第24話 勇者の魔法
ハルトは意を決したようにミーアに話しかける。
「なぁミーア・・・相談があるんだが・・・」
「にゃ?いま?」
「そうだ・・・このまま二人でボスに挑まないか?」
「どういうことにゃ?」
「勝算がある。実はオレ、魔法が使えるんだ。それを使えば勝てると思う。だが・・・。」
ミーアは真剣な表情でハルトに続きを促す。
「オレの魔法で倒すと魔石が落ちないかもしれない。」
両腕を組みうーんと唸るミーア。
「色々とツッコミどころはあるけど、ハルトは勝てると思ってるんだにゃ?にゃら仕方がないにゃ・・・付き合ってあげるにゃ。」
緊張していたハルトはほっと息を吐く。拒絶されるかもしれないと不安だったのだ。
ただ、とミーアが続ける。
「駄目そうなら即時撤退にゃ。最悪あちしは先に逃げるにゃ。あと、無事に帰ったら全部話してにゃ。」
「わかった。」
10層ボス デウリオンと戦うことを決めた二人はボス部屋の扉を開ける。作戦は、ハルトの魔法でギガスガードを3体瞬殺もしくは致命傷を与える。残りの1体はハルトが動きを止め、もう1体はミーアが引きつける。
その間にハルトがデウリオンを1対1で倒し、残ったギガスガードを掃討する。ハルトはミーアに大きい音がする魔法なので驚かず動いてくれと伝えた。
ボス部屋に入り、敵を目視したハルトは一歩前に出てデウリオンが火の魔法第二節フォティア・スフェーラを放つ前に魔法を放つ。
「ケラウノス・ラフティオ!」
ハルトの手の前に出現した黄金の魔法陣から雷がほとばしったかと思うと、ドーンと落雷音が響きギガスガードの1体に直撃。
ハルトは着弾を確認する前に続けてケラウノス・ラフティオを二連射。ミーアは轟音と光に驚き、一瞬硬直したが、初弾を受けたギガスガードが灰を散らし消えていくのを確認し、自身がすべきことを思い出す。ダガーを引き抜き、残ったギガスガードに向かって駆け出した。
ミーアが駆け出すとほぼ同時にハルトもギガスガードに向かって走り出し、ミーアがあえてすり抜けた1体に向かって神剣を振るう。ギガスガードは盾でハルトの剣を防いだが、神剣より発せられる麻痺の効果で膝をついた。
麻痺の効きがあまり良くないと感じたハルトは、動きが鈍ったギガスガードに向かってもう一度神剣を振るい肩を斬りつける。
無防備な所に追撃を受けたギガスガードは完全に麻痺して倒れ込んだ。
ハルトがデウリオンに向かおうとした次の瞬間、デウリオンはフォティア・スフェーラを放つ。ギガスガードを巻き込まないように放たれたそれを、ハルトは着弾地点を見定め冷静に回避。デウリオンに向かって駆け出す。
慌てた様子で次の魔法を放とうとハルトに手を向けるデウリオンだったが、ハルトの方が一瞬早くデウリオンの掌を斬りつけた。踏み込みは浅かったが発生寸前の魔法陣は掻き消え、麻痺の効果でデウリオンも一瞬動きが止まる。
その隙を逃さずハルトが追撃を行うが、即座に麻痺から解放されたデウリオンは左腕を盾にしてハルトの攻撃から逃れる。
腕一本切り落としたものの、腕が体から離れたことで麻痺の効果は発動せずデウリオンは右手を突出し火の魔法第一節フォティアを放った。
左に転がる形で回避したハルトだったがデウリオンとの距離が空いてしまう。デウリオンは続けて火の魔法第二節フォティア・スフェーラで弾幕を張り、ハルトは必死に駆けて回避するしかない。
(あれは駄目っぽいにゃ。逃げた方がいいかにゃ?)
ギガスガードの攻撃を捌きながらハルトの様子をうかがっていたミーアは冷静に思考を巡らす。
一方ハルトは若干焦りながらも勝つための思考を巡らせていた。
(残りのプラーナの感じだと、あと一発はケラウノスを撃てる。当てちまうと魔石が落ちないだろうから・・・)
ハルトは意を決したように左手をデウリオンに向け唱える。
「ケラウノス・ラフティオ!」
ハルトから放たれた雷はデウリオンのわずか手前に着弾し地面が爆ぜる。その衝撃にひるむデウリオン。
ハルトは全力でデウリオンに駆け寄りスピードを落とさずに神剣を横薙ぎに振るう。ハルトの剣撃はデウリオンの胴をなぎ、デウリオンの体勢が大きく崩れる。ハルトは勢いを殺さずに回転し、今度はデウリオンの首を落とした。
デウリオンは光になって霧散していく。
ハルトは一瞬だけ、大きく息を吐いてから顔を上げ残りのギガスガードを確認。最初に麻痺させた1体がわずかに動き始めている。ミーアが対処している1体は幾つもの傷をつけられ動きが鈍っているものの、まだ倒すには至らない。
ハルトは麻痺から回復し始めているギガスガードにとどめを刺すべく駆け寄り、首を落とす。疲れが出始めているのか、フーっと息を吐き、ミーアのもとに駆け寄る。ハルトの接近に気付いたミーアがギガスガードの体勢を崩すように攻撃を加える。ハルトはその隙を突いて背中を薙ぐ。
致命傷かと思われたが、最後のあがきと剣を振り回すギガスガードにハルトは一瞬気圧され、弾き飛ばされるが、ミーアはハルトに攻撃を加えた隙を逃さずギガスガードにとどめを刺した。
「最後、デウリオンに魔法を撃ってくれただろ。助かったよ。」
ハァハァと肩で息をしながらミーアはニャハハと笑ってサムズアップしていた。
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