第17話 ハーピー討伐
翌日の朝、傭兵組合でミーアと合流し、魔領域の森に向かう。ミーアの弓は左手に装着する折りたたみのショートボウで、森に入ってから装着すると言っていた。右手には緑色の魔石らしきものがはめ込まれた白い手袋をしている。手甲というよりは絹の指ぬき手袋のようなもので、戦闘向きには見えない。
「ミーア、その手袋は?」
「これは魔法を補助してくれる手袋で、いわゆる魔道具というやつにゃ。結構いい値段がするけど、ハーピーを狩るなら準備は万全でないとにゃ。」
「へぇ、魔道具か。そんなものがあるんだな。」
「魔導士なんかはだいたいプラーナ制御を補助する杖を使っているにゃ。魔石を使った道具はそれなりにあるにゃ。コンロなんかも魔石を使って火を使いやすくしてるにゃ。」
「そ、そうなのか。宿暮らしで自炊もしないし、その辺の事情には疎くてな・・・。」
ふーんと言いながら何かを考えているようなミーアだったが、森が近づいてきたため戦闘用の雰囲気を纏ってハルトを先導しながら森に入っていく。
前日とは異なり、ゴブリン層と獣層を早々に通り抜け、ハーピーのエリアに到着する二人。ミーアがかなり遠くからモンスターの位置を把握できるためほとんどの戦闘を回避し進むことが出来た。
「さて、ここからが本番にゃ。基本的にハーピーは木の枝にとまっていることが多いにゃ。なので索敵は上の方をメインで行うにゃ。でもアルミラージがたまーにいるから、上ばかり見ていると足をすくわれるにゃ。」
「わかった。」
「あちしが矢か魔法で羽を攻撃するから、落ちてきたハーピーをハルトが倒すにゃ。羽に攻撃を受けると仲間を呼ぶ声をあげるから速度が重要にゃ。足の鍵爪での攻撃がメインだけど、異常に甲高い声で叫ぶことがあって、これを受けると耳が一時的に聞こえなくなったり、吐き気をもよおしたりするから、浮いている時はちょっと注意にゃ。」
「よし、やってみよう!」
ミーアにハーピーとの戦い方をレクチャーされたハルトは、ミーアに続いて森を進んでいく。少し進んだところでミーアが止まれのハンドサインを出す。ハルトはその場で身をかがめてミーアの視線の先をよく見てみる。
そろそろとミーアが身をかがめながら進み、ハルトに合図を出すと当時に左腕に着けた弓で矢を放った。ハルトは同時に地面を蹴って、ハーピーが落ちてくるだろう場所に駆ける。
風切り音を察知し、とっさに避けようとしたハーピーだったが、羽に矢を受けて飛び立てず、木の上から落下。落下地点に到達していたハルトは、落ちてくるハーピーに合わせて神剣を振るう。プラーナを込めた神剣はハーピーの首をすんなり斬り落とした。ハーピーが光になって霧散したことをか確認したミーアは、落ちた矢を回収し、微笑みながらハルトの胸をトンと叩いた。
ハルトはニヤリと調子づいた笑いを返し、二人は次の標的を探しに移動を開始。
その後も1体ずつハーピーを狩っていき、合計5体のハーピーを倒したところで、3体のハーピーが集まっている場所を見つける。
「どうする?さすがにきついか?」
「そうだにぇ・・・。そろそろ あちしの魔法を見せてあげようかにゃ。」
ニヤっと笑いながらそう返すミーアにハルトは目を瞬かせたが、おもしろそうだと答えた。
「とは言え、3体同時には落とせないから、2体目が落ちてから攻撃に入るにゃ。飛び出すと甲高い声が飛んでくるにゃ。あれは見えないから躱せないにゃ。」
頷いたハルトを見て、ミーアは弓に矢をつがえ駆け出す。射程内ギリギリで矢を放ち、それを察知し動き出したハーピーたちに向かって右手を突き出す。
「アネモス!」
魔法を唱えたミーアの右手の前に緑色に光る魔法陣が現れ、ドッと音を放って何かが放たれた。ハルトも駆け出し、矢を受けたハーピーに向かって剣を振るう。そのハルトを狙って1体のハーピーが急降下してきた。
「ハルト!」
ミーアの声を聞き、落ちてきたハーピーには薄い傷だけつけて剣を振るった勢いのまま前に転がるハルト。
「アネモス!」
それを見たミーアが再度魔法を放った。急降下を躱されたハーピーは後ろからミーアの魔法を受けて弾かれたように木に激突する。最初の魔法はすでに1体のハーピーの羽を直撃しており、地面に落ちたハーピーが仲間を呼ぶ声を上げていた。
ハルトは仲間を呼んでいるハーピーに向かって突撃し、神剣を一閃。首を落とした。ミーアの魔法で吹き飛ばされたハーピーに振り返ったハルトが見たのは、ミーアによって心臓にダガーを差し込まれ光になって霧散していく姿だった。
ハルトはほっとし、魔石を拾った後、急いでハルトに切りつけられ麻痺しているハーピーに駆け寄りとどめを刺した。だが、ほっとする間もなく森の奥からギィギィと声と共に複数の羽音が聞こえ始める。
「ハルト、ここは引くにゃ。」
ミーアの声に引かれてハルトは来た道を急いで戻り始めた。
かなりの速度で走るミーアに置いて行かれないよう必死で走るハルト。獣層を抜けたところでようやくミーアは速度を落とし、ハルトを振り返って足を止めた。
「にゃはは、あぶなかったにゃ。」
ハルトは はぁはぁと息をはきながらミーアを見やる。
「まったく。頼むぜ先輩。」
しかし言葉とは裏腹にハルトの声は楽しそうに弾んでいるのだった。
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