ルクセリア城
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セシリアという女性を見送ってから数刻。
遠くの方に城の尖塔らしきものが見えて来た。
多分あれがルクセリア城だろう。
ここからでもわかる。
そのくらいとにかく大きいのだ。
どんな城なんだろうと、僕は飛行するスピードを上げた。
城の近くまで近づくと城門の前に長い列が出来ている。
高さは数十mはあろうという大門。
そこに並んでいるのは旅人から商人など様々である。
入場する為に皆、チェックを受けている。
僕も入場する為に行列に加わる。
ルクセリア城について、聞いた話では結構由緒正しい歴史あるお城らしく、その為警備もかなり厳重なんだとか。
この周辺の土地を実質的に統治しているのはルクセリアらしく、僕が滞在していたエルムウッドもそれに含まれるらしい。
そう言う事もあってルクセリアは交易の拠点にもなっており、周辺の町村から商売に来る人が多く、実際に入場する為に並んでいるのは半分以上は商人らしき人たちだ。
「では、次の者。前へ」
しばらく並んでいるとようやく自分の順番が回ってきた。
「ふむ。君はだいぶ若いが歳はいくつだ?」
「かなり若く見られますがこれでも18歳です」
「18歳か。ドワーフ…には見えないな。種族は人間か?魔族の類ではあるまいな?」
「違います。生まれつき正真正銘の人間です」
「荷物もほとんどなしか。本当にこんな軽装で旅を?」
「はい。冒険者ギルドに登録しているのでそれで日銭を稼いでいます」
「そうか。まぁ嘘を付いている様には見えないし…いいだろう。入場を許可する」
「ありがとうございます」
そう言うと早速僕はいそいそと中へ入って行った。
門を抜けると多くの人で賑わう城下町が広がっていた。
新鮮な野菜や果物を扱う八百屋。
食べ歩きできそうな食べ物を売っている屋台。
カフェやレストランの様な飲食店。
おしゃれな洋服や反物を売っているブティック。
エルムウッドとは似ても似つかない一大都市のようなところだ。
街道を歩いているだけでも楽しくなってくる。
門から真っすぐ歩いてくると噴水がある中央広場の様な場所に出た。
ここにも屋台などの出店が出ている。
まるで祭りでも行われている様な賑わいだ。
噴水広場から北。
広場の大階段を登った先には荘厳な城が聳え立っていた。
近くに寄れば寄る程、その巨大さに圧倒される。
見上げていると首が痛くなるくらいだ。
城の前には屈強そうな門番が2人立っている。
その雰囲気から周囲にはあまり近づくものも居ない。
と、田舎者っぽさ丸出しでお城を眺めていると、城の中から1人の兵士がつかつかと歩いてきたのが見えた。
「「お疲れ様です!カレン師団長!」」
門番2人の門番はその兵士に対して敬礼をする。
よくみるとその兵士はまだ若い女性だった。
肩までかかる程度の赤い髪が良く目立つ。
けど、師団長って言われてたな。
って事はこの人よほど有能な人なんだろうか?
「うむ。お勤め御苦労。異常はないか?」
「はっ!本日も異状なく平和そのものでございます」
「そうか。引き続き業務に当たるがいい」
「はっ!」
カレンと呼ばれていた女性師団長は城下町の様子を見渡す。
と、不意に自分と目が合った
「ん?君は…」
「ど、どうも…」
「こんな所に1人で何をしている?親は?迷子か?」
恐らくこの人は心配してくれているのだろう。
まぁ仕方ない。
10歳くらいの少年が人の少ない城の前で1人でいたのだから。
「迷子ではないです。親も居ません。僕は1人で旅をしていて、大きいお城だなと思って近くで見ていただけです」
「一人旅?君がか?ここへ来る前はどこから来たんだ?」
と、驚いた様子で話すカレン師団長。
「エルムウッドという町から来ました」
「エルムウッド…そんなに遠い町ではないが。護衛も付けずにか?」
「はい。これでも魔法や戦闘に関しては少しは身に覚えがあるので」
「ふむ。どうにも君は不思議な感じのする子供だな。ルクセリアにはしばらく滞在するのか?」
「はい。そのつもりです」
「その間の生活費はどうするつもりだ?手持ちはあるのか?」
「一応、冒険者ギルドに登録しているのでそれで日銭を稼ごうかな、と」
「その歳で冒険者ギルドに…。この街の冒険者ギルドの場所は知っているのか?」
「いえ、今しがたここに来たばかりなのでまだ…」
「そうか。ならばせっかくだ。冒険者ギルドまで案内しよう」
「え、でもそんなお手間を…」
柔らかい笑顔で話すカレン。
「気にするな。ちょうど暇していたところだ。それにこの町の治安維持も私の仕事の内だ」
「そうですか。ではお言葉に甘えさせて頂きます。ありがとうございます」
「ふふふ。礼儀正しい子だな、君は。さ、冒険者ギルドはこっちだ。付いて来給え」
そういうと、カレンは冒険者ギルドまで彼女自ら案内してくれた。
というか彼女『師団長』って言われてなかったっけ?
そんな偉い人に道案内してもらえるなんて、何か有難いというより、申し訳ないな。
「さ、着いたぞ。ここがこの街の冒険者ギルドだ」
そういうと、僕は彼女と一緒にギルドの中へ入った。




