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輪廻伝記〜この世界を生きている〜  作者: 今日 虚無
聖人の国フレイア編

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93/102

90 規則を守っている人が事故る時は、事故られている

話しかけてきた女はフラフラしながら他の席から椅子を持ってき、勝手にエリアたちの席に相席する。


「……」


「あのーどちら様でしょうか?」


コラスが勝手に相席してきた女に尋ねる。


「オマエたちあの遺跡に行くのか?」


女は酒を飲みながらコラスの質問を無視して質問をする。

様子からだいぶ酔っぱらっているように見える。

「姉ちゃんまだ飲み比べは終わってね〜ぞ」と隣の席で女と一緒に飲んでいた集団の一人がフラフラになりながら女に話しかける。


「もう終わりだ!! 我はそこまで酔ってないぞ!! 我の勝ちだ、勝負はまた今度だ、どっか行け!!」


(いや、あなたこそどこかに行ってもらいたい)


エリアたち三人は全会一致でそう思った。


「で、オマエたちあの遺跡に行くのか?」


「まずはおまえの名前を教えろ、誰なんだ?」


「うるさいな!! 我の名前はさっき言っただろ!!」


「言ってねぇよ!!」


とネスが言うと、コラスがなだめるように女の話を聞こうとする。


「まあまあ、あなたの言う通り僕たちは明日餓窮の都(ガキュウノト)に行きますよ」


「なら我から頼みたいことがあるんだ」


「頼みたい事ですか?」


「そう……頼…………み……たい……こと」


「こいつ嘘だろ? 俺の姉ちゃんよりヤバイぞ……」

「起きてくださーい!! おーい!!」


女は頼み事を言おうとしながら、机に顔を叩きつけ、気絶するように眠った。

シェニーは慌てて女の体を揺すって起こそうと試みるが、爆睡だ、起きるはずもなかった。


「どうしますこの人?」


「とりあえず、頼んだ料理を食べ終わるまで待ちますか……」


「幸先が悪すぎません? コラスさん」

「悪すぎますね、クルックくん……」


その後すぐに注文した料理が届き、五人は爆睡する女を(早く起きないかな?)と横目に期待しながらご飯を食べた。

とても残念なことに気絶したように眠った女は五人がご飯を食べ終わった後に起きることはなかった。

隣で女と飲んでいた集団に女の家の位置を聞いてみれど、どうやら全員どこに住んでいるか知らないらしい。

というわけで、五人はただオススメされた店にご飯を食べに行っただけなのに、お金を払って満腹感と酔い潰れ眠った女を得ることになった。

幸い女の支払いは隣の集団が払ってくれた。

宿に戻るとエリア、ネス、コラスで一部屋、シェニー、クルック、酔い潰れた女で一部屋で一晩を過ごした。



――夜が明け、次の日の昼前――


五人は朝早くに宿を出る予定だったがあまりにも女がぐっすり寝て起きないので予定を泣く泣く伸ばしていた。

昼前になりようやく眠い目を擦りながら女は体を伸ばし目を覚ます。


「はぁ〜、…………ここは?」


キョロキョロと周りを見てどこかわからない様子だ。


「あ、起きた、みんな起きましたよー!!」


エリアが女が起きたことを確認すると同じ部屋で遺跡に出かける準備を済ませ雑談をしていた四人を呼ぶ。 


「起きましたか」

「寝すぎだろ」

「で、ですねシェニー、私が今日持ってきたこの弓は……」

「チェッルあの人起きたから、その話は後……!!」

(コラスさんもチェッルも似たもの同士だ)


「なんだオマエら?」


「こいつ起きて一言目がこれかよ」

「酔っ払いすぎて昨日の記憶がないんじゃない?」


「酔いすぎた? この我が? そんなわけないだろ?」


女はネスとシェニーの言葉を嘲笑うような表情をして言う。

五人はその言葉に(こいつ酔っ払ってなくてこれか――)と心の中で言っているような顔をする。


(まさか我……宿で寝ている間に拐われたのか? この我が――それほどの実力者たちなのか!?)


「な、何が目的だ? 我はなにも知らぬし、なにも持ってないぞ、――体、我の体目的か!?」


「違います!!」

「コラスさんこれ新たな詐欺ですよ」


と焦りながら猛烈に反対するコラスにクルックはドン引きしながらコラスに耳打ちする。


「昨日、僕たちが餓窮の都に行く話をしていたら、あなたから僕たちに話しかけてきたのです」


「そんなの我の記憶にないぞ、――一体何が起きているんだ?」


「それはこっちのセリフだ!!」


「記憶がないなら昨日のお店に行って店主の人に聞きません?」

「そうね、それが手っ取り早い」

「ちょうどお昼ですしね、では行きましょうか」


コラスがそう言うと五人はとっくのとうに準備していた荷物を持って女と一緒に宿を出る。

そして昨日の夜食べていた店に行き店主の話を聞くと、店主は昨日起こっていた事をまんま伝えてくれた。


「まさかこの我が……酔っていた?」


女も流石に店主に言われたら信じたようだった。

そのまま六人は席に座り料理を注文する。


「この我が酔うという未曾有のことで我自身も驚きだが、オマエらには悪いことをした、謝ろう」


「いえいえ」


優しいコラスも苦笑いしながら答える。


「まずは我の名前からか、我の名前はディスネだ」


「よろしくお願いしますディスネさん。僕はタイン・コラス、ヴィスカで探検部という部の部長をしてます」


「私はチェッル・クルックです、よろしくお願いします」


「僕はエリア・ブラグルです、よろしくお願いします」


「私はシェニー・タンタス、よろしくね」


「俺はネス・ウーピットだ」


「それで? 我は遺跡に行くなら頼みたいことがある、みたいなことを言っていたのか?」


「そ、そうです!! 思い出しましたか?」


「思い出せはしないが、頼もうとしていたことはわかる。我がオマエらに頼もうとしたことは――」

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