83 探検部3
エリアたちは探検部の寮を紹介された後エリアとネスはコラスと一緒に探検部の研究室で、シェニーとアグはクルックの部屋で一晩を過ごした。
「これはですね、私が探検部に入って初めて見つけたものでして、もとは獣人族が住んでいたであろう集落の遺跡にあったんです。見つけた時の状況はですね、白い花畑の中に青い花を見つけた時不思議に思ったところから始まりました」
クルックの部屋では今シェニーとアグへの今まで拾ったものの説明が始まっていた。
クルックがシェニーとアグに今見せているのは水も何も入ってない瓶に入れられた青い花だ。
シェニーはクルックの用意してくれた布団の上で座って話を聞いている。
アグも同じく用意された布団の上で座って壁にデカデカと飾られた弓を見ている。
「うん……」
(アグはずっとあの弓見てる、聞いてるのかな?)
「不思議に思った理由はですね、この青い花は白い花に淘汰されて場所を移動していたんですよ。それなのに敵対関係にある白い花の中に一つだけある。これが引っかかったんです。ここで私は考えました、この青い花は一際屈強な個体なのではないかと――ですが、たまたま咲いていた可能性は少なからずまだあります。なので私は数日そこにとどまり実験したんです。この青い花は特別なのか?」
「うん……」
(アグ!! あの弓の話の時はすごく楽しそうに聞いてたじゃん!! 助けてよ!!)
「私は青い花を中心に日が絶対に当たらないように影を作り白い花と比べました。なんとですね白い花はすぐに枯れたのですが青い花は枯れなかったのです。でもこう思いますよね、青い花が強い種類だったというだけと。そこで別の場所に群生している同じ青い花で調べましたが枯れたのです。でもこれだけじゃ足りません、なので私はこの青い花を持ち帰りどこにも植えず水もやらず放置して一ヶ月待ってみました」
「それ……で?」
「それで今目の前にある通り枯れなかったのです、私はこの花を有無の花と名付けました」
「不死の花とかにはしなかったんだ」
(アグここは食いつくんだ……)
「それはですね、この花が存在しているのか疑わしいからです」
「どういうこと?」
「私はこの花の花びらを試しに全部ちぎってみたんです、不死なら無尽蔵に花びらが生み出せるかなと思いまして、しかし違ったんです、花びらはちぎった途端まるでちぎった事実が最初からなかったようにちぎった花びらは消え花は元の状態に戻るんです」
「へー」
アグはその話を聞くと有無の花まで手を伸ばし花びらをひきちぎる。
花びらは引きちぎられた瞬間から消え花びらはひきちぎられる前に戻っている。
「本当だ……不思議だね!!」
そう言ってアグはクルックの顔を見るや否や片手で有無の花びらを引きちぎり続ける。
「ちょ、ちょ、ちょっと!!」
たまらずシェニーが止めに入る。
「大丈夫ですよシェニーさん、これは有無の花ですから!!」
クルックは笑顔で焦るシェニーの顔を見ながら言う。
「そうじゃなくて、花が可哀想じゃ……」
「そ……そうですね!!」
シェニーのその一言に何か焦った様子を見せるクルック。
「アグもやめて」
「ストレス解消にいいよ」
「ほら!!」
シェニーは無理やりアグの手を引っ張り有無の花から遠ざける。
「えーと……まだ紹介したいものがあるんです、こっちはですね」
クルックは気まずかったのか別のものを紹介しようとする。
「クルックさんアグはわからないけど私はまだ当分いるからまた今度でいいですか?」
「そ、そうですね……」
「あと私のことはシェニーって呼んで欲しいな」
「シェニーですか、なら私のことはチェッルと呼んでください」
「ウチはアグでいいよって言いたいけど、やっぱりウチは明日別の部に入る」
「そ、そうですか」
「止めたいけど確かに効率はいいかもね、それにアグはお金持ってそうだし」
「シェニー、ヴィスカを代表する部ってどこだっけ?」
「魔法研究部、魔術研究部、魔族・魔人研究部、歴史研究部、法器研究部の五つね」
「うーん、魔法も気になるし、法器も気になるけど……ギムレの五大守護者だし魔族・魔人研究部にしようかな」
「それじゃ明日の朝統合部に行く前に一旦お別れだね」
「そうだね」
「チェッルもいいよね? アグが他の部に行くのは」
「ここで良いと言ってしまうと何か勘違いされそうですけど……シェニーたちの依頼達成のためなら……致し方ない……です」
――次の日――
「おはようございますコラスさん」
「はい、おはようございます」
エリアは眠い目をこすりながら何かをいじるコラスに挨拶をする。
「コラスさん昨日から寝てないのですか?」
「僕は昼夜逆転してるので大体もう少ししたら寝て店を開ける前に起きますね、どうぞ気にせずに、昨日はよく寝れましたか?」
「よく寝れました、良かったんですかベットで寝させてもらって」
「僕はいつも毛布にくるまって地面で寝るからね、気にしないで」
(すごい不健康な人だ……)
「それなんですか?」
エリアはコラスが集中していじるものを覗き込んで聞いてみる。
「これは生石です。遺跡を探検するときに使うやつですね。魔法が刻まれている生石を買うお金ももったいなくてね、自分で魔法を刻めるから原材料を買って刻んでいるんです」
「そこまでお金がないんですか……」
「残念だけどない、ね……」
「でも大丈夫なんですか? 勝手に魔法を刻んで法律的に」
「特別な魔法は国からの特別な許可がいるけど無害な魔法は申請して後から個数の確認さえきっちりすれば大丈夫ですよ」
「そうなんですか、邪魔してすいませんでしたネスを起こしてきます」
「気にしないで大丈夫ですよ」
そう言いながら生石と向き合うコラスを後ろにエリアはネスを起こしに行く。
ネスを起こして下水路に出ると同じタイミングで別の扉からシェニー、アグ、クルックの三人が出てくる。
「外に出たら臭いね……」
「慣れますよシェニー、それに目が覚めるという良いこともあります」
「おはようネス、エリア!!」
「おはよう姉ちゃん」
「アグさんおはようございます」
「それではみなさんまずは上の店で朝食にしますか」
クルックはそう言うと梯子を登って店に上がる。




