第22話 リベンジ
クノス・ラビリス6層に足を踏み入れたハルトとミーア。そこはこれまでの洞窟と違い、大平原が広がっていた。更には天井はなく青空が広がっている。階段は小さな小屋の中にあったが、屋根の上から階段が続いているということも無く、なんとも不思議な光景であった。
「ファンタジーあるあるだけど・・・実際に地下に空があると不思議な感じだな・・・」
「ん?あまり驚いてないにゃ。ここに初めてくると皆すごく驚くにょに。」
「あ、あぁ、いや驚いてるよ。ホントどういう仕組みなんだか。」
「まぁ良いにゃ。この層から敵は集団で襲って来るにゃ。1体ずつ相手をするよりかなり大変だから あちしたちも連携するにゃ。」
5層ボス カトレスとの戦闘を根に持っているのかミーアはハルトに釘をさす。
「わかったよ。ミーアに従う。ここからは罠もあるんだろ?」
「草原エリアの罠は、匂い罠と落とし穴にゃ。匂い罠は地面にあるスイッチを踏むとモンスターを引き寄せる匂いの煙を噴射するにゃ。落とし穴はキラーアントの巣に落とされるにゃ。」
「どっちも面倒そうだな。どうやって回避するんだ?」
「8層までは罠の場所はわかりやすいにゃ。少し遠くに草の色が変わってる場所が見えるにゃ?」
「なんか・・・黄色いな。」
「そう、あれが罠のある場所にゃ。基本的に罠のある場所から離れて戦うにゃ。どうしても近くで戦う時は踏まないように注意しないといけないにゃ。」
「分かっていても踏んじまうことがありそうだな。」
「そうにゃ。だから極力近くでの戦闘は避けるにゃ。幸い、草原は広いからモンスターを引き付けて戦えば大丈夫にゃ。一応、匂い消しは持ってきてるけど戦闘中は使えないから、もし戦闘中に匂い罠を踏んだら全力で階段まで逃げるにゃ。」
罠に付いて教えてもらったハルトはミーアに付き従い草原を進む。
「6層で集団戦を試しておくにゃ。あそこにいるグレイドッグを狙うにゃ。」
ミーアはグレイドッグ6体の群れに向かって矢を放つ。攻撃に気付いたグレイドッグたちはハルトたちに向かって駆け寄ってくる。ハルトは前衛に立ちヘイトを受け持つ。倒すことよりも神剣で傷をつけることを優先して立ち回るハルト。そのハルトを崩せずにミーアへの意識が薄くなるグレイドッグたち。ミーアはその隙をついて1体ずつダガーで攻撃を加える。ハルトの神剣を受けて麻痺をしたり、ミーアに削られて倒れていくグレイドッグ。さほど苦労せず6体のグレイドックを倒しきることが出来た。
「グレイドッグは余裕そうにゃ。まぁ王都に来る途中に遭遇しているから大丈夫なのはわかっていたにゃ。次はゴブリンにゃ。ファイターが率いてるから連携してくるにゃ。」
(あいつらか・・・今度はミーアもいることだし、あの時のような無様なことにはならんぞ。)
魔領域の森での戦いを思い出し静かに闘志を燃やすハルト。ファイター1体ゴブリン5体の群れを見つけた二人は戦闘態勢に入る。
「先制は俺がやる。」
ハルトはスリングを回し石を放つ。ハルトたちに気付いていなかったゴブリンは投石が額に直撃しふらふらしている。敵からの攻撃に気付いたファイターはギギィ!とゴブリンたちに命令し、二人に向かって駆け寄ってくる。しかし投石を受けた1体はふらついており、出遅れていた。
「アイツ置き去りにされてるぞ。」
「ゴブリンファイターはそこまで賢くないにゃ。でもラッキーにゃ。」
(前世のクソ上司みたいでムカつくな。)
ハルトはもう一度スリングで石を放つ。投石は先頭を走っていたゴブリンの足に命中し、ゴブリンは転倒。残りの3体のゴブリンがハルトを囲むように動く。ハルトは正面のゴブリンに即座に近づき神剣を一閃。ゴブリンの首を跳ね飛ばした。
その様子に驚き隙を見せるゴブリンに対し、ミーアは右にいるゴブリンの背後から忍び寄りダガーで斬り付ける。それを目の端で捉えたハルトは左側のゴブリンの石斧を持つ腕を斬りつけた。神剣の効果で麻痺したゴブリンは倒れ込む。
ようやく追いついてきた2体のゴブリンにファイターはなんぞ指示を出して、自身はハルトに向かってきた。2体のゴブリンは右にいたゴブリンを倒したミーアを押さえようと動く。
ハルトはファイターと1対1の状況にニヤリと口角を上げて、ファイターが振り下ろした剣を神剣で受ける。受けた瞬間に神剣の効果で麻痺したファイターは動きが止まり、その隙をついたハルトに一撃で首をはねられた。
2体のゴブリンと対峙したミーアは攻撃を躱すことを優先し、隙をついてダガーで斬りつけている。ハルトは麻痺して倒れているゴブリンにとどめを刺しミーアの加勢に向かう。一瞬ミーアを目が合ったハルトは、狙うべき個体を理解し、ミーアの攻撃で態勢が崩れた1体を背後から斬りつけ真っ二つにした。
隣で仲間が殺された最後のゴブリンはギギィ!を叫び声をあげてうろたえる。その隙をついてミーアがダガーで四肢を切りつけ、とどめに頭部にダガーを突き刺した。
「ファイターの群れも問題なさそうにゃ。」
(リベンジ成功だな。ざまぁないぜ!でもファイターがいてもミーアと一緒なら余裕だな。魔法も必要なかったし。)
ハルトは魔石を拾いながらファイターを容易に撃破したことを内心かなり喜んでいた。
「やっぱりハルトはとんでもない強さになってるにゃ。魔領域の森で一緒に狩りをしていた頃より明らかに強くなってるにゃ。どういうことにゃ。」
(レベルアップしてるってことなのかな?別にトレーニングはしてないけど、素早さや力は上がっている気がするし。こっちの世界人間はモンスターを倒してレベルアップとか無いのかね?)
「まぁ日々成長しているのさ。」
「頼りになるのは良いことにゃ。8層までは余裕そうにゃ。」
時々戦闘しながら8層まで一気に駆け抜ける二人。9層に降りる前にミーアが先の層に付いて説明する。
「ここからはハーピー3体の群れと、デミギガスっていう3m弱の巨人2体のコンビがいるにゃ。デミギガスは強いけどハルトは1対1なら勝てるはずにゃ。1体はあちしが引き付けておくから、そのうちに倒すにゃ。」
「わかった。でもハーピーは・・・」
「仲間を呼ぶにゃ。でも森と違って仲間が来てもどこから来るか見えるし、よほど群れ同士が固まっているところじゃなきゃ集まって来るまでに時間があるにゃ。でも他のモンスターも集まって来るから、倒したら即座に移動はするにゃ。罠も見づらくなるから注意してにゃ。」
わかったと答えたハルトは、ミーアと共に9層への階段を下っていった。
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