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輪廻伝記〜この世界を生きている〜  作者: 今日 虚無
聖人の国フレイア編

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91 暇な時間、世界は動いている

「で、では講義開始は通常通り一週間後、今日から五日後にしましょう」


「わかった!!」


「そ、それでアグさんはなんで部長に会おうとしてるのですか?」


「うーん、それはねー」


どうしよかな? 言うべきかな?

言ったほうがいいか!! じゃないと方法を考えるにもドゥルールの思考の邪魔になりそうだし。

それにドゥルールは他の人に言ったりはしなそう。

ドゥルールが独立派だったら終わりだけど。



「ご、ご、五天様からの依頼ですか!?」


「そう!! 独立派の裏になにかがいる、多分魔人族だから調べろってね!!」


「そ、そうですか、独立派に魔人族ですか。ざ、残念ながら私が部長に会わせることはできませんが、方法は一緒に考えさせてもらいます」


「なら、これからよろしくねドゥルール」


「よ、よろしくお願いしますアグさん」


「講義は基礎の基礎から教えてね!! 難しいとわかんないから!!」


「は、はい!!」


というわけで、ドゥルールに魔族・魔人研究部の部長に会わせてもらうことは失敗したが、ドゥルール直々に講義をつけてもらうのと、会う方法を一緒に考えてもらうことに結果はおさまった。

それで、ドゥルールは講義開始を通常通り入学から一週間後にしてくれた。

してくれたのは良いけど、それまで暇だよー!!

ウチはベッドで悶えながら時間を過ごしていた。

すると、荷物の中の紙が光る。


「ん? ラルク(繋ぐ手)が、シェニーかな?」




――一方魔族・魔人研究本部――


私はザグラン・ゲッハ、聖人族で魔族・魔人研究に所属する教授だ。

特定の人物にハッゲと言われるが、スキンヘッドなので禿げてはない。

そんなことは置いておいて。

今日はいつも本を読んでいるか、寝ているかのドゥルールが、珍しくなんらかの資料を準備していた。


「なにしてるんだドゥルール? また新入部員でも来たのか?」


「ち、違いますハッゲさん」


「ゲッハだ!! 禿げてない、スキンヘッドだ!!」


「違いますゲッハさん。こ、講義の準備です」


「講義? ドゥルール講義をするのか?」


「は、はい、講義と言えるものでもないですが、アグさんと昨日約束しまして……。あ、あと四日で準備しないとなんです」


そんな忙しく準備するドゥルールの顔は笑っていた。

思い返せば、ドゥルールがこんなにも楽しいそうにしている姿を見るのは久々な気がする。


「手伝おうか?」


「ほ、本当ですか? 助かります」




――時を同じくアイワン(ラングの城)の中――


「あの四人大丈夫でしょうか?」


ソルミ(補佐官)が机で公務をするティエト(聖人族の五天)に話しかける。


「大丈夫って?」


「黒幕探しは順調なのかと思いまして」


「ソルミ、まだヴィスカに入学して三日だよ? 順調なんて言える時間経ってないでしょ」


「失礼しました。そういえばあの四人に独立派のリーダーについては教えたのですか?」


「私の知らないことは教えられないよ」


「ですが陛下、おおよそ予想はついていますよね」


「もちろんついてるよ。ヴィスカを代表する部の部長の誰かだろうね。そんなことは三日もヴィスカにいればわかる」


「失礼ですが陛下。独立派のリーダーがある程度絞れているにもかかわらず、なぜ捕まえに行かないのですか? 独立派がいくら勢力を増やしているとはいえ、フレイア騎士団をもってすれば強行してでも捕まえに行けます」


「そんなことしても独立派は何も変わらないよ。黒幕をなんとかしないと、それこそ独立派に火をつけて反乱の原因になってしまうかもしれない。それに、今まで独立派のリーダーは謎だったんだよソルミ? それがバレたって良いっていう勢いで今動いてる」


「それほどのリスクを犯すほどに黒幕の存在が大きいということでしょうか?」


「そういうことだし、今をそいつは最大のチャンスだと思ってる。それでリーブル(世界を跨ぐ)の探索はどうなってる?」


「はい、秘密裏なのであまり進んでいませんが、ラングは一般居住区だけ調べ終えました。しかし、市民については完全に調べられていません。ですが、スルトのような関連性のある疑わしい事件は確認されていませんので大丈夫かと」


「ありがとう。市民の方は不可能だから良い、事件がない確認だけで十分。引き続きフレイア全都市の調査を進めて」


「承知いたしました」


「こっちはもうヴィスカで何かが起こるまで待つしかない……けど、騎士団が火をつけるとこっちが焼かれる。四人とも頑張って火をつけてね。後はなんとかするから」




――場面はベッドでゴロゴロしていたアグに戻る――


連絡が来たラルク(繋ぐ手)はシェニーのではなかった。

このラルクは――ベラ?


「はいはーい、こちらアグ・ウーピット」

「久しぶりね、アグ」

「やっぱりベラだったんだ!! 久しぶり!!」

「相変わらず元気ね」

「そうかな? ベラはどう?」

「私も元気よ。アグは今なにをしているの? ギムレ(討伐者の集)の依頼ちゃんと受けてるの?」

「今はねー。依頼を受けてヴィスカ(国立国際大学)で学生してるよ!!」

「ヴィスカで学生をしてる? どんな依頼を受けたらそんなことになるのよ。まあ、アグらしいといえばらしいわね」

「それで、なんで連絡してきたの?」

「五大守護者のよしみとして一つ忠告をしにきたの」

「忠告?」

「最近アングルボザ(竜人の国)の情勢が良くなくてね。五天を王の座から降そうとする運動が起きてるのよ。そして次期王としてあげられてるのが、ギムレ(討伐者の集)で成功した会長、なにかきな臭いのよね。だからこっちに来る時は気をつけなさい。アグはいつも何かしらの事件に巻き込まれてるんだから」

「そんな不吉なこと言うのやめてよー」

「そうね。でも、本当に気をつけなさいよ。私と会った時なんていろんなことに巻き込まれて酷かったんだから……。言いたかったのはこれだけよ。元気で――切るわね」


ベラはそう言うと連絡を切った。


「ただ不吉なこと言われただけなんだけどー。でも、久々にベラの声が聞けてよかったー。でも、暇!!!!」

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