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輪廻伝記〜この世界を生きている〜  作者: 今日 虚無
聖人の国フレイア編

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78 迷ったらもう動かない方がいいけど動いちゃうよね

ソルミに連れられ四人がやってきたのは人が行き交うヴィスカとラングを隔てる城壁の門の前にきた。

行き交う人はすごく多いというほどではない。


「私ともここで一旦お別れです、この道をまっすぐ行くとヴィスカの統合部に着きます、着いたらティエト様から配られた入学証明書を提示してください、あとはそちらで対応してくださると思います」


「わかりました」


とエリアがこたえる。


「くれぐれも寄り道なんてことを考えないでください、絶対に迷うと言うか遭難しますから、そこらへんはシェニーさんがよく存じているでしょうから」


「そうですね」


とシェニーが返事をする。


「ではみなさん頑張ってください」


そう一言言い頭を下げるとソルミはアイワンの方へ戻って行った。


「それじゃ絶対に私から離れないでね、特にアグさん」


「ウ、ウチ!?」


「行くよ!!」


シェニーがそう言うと三人を先導して歩き始め、ラングを二つに分かつ城壁の門をくぐるとラングの一般居住区とは別世界が広がっていた。

今歩いてる道は商人や学生、ものみ見たさに来た観光客用に使われてる大通りだが、その他の道は綺麗に区画されているわけでもなく入り組んでいて、建物は建物同士がくっついていたりとぐちゃぐちゃしている。

そしてシェニーの言った通り色々な種族の人が建てたと言っていたのでラングの居住区よりもところどころにフレイア以外の文化が感じられた。

初めて行く街なら迷子になるのはあるあるだけど、たしかにソルミさんが迷子じゃなくて遭難するって言っていたのも納得だ、この街の構造……決して綺麗とは言えないけど凄い……。



――――


「にしてもほんとにぐちゃぐちゃしてんなー」


とネスが周りの街並みを見ながら呟く。


「言った通りでしょ、いろんな人が建物を建てってたからこうなっちゃったの、ちなみにこの道はヴィスカができた当時からある道よ」


「シェニー、シェニー、ヴィスカにクレープはないの?」


「どうでしょうか、あるとは思いますけど」


「だからどんだけクレープにハマってんだよ、あとなんでシェニーは姉ちゃんに敬語なんだよ」


「いやタイミングが無かったのもアレだけど、五大守護者なんて討伐者の最上位の人だと知ってから尚更……」


「え、なにそんなことで? ウチのことはアグでもアでもグでもなんでもいいからね!」


「いやそれはよくねぇだろ」


「ならアグで、よろしくアグ」


「よろしくシェニー! それでさ言い忘れてたんだけど……」


とアグはシェニーと握手をすると周りを見渡す。


「エリアは?」


その言葉にネスとシェニーも周りを見る。


「エリアは!?」


「いつから!? 姉ちゃん気づいてたならなんで早く言ってくれねぇんだ!!」


「ウチもさっき気がついたし」


「は、は、は、早く探しにいくよ!!」


「大丈夫、大丈夫、案外近くにいるよ」


「アグ走って!! エリアが路地なんかに入ってたら今日は入学どころの話じゃないんだから!!」


「エリアならこの大通りから外れることなんてないでしょ」


「姉ちゃん!!」


とネスがアグの手を掴み来た道を急いで引き返すシェニーについて行く。





「おいそこのお兄さん、道ん真ん中に止まらんでくれ、荷車が通らねえ」


とちょうど大通りに道が交わったところで横から来たエンブスに乗って荷車を引いている商人に話しかけられる。


「あ、すいません」


エリアはそう言うと路地によってエンブスが通り過ぎていくのを、人々が忙しなく移動するのを見守る。


行き交う人々を注意深く見ると首元にバッチをつけている人が大半を占めている。

あのバッチをつけているのがおそらくヴィスカの人なのだろうか。


(あれ? そういえば……)


と思い僕は周りを見回す。


「みんなはどこ?」


とあれだけ迷ったことを考えていた僕は一瞬焦るが大通りから外れたわけではない。

このまま真っすぐ歩けばとりあえず目的地には着くだろう。

と僕は大通りの隅の寄りながら歩き出そうとした瞬間肩をたたかれ声を掛けられる。


「だ、大丈夫ですか?」


振り返ると少し僕より身長が低く少し緑がかった髪で尖った耳、後ろで二つくくりにして大きなリュックを背負った女の人がいた。

首元にはイタチの絵が描かれたバッチをつけている。

どうやら聖人族でヴィスカの人のようだ。


「あ、はい」


と咄嗟に返事をする。


「道に迷っているようだったので話しかけさせてもらいました、見た感じバッチがないのでヴィスカの人じゃないですよね、ふむふむ、結構冒険心がある人なのでしょうか……ヴィスカに案内人なしで入るとは」


と話しかけてくれた女の人は僕をじろじろ見ながらそう言う。


「あの~なんでそんな見るんですか?」


「あ、ごめんなさい!! つい癖で……迷子じゃなかったですか?」


「ありがとうございます気遣ってくださり、ちょっと迷いましたけどこのままこの道を真っすぐ行けば大丈夫そうなので」


「そうですか? 私も暇なので連れて行ってあげましょうか?」


そんな大きな荷物を持って暇ってことはないだろう……。


「だ、大丈夫です!!」


「いた!!」


とその時大通りの方から聞きなじみのある声がする。


「お仲間さんですか?」


「そうです、声をかけてくださりありがとうございました」


「いやいや合流できたならよかった、それでは私はここらへんで」


そう言うと話しかけてくれた女の人は大通りを外れ路地に入っていった。




「よかった~、はぐれた場所が案外近くて……」


と合流したシェニーは膝に手を置いて安堵の声で言う。


「ごめん、いろんなところに目がいっちゃって気がついたら、本当にごめんなさい」


と三人に謝るエリア。


「ほらウチの言った通り近くにいたでしょシェニー、だからそんな焦らなくていいって」


と道中なにを話してたかわからないが若干自慢するアグ。


「姉ちゃんのくだらない感が当たっただけだ、どうすんだよ案外遠くに行ってたら」


「ないないウチの感はよく当たるんだから」


「とりあえずもう絶対に離れないでね」


「はい……」


「そういえばさっきの話してた子は誰だったの?」


とシェニーは話しかけてくれた女の人が言った先を見つめながら言う。


「わかんないけど迷ってると思って話しかけてくれたみたい、バッジをつけてたからヴィスカの人なのかな?」


「ふーん、てかよく気づいたねバッジのこと、後でいいやと思って言ってなかったけど、エリアの言う通りバッジをつけてる人がヴィスカの関係者よ」


「よく見りゃいろんな動物が描かれてんな」


「あっちはクマで、あっちは鷲、あっちは兎」


と手当たり次第バッジに書かれている動物を言うアグ。


「部の数だけあるから覚えてたらキリないよ、また後で話すわ、はい行くよー」


そう言うとシェニーは再び四人を先導して統合部を目指して歩き出す。

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