね。決してハルト選手も筋肉がないわけではありませんし、かなり鍛えられた肉体をしているであろうことは、革鎧の上からでも十分にわかります。しかし二回り以上も大きいスタヴロス選手とは筋力の差があって当然だと思いますね。」
「受け止められたスタヴロス選手も驚きの表情を浮かべていました。」
「はい。そしてその後です。一瞬のことだったので一部想像が入りますが、スタヴロス選手の大剣がハルト選手の剣によって欠けたように思います。そしてスタヴロス選手の動きが完全に止まりました。」
「ああ、そうだったのですね。何やら違和感のある動きでしたが、最後の鎧をも切り裂くハルト選手の攻撃で一気に吹っ飛んでしまいました。」
「あれは本当にまぁ何なんでしょうね。スタヴロス選手の鎧は金属でできていたはずです。それを鉄剣でいとも簡単に斬り裂くなど・・・。」
「ありえませんか?」
「うーん、まぁ一応ですが可能な手段はあります。」
「ほうほう、それはいったい?」
「プラーナブレード・・・」
「プラーナ・・・ブレード?」
「はい。アウサーさんはプラーナをどんなものだと思われていますか?」
「魔法を使うもとになる力ですよね?」
「そうですね、一般的にはそう考えている方がほとんどだと思います。」
「違うのですか?」
「違うわけではないのですが、プラーナは剣に込めると剣の切れ味が増したり、剣の強度が上がって折れにくくなったりするんです。」
「剣に込める?そんなことが?」
「まぁできる人はかなり少ないですね。剣の一つの到達点ですし。なので、ハルト選手がプラーナブレードを使っていたとしたら、今までの強さも納得はいきます。」
(いや、プラーナブレード自体が難しいのではない。普通の剣ではまともに機能しないだけ。プラーナブレードを使うには宝剣が必要だ。しかし宝剣はアイトリア王国にも13本程度しか存在しないはず。一介の傭兵である彼が持てるものではない・・・)
「ははぁ・・・なるほど。プラーナブレードですか。まさかそんな技があったとは。これは決勝もどうなるか分かりませんね。」
「そうですね。まぁ実はニコルス選手も同じようなことをしていますので、ハルト選手が有利と言うよりは、ニコルス選手の優位が一つ消えたというべきでしょう。」
「なんと!ニコルス選手もプラーナブレードを使っていたと!」
「リュコス選手の剣を弾き飛ばした技。あれは恐らくプラーナを剣に込めていたからできた技だと思います。筋力だけであんなことが出来たら人間やめてますからね。」
「そうだったのですかぁ。あの時教えてくれれば良かったのに。」
「まぁまぁ。ニコルス選手の時はプラーナブレードのことまで説明しなくても理解はできる範囲でしたし。でしょう?」
「むむっ、まぁそうですが・・・。いやしかし、アレクシオス様に解説に来ていただいて正解でした。午後に行われる決勝戦もぜひ色々と解説をお願いします!」
「はい、今日は最後まで付き合うよう命令を受けていますし、どちらが勝ってもおかしくないほどの実力者たちの戦いですから、私の一剣士として楽しみです。」
「ありがとうございます!では観客の皆さま、決勝戦は2時間後の午後一時から開始となります。再入場の際には押印済みの入場券が必須となりますので、お忘れないようお持ちください!」
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