第14話 ミーア
エルフを期待されていた方ごめんなさい
「今日の魔石だ。換金してくれ。」
「おやハルトさん。今日は少し早いんですねぇ。どれどれ・・・」
傭兵組合に戻ってきたハルトは年配の女性受付マイアに魔石を出して換金を頼んでいた。
「ゴブリンに、オロス、アルミラージ、あらホーンボアまでありますか。少し奥まで行かれたんですね。」
「あ、ああ。少しずつ範囲を広げたいからな。」
「魔領域の森の様子はどうでした?何か変わったことなどなかったですか?」
(そう言えばゴブリンファイターに遭遇したのは結構浅い層だった気がするが・・・いや、ゴブリンファイターのことは言えないな・・・。魔石もないし。どうやって倒したんだって話になっても面倒だ。)
「ん?いや、特に変わったことは無いんじゃないか?」
「そうですか。それなら良かった。表層のゴブリンを刈っておけばスタンピートが起きることは無いと思いますが、森のことは傭兵の皆さんからの情報が頼りですからね。何か気になったことがあれば教えてください。」
マイアと簡単に会話してから魔石の対価を貰いハルトは宿に戻るのだった。
その後も1週間ほどは獣層での狩りをしながら図書館で連携するモンスターの対処を調べたり、道具の買い足しなどを行って過ごしたハルトだったが、魔法無しで獣層の奥に行くには一人では難しいという結論に達していた。
(パーティメンバーを探すにしても、女の子の傭兵はすごく少ないんだよな。いてもカップルか、女性だけのパーティで男性厳禁しかいねぇ。)
エレナが言うには、女性が身を守るためには信頼できる男性、つまりパートナーと組むか女性だけで固まるしかないという事情があるようだった。新人かつあまり人付き合いが良くないハルトには女性のパーティメンバーを探すのは不可能に近かった。
(はぁ、そろそろもっと大きな街に行くって言うのも手か?そもそも魔王とやらを倒さないとならんのだよな。というか勇者とか魔王とかの話が全然話題にあがらないのはなんでだ?辺境だからか?)
手詰まりの状況の中、ハルトはぼーっと中央広場で噴水に腰かけながら、屋台で購入した固いパンのサンドイッチを食べていた。照り焼きソースのような何とも懐かしい味がするそれはハルトのお気に入りの一品である。
「お兄さん。ぼーっとしちゃってどうしたにゃ?」
そんなハルトに声を掛ける者が現れる。ハルトが声のもとに目を向けると、そこには1週間程前に商隊と一緒にコリンに来た猫人女性がハルトを見下ろしていた。
「え?あ?オレ?」
「ふふ・・・ここにはお兄さんしかいないにゃ。」
「あ、ああ。あ。うん・・・。あれ?商隊と一緒にいた・・・」
「あちしはミーアにゃ。商隊の護衛してる傭兵にゃ。護衛だけじゃにゃいんだけどね。お兄さんは?」
「オ、オレはハルト。今はこの街で傭兵をしている。」
ハルトはなるべくそっけなく答えたつもりだったが、突然のことで、若干挙動不審気味であり、さらにはミーアの可愛らしい顔やスレンダーなスタイルを見て内心テンションが上がっていることを隠しきれていなかった。
そんなハルトを見てミーアは少しいたずらっぽく にひひと笑いながらハルトの横に腰を掛けてさらに話しかける。
「ちょっと前にコリンに来たって聞いたにゃ。若いけどかなりの腕前ってきいたにゃ?」
(な、なんか近いな・・・それに良い匂いが・・・)
「そ、そうかな・・・ま、まぁでも一人だと限界もあるから・・・」
「ソロでホーンボアまで狩れるなんてかなりのものにゃ。ギガースゴブリンまで倒したって聞いたにゃ。」
「随分情報通だな・・・」
ハルトにとっては少しだけ苦い思い出のアンドレイア団との共闘の話が出たことで、ハルトは少しだけ嫌な気持ちを思い出した。
「実はエレナとはそれなりの付き合いにゃ。で、ハルトが困ってるだろうなーって思って声を掛けたにゃ。」
「困っている?」
「そ。一人だと限界だなって思ってるにゃ?」
「ま、まぁそうだな。」
「そう!そこでこのミーアさんの出番って訳にゃ。」
「どういう?」
「あちしが一緒に狩りに行ってあげるにゃ。こう見えてスカウトとしてはそれなりに名が通ってるんだにゃー。それに商隊に同行することも多いから交渉事も得意にゃ。ハルトにはちょうど必要にゃんじゃないかにゃ?」
鋭いところをつかれてぐぅの音も出ないハルトだったが、何とか言葉を絞り出す。
「そ、それはありがたいけどモンスターとの戦闘は大丈夫なのか?オレについてこれなきゃ結局足手まといになるだけだぞ。」
生意気な台詞で強がって見せるハルトだったが、ミーアはそんなことはお構いなしと自身の体をズイっとハルトに近づけ、言葉を返す。
「商隊は一週間後に王都に戻るにゃ。だからそれまでお試し期間ってことで一緒に狩りをしてみにゃい?」
(ち、近っ!?すげーいい匂いが!!や、やば!!)
ハルトは慌てて立ち上がり遠くを見るようにして答える。
「そ、そう言うなら試してみるか。」
ミーアはニヒヒと笑いながら、よろしくにゃと返すのであった。
エンカウント:ミーア
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