第16話 次の獲物
魔領域の森で休憩中にミーアがハルトに声を掛ける。
「ハルトの剣って宝剣か何かなのにゃ?ちょっと見せて欲しいにゃ。」
ハルトは一瞬、武器のチートに頼っていることを見抜かれるのではと不安になったが、断る理由も思い浮かばず、おずおずと剣をミーアに差し出す。
「抜いてもいいかにゃ?」
「ああ」
神剣を受け取ったミーアは、ハルトに確認を取ってから剣を抜く。刀身や柄などじっくりと観察するミーア。
「ミーアは目利きもできるのか?」
「商隊の護衛だけじゃなく、いろいろと商売についても手伝ってるからにゃー。ある程度は物を見ることもできるにゃ。はい、ありがとにゃ。」
神剣を鞘に戻してハルトに返すミーア。
「よく手入れされているけど、普通の両手剣なのにゃ。ちょっとだけ丈夫な金属っぽいけど、あれだけ鋭くモンスターを斬れるのはハルトの腕前にゃんだね。」
(ん?神剣であることに気付いていいない?確かに装飾もほとんどない無骨な剣ではあるけど。手入れなんてしなくても切れ味は落ちないし、欠けたりもしないから間違いなく神剣なはずなんだけどな。)
「そ、そうか。ミーアはオレの実力を認めてくれたってことか?」
「そうだにぇ。新人とは思えないほどの実力で驚いてるにゃ。ホーンベアも少し狩って今日は戻るとするにゃ。」
「わかった。狩り方のコツはあるのか?」
ハルトはミーアが認めてくれたことに嬉しくなり、ミーアに対しては素直に教えを請うことが出来るようになっていた。ミーアもそんなハルトを微笑ましく思ったか、少しだけお姉さんぶりながらも、丁寧にハルトの疑問に応えながら進む。
ミーアと協力しホーンベアも難なく討伐し、6個ほどの魔石も手に入れた二人は本日の狩りを終えてコリンに戻ることにする。帰り道でハルトはさらに奥の層について聞いてみることにした。
「先の層での狩りはどうなんだ?稼ぎはかなり良くなると思うが。」
「そうだにぇ・・・あれ以上先に行くとハーピーの縄張りに入るにゃ。飛んでいる敵の対策をしていかないと進めないにゃ。」
(ハーピーか。この前はハーピーに出会う前にゴブリンファイターに出会ったっけ。)
「ゴブリンファイターもでるよな?」
「ファイターはハーピーの縄張りを抜けた後にゃ。モンスター同士で争うことは無いみたいだけど、お互いの縄張りは守ってるにゃ。」
「そ、そうか。じゃあ次はハーピーと戦ってみたいな。また付き合ってくれるか?」
「ハーピーはソロだとリスクの方が大きいけど、ハルトがいるにゃら良い稼ぎになりそうにゃ。明日もう一回ってみるにゃ。」
(やった!とりあえずお眼鏡にはかなったみたいだ!)
「オレが準備するものはあるか?」
「ハルトは魔法が使えないんだよにゃ?今から弓を練習しても当たらないだろうし、スリングでも持って行くにゃ?」
「なるほど。遠距離攻撃がないと厳しいってことか?戻ったら道具屋によって練習してみるか。」
「ハーピーは羽に当てさえすればかなりの確率で落とせるにゃ。落としたところをハルトがとどめを刺す戦い方でいくにゃ。」
「ミーアはどうするんだ?」
「あちしは小型の弓を持って行くにゃ。いざとなったら風魔法も使えるし、ハルトのスリングショットがあまり当たらなくても心配ないにゃ。」
「おっ!風魔法を使えるのか?何回使えるんだ?」
「一節を5回は使えるにゃ。」
ドヤァと胸を張るミーア。決して大きくはないが主張だけは確かな胸を見てハルトはドキドキしながら目を逸らす。するとミーアはすっとハルトにすり寄り、小声でつぶやく。
「ハルトはホント可愛いにゃ。」
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傭兵組合で魔石を換金しミーアと明日の約束をして別れたハルトは、ミーアにすすめられた武具店に来ていた。そこで森でも使える短めのスリングを購入。弾は落ちている石で良いらしいが、金属の塊や魔石を使った属性弾などの石より強力な弾を使うこともできるらしい。とは言え、消耗品になりやすいため使用者は限られるらしい。
ついでに防具も見て回るハルトだったが、ライラにもらった革鎧は十分な品質があったようで、今買い替える必要はなさそうだった。金属鎧もいくつかあったが、軍人はともかく、森など平原以外での戦闘が多いモンスターハンターが重さを考慮して使用者はほぼいないとのことだった。ただし、ダンジョンの奥地で見つかることがある、プラーナを多分に含んだ金属は、プラーナを込めることで爆発的に強度を上げることが出来るため、それらを仕込んだ軽鎧は傭兵たちの憧れになっているらしい。
いずれにせよ、辺境都市で手に入るものではないので、ハルトはスリングだけ購入し、武具店裏手の修練場でスリングの練習を行うのだった。
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