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エインシェントに向かって

キリの良い所で終わらせた結果、非常に短くなってしまいました。

「……カレン」

「なんだ?」

「……すまない」

「気にするな。もう終わった事だ」

「……マーシャも……ごめん」

「あ、アタシは何も……」


 その後、3人共しばらく口を噤んだまま、黙々と荷物をまとめていた。


「さぁ、荷物は持ったな?」

「うん……」

「はい……」

「よし、ならば早くこの町を出るぞ。騒ぎが大きくなる前にな」


 そういうとカレンは宿をチェックアウトし、僕ら3人はアズールポートをその日の内に出立した。


「さて、馬車ももう帰ってしまったし、この後どうするか……」

「……」

「……ノクス」

「……なに?」

「何度も言うがもう終わった事だ。気にした所で仕方がない。顔を上げて前を見ろ。私たちは次へ進むしかないんだ。しっかりしろ。それでもこの私を下した男か?」

「うん……ごめん」


 カレンはいつだって前向きだった。

 叱るでも反省するでもなく、前を向いて次に進もうと。


「で、次はどこの町にいくかだが……」

「この近くの町だとサンブルームかエインシェントのどちらかだが……」


 エインシェント……。

 そういえば少し前に野党に襲われていた馬車を助けた時の女の子。

 確か……セシリアだったっけ?

 彼女がエインシェントに来る事があればお礼したいとは言っていたが……。


「カレン……」

「ん?」

「僕はエインシェントに行ってみたい。一人顔見知りがいるんだ」

「ほぅ、そうなのか。ではエインシェントに向かってみるか」


 こうして僕らはエインシェントに向かって歩き出す。


「エインシェントってここからどれくらいかかるんだろう?」

「確か歩きで1日もかからないくらいだ。少し歩く事になるな」

「マーシャは1日歩く事になるけど大丈夫?」

「はい!あたしは大丈夫です!」

「では、出発するぞ」


 こうして僕たちはたった一人の当てを頼りにエインシェントに向かった。

 セシリアというたった一度会っただけの女の子を頼ってまた長い道のりを歩み始めた。

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