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エインシェント

EP1、2、15にそれぞれ主人公・ヴァレンティナ・カレンのイメージイラストを挿入しました。


よければご確認下さいませ。

 先のやり取りがあった後、マーシャから「魔法を教えて欲しい」という申し出があった。

 僕やカレンと一緒に旅をするにあたって、彼女も何か僕らの力になりたいそうだ。

 エインシェントへの道中、僕は簡単な魔法をマーシャに教えてあげた。

 とはいえ、最初から上手くいく何てことはない。

 詠唱をしっかり言えたとしても、その後の魔力の扱いのコツをつかむのに苦戦していた。

 尚、カレンも挑戦しようとして見たが、昔から魔法に関してはからっきしらしく、早々に諦めてマーシャを見守るポジションにシフトしていた。

 よく『天は二物を与えず』なんて事を言うが、カレンにとっては魔法の代わりに剣に関して才覚があったという事なのだろう。


 と、即席の魔法講座をしながら歩いていたらいつの間にやらエインシェントが遠くに見えて来た。

 道中にカレンから聞いた話だが、エインシェントは魔物に対して特に厳しい態勢を取っている事で有名なのだとか。

 カレンは騎士団師団長として何度か伺った事があるらしいが、厳戒態勢なのは魔物に対してだけらしく人間からすれば普通の町である事に変わりはないそうだ。

 この町の警護を担当しているのは『神聖騎士団』という騎士修道会だという。

 詳しくは知らないが、なんでもここエインシェントは神聖騎士団からすれば非常に重要な拠点なのだという。

 町に着いたらその辺の話も詳しく聞けるといいな。


「む~……難しいですぅ」

「最初は誰だってそんなものだよ」

「分かりました。もっと練習頑張ります!」

「うん。その意気だよ」


 と、マーシャと話しているとカレンが遠くを指さして言う。


「2人共、あと10分ほど歩けばエインシェントに到着するぞ」

「あたし歩きっぱなしで足が痛いです~」

「町に着いたらしばらく宿で休みを取るとしよう。私も足が棒の様だ」


 その後しばらくしてエインシェントまで辿り着いた。

 ルクセリアの様な王都と比べると小さいが、それでも結構大きな街だ。

 街の前には神聖騎士団の騎士たちが門番を務めている。


「では、早速街に入るとするか」


 街に入ろうとすると、二人の門番が立ちふさがる。


「そこの者たち、止まれ」

「旅の者と見受けるが、エインシェントへ入る前に念のため、手持ちの者を確認させてもらうぞ……ん?あなたは……」

「お勤め御苦労。私はルクセリア騎士団師団長のカレン・エルヴァインだ」

「おぉ、ルクセリアのカレン師団長殿でしたか。それは大変失礼致しました」


 おぉ、まさか顔パスとは。

 ルクセリアから結構離れてるはずなのにここでもカレンの顔はきくんだな。


「うむ。休暇のついでにこちらに立ち寄らせてもらった。しばらく滞在するつもりなのだが良いかな?」

「はっ!勿論でございます!」

「では入らせてもらうぞ。ノクス、マーシャ。さぁ行くぞ」


 と、意気揚々と街へ入ろうとした瞬間の事だった。


―――バシィッ!


「うっ!?」


 唐突に身体に強い衝撃を受けた。

 

「ん……?どうしたノクス?」

「い、いや……何か身体に強い衝撃が……」

「大丈夫か?」

「う、うん……大丈夫。ちょっとびっくりしただけだから」

「そうか……ここまで歩きできたのだ。疲労もあるのだろう。さぁ宿に向かうとしよう」


 僕らは宿へと直行し、そのまましばらくの休息を取る事にした。

 

「はぁ~。ベッドがふかふかで気持ちいいです~」

「ようやく腰を下ろすことが出来るな」

「あたし、このまま眠っちゃいそうです~」

「私も少し眠るとしよう……ノクス、君も少し休んでおいた方が良い」

「うん……分かった」


 その後すぐに寝息を立てるカレンとマーシャ。

 僕はまだしばらく起きていた。

 宿の窓際で椅子に腰かけていると、入ってくる風が非常に心地よかった。

 風で疲労が流されていく様だ。

 そもそもアズールポートで僕が余計な事さえしなければ、もう少しゆっくりと旅を出来たのに……。


 ん?

 何やら宿の外が騒がしい事に気付く。

 バタバタと忙しなくしているのは……神聖騎士団の団員たちか?

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