表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/36

瀕死の蜥蜴人

PV数3000あっという間に達成しました。一話から最新話まで通して読んでくださる方も多い様で大変嬉しく感じております。支援下さる皆さまのおかげだと思っております。ありがとうございます。

 僕らが悠長に食事を楽しんでいる時、それは起きた。

 

「きゃああああああああああああ!」


 店の表から耳を(つんざ)くような女性の悲鳴が聞こえた。


「なんだ!?」


 すぐさまに異変に気付き立ち上がるカレン。

 遅れて他の客たちも騒めきだす。

 

「ノクス!」

「分かった!マーシャはここにいて!」

「は、はいです!」


 僕とカレンが駆け足で店の外に出ると、店の外には武器(ヤリ)を持った魔物が一体いた。


「あれは……蜥蜴人(リザードマン)か?何故こんなところに魔物が……」


―――シャアアアアアアアア!シャアアアアアアアア!


 蜥蜴人(リザードマン)は声を荒げてその場で暴れてはいるものの、周りの人間に危害を加える様子はない。


「……ノクス、君はあの蜥蜴人(リザードマン)をどう見る?」

「……恐らく毒か何かに侵されて暴れている可能性があると思う」

「ならばどうする?助けるか?もし助けた所で周りの人間に危害を加えないとは限らないぞ」

「……」


 カレンは僕を試す様な事を言ってくる。

 確かに魔物を助ける理由はない。

 寧ろこの場にいる人間たちの事を考えるのであれば、助けない方が彼らの為でもある。

 僕はこの状況にすぐさま答えを出す事が出来ず、沈黙していた


「やはりここは……」


 剣に手をかけるカレン。

 

「ちょ、ちょっと待って!」


 僕はカレンを止めた。

 

「どうしたノクス。何故止める?」

「どうしたって言われても、僕も分からないんだけど……」


 何故かは分からないが僕はこの蜥蜴人(リザードマン)を殺すのは良くない事だと思ったのだ。

 

「……とりあえず彼の毒を治療しよう」


 そういうとカレンは僕の肩を強くつかんだ。


「待て!本気で言っているのか!?」

「……もしも暴れ出したなら、その時は僕が責任を取る」

「…………………ならば何も言うまい」


 カレンはゆっくりと僕の肩に置いた手を離した。


「風よ大気よ精霊よ。彼の者を蝕む邪悪を浄化したまえ。毒を滅せよ(ヴェネナム・オチデレ)


 神々しい光が蜥蜴人(リザードマン)の身体を包み込む。

 暴れもがいていた彼は徐々に落ち着きを取り戻し、数十秒後には完全に大人しくなった。


―――シャアア……。


 ジッとこちらを見つめる蜥蜴人(リザードマン)

 彼はしばらくこちらを見つめると、大人しくその場から、街の外へと去って行った。

 無事に終わった、と思っていたが問題はここからだった。


「おい!お前!なぜあの魔物を助けたんだ!」

「まさかこいつ、魔物の仲間なんじゃ……」

「怪しい奴め!さっさとこの街を出ていけ!」


 魔物を助けた僕を待っていたのは町の人間たちからの顰蹙(ひんしゅく)だった。

 四方八方からヤジが、物が飛んでくる。

 そんな中、カレンが彼らの矢面に立つ。

 

「待て!我々はルクセリアから来た兵士だ!決して敵意は無い!」

「ルクセリアだと!?」

「そうだ!私はルクセリア騎士団師団長のカレン・エルヴァインだ!」

「だとしてもそこの子供が魔物を助けた事と何の関係があるんだ!」

「そうだそうだ!それにルクセリアの師団長の様な人が何故こんな所にいるんだ!他の兵士たちはどこにいるんだ!?」

「我々はアズールポートで休暇を過ごすために来ただけだ!他に兵士は居ない!」

「……それが本当だとしても我々に危険が及ぶかもしれないのに魔物を助けたのは事実だ。……他に問題を起こす前にこの街を出て行ってくれないか?」

「分かった。我々は今日中には町を出る。それでいいか?」

「いいだろう。だが、なるべく早く出て行ってくれ」

「すまない。迷惑をかけた」


 カレンは町の人達に一礼する。


「ノクス、マーシャ。一度宿に戻ろう」


 カレンに連れられ、僕とマーシャは宿へと戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ