84 入部届
下水路に直で繋がる探検部が経営しているカフェに上がるとエリアたち四人は席につきクルックは朝食を料理しはじめる。
「コラスさんは?」
席に着くとシェニーは同室だったエリアとネスに尋ねる。
「なんか石いじってたけどこねぇのかな?」
「昼夜逆転してるからこれから寝るって言ってたよ」
「そうなんだ、あと昨日の夜私とチェッルとアグで話し合って決めたんだけどアグを魔族・魔人研究部に入部してもらおうと思うの、どう?」
「姉ちゃんが良いなら俺は良いけど、エリアはどうだ?」
「僕もアグさんが良いなら良いです、それに依頼内容的にはそっちの方がよさそうですし、アグさん寮代のお金は大丈夫なんですか?」
「大丈夫!! ウチ金ならいっぱいあるし!!」
「なんか嫌な言い方だな……」
そんな話をしているとクルックがカウンターから作った料理を持って来る。
「はいどうぞ」
「ありがとうございます」
五人は朝食を食べ終わると店の外に出る。
「それじゃウチは今から魔族・魔人族研究部の本部に行って来る、で本部はどこ?」
「魔族・魔人研究部の本部は壁沿いのラングの一般居住区とを隔てる城壁から見て一番奥の建物、こっちに歩いて行けば大通りに出てすぐにでかい建物が見えてくるから、なんならもう見えてるし迷うことはないと思う」
「本当か? ソルミは迷ったら遭難するって言ってたけど」
「ネスお姉ちゃんを馬鹿にしてる? いくらヴィスカだからって見えてる建物に向かうぐらいで迷わないよ!! 統合部に向かう時よりも断然近そうだし」
「でもくれぐれも脇道には入らないでね!! ここを大通りに出るまでまっすぐだよ!! それで大通りに出たら大通りを使って魔族・魔人研究部の本部に行くんだよ!!」
「そんな心配しないでも大丈夫だよ!!」
「ほんとかよ姉ちゃん、やっぱりシェニーと一緒に……おい!!」
ネスはアグを心配して魔族・魔人研究部の本部まで一緒に行こうと提案しようとするとアグは走り出す。
「ちょアグ!! これ!!」
シェニーは大声でアグを呼ぶとクシャッと丸めた紙をアグに投げる。
アグはそれに気がつくと少し戻って紙を受け取る。
「それ私に繋がるラルクの魔法陣だから困ったり何かあったら、何もなくても連絡して!!」
「わかった、ありがとね!!」
アグは大きな声でそう言うと走り去って行った。
「行っちゃいましたね……」
「人の話を聞かないところが姉ちゃんだからな……」
「アグさん大丈夫かな?」
「ラルクの紙も渡したし何かあったら私に連絡がくるだろうからとりあえずは」
四人はアグが走り去っていく姿を見ながら一言ずつ呟く。
「私たちも統合部に入部届を出しに行きますか」
クルックが空気を変える一言を言う。
「僕たち入部届といってもそんな紙ないですけど……」
「エリア統合部でバッジをもらったでしょ、これが入部届みたいなものよ」
「動物の絵を刻むってこと?」
「そうですそれが入部届であり入部の証です」
「探検部の動物はなんなんだ?」
「これです」
クルックはそう言いながら首元につけているバッジを外して手のひらにのせて三人に見せる。
「イタチですよね?」
「エリアさんよくわかりましたね、正解です」
「なんでイタチなんだ?」
「それは……コラスさんに聞いてください、とりあえずバッジに絵を刻むには統合部に行かないとなので行きましょう」
クルックはそう言うとエリアたち三人を引き連れて統合部に連れていく。
エリアたちは複雑に入り組んだ街を抜け大通りに出てしばらく歩くと昨日も行った統合部に着く。
「おはようございます」
クルックは統合部の中に入ると受付のような場所に座る聖人族の女に話しかける。
昨日と同じ人だ。
「はいはい、あ……あなたたちですか、入部届ですね」
「そうです」
エリアはそう一言返事をすると三人は何も書かれていないバッジを受付の女に渡す。
「受け取りました、そこの人、あなたもバッジを出してください」
「あ、私もですか?」
「見本もなくどうやって同じ絵をバッジに刻むのですか!!」
「ごめんなさい!!」
クルックは急いで首元のバッジを外し受付の女に渡す。
(ん? なにこのバッジの絵……どこの部だろう、調べなきゃ……)
「少し待っていてくださいね」
受付の女はクルックのつけてたバッジの絵を見るや否や少し首を傾げるがそそくさと計四つのバッジを奥に持っていく。
バッジを持たずすぐに戻ってきて受付のような場所で女は仕事をしするがしばらくするとまた奥に戻って行く。
そして女は手元に四つのバッジを持って今度は戻って来るとエリアたちを受付のような場所に再度呼ぶ。
「バッジに絵を刻みましたのでお渡しします、これであなたたちは……正式に探検部に入部したことが認められました」
受付の女はエリアたちが何部に入ったのか忘れていたのか名前を言う時に少し言葉を詰まらせた。
それほどまでに普通はヴィスカを代表する部にみんな入るのだろう。
「ありがとうございます」
三人はそう言うとバッジを受け取る。
確かに三人のバッジにはクルックの付けていたバッジのイタチの絵がまるで複製したかのような精巧さで描かれていた。
「昨日も言いましたが講義を受けられるようになるのは今日から六日後なので気をつけてください、そういえば一人いませんね」
受付の女はエリアたちに注意喚起するとアグがいないことを気にかける。
「あ〜、後で来ると思いますのでその時はよろしくお願いします」
「そうですかわかりました、ではヴィスカの生活を謳歌してください」
受付の女はそう言うと四人を見送る。
四人は統合部の外に出ると人が行き交う大通りを見ながらこれからの予定を話す。
「これからどうします? まだ朝ですけど、時間はたっぷりありますしヴィスカを案内しましょうか? 六日後には迷わないようにならないと大変ですし」
「そうね、私も昔のヴィスカしか知らないし案内してもらおうかな」
「よろしくお願いしますクルックさん」
「任せてください、まずはアグさんが入部した魔族・魔人研究部にいきますか」




