7 初依頼 異様な魔族
この世界は五つの知性ある種族、人族、聖人族、獣人族、巨人族、竜人族、がそれぞれの国を造り世界を統べている。そして魔人族が世界の敵として存在している世界。そんな世界で生きる一人の人間の物語。
三人が眠り朝が来た。
村長が持ってきてくれた朝ご飯を食べ、武器の確認をして、家を出る。
「では気を付けていってください」
と村長が言う。
その後ろでは何人かの村人が見送りに来ていた。
「はい、行ってきます」
と三人は森の中へ入っていく。
村長の言葉通り森の中は生き物の気配もなく、ただただ草が生い茂っているだけの森で山に囲まれているが故に日の光があまり入らずあたりは薄暗かった。
「村長の言ってた通り本当に魔族が生命力を吸い取れそうな生物がいませn、いないね」
「本当にいない、本当に動物がいない森なんてあるんだね、不気味」
「植物が元気に育ちすぎて邪魔すぎる、本当にあの村の奴らこんな山に入って山菜を取ってたのか?これじゃ魔族が近づいてきてもわかんねーぞ」
三人は草をかき分けながら村人が使っていたであろう道を進む。
「これ迷ったりしねーよな?」
「行く前にも言ったでしょ大丈夫だって、この道っぽいのを進んでるんだし、村にマーキングを置いてきたからこの紙に魔力を流したら村の方向がわかるよ、ほら」
そう言いながらシェニーは魔方陣の書かれた紙をだしその紙に魔力を流す。
すると村の方向へと青く光る魔力の線が伸びていく。
「本当だ」
「まあ、魔法の使えないネスにはわからないでしょうね」
その言葉を聞きネスは腰に掛けていた剣を抜こうとする。
そのネスを必死にエリアはなだめる。
だが不思議なことに気がつく。
村長の言ってた通りならもうそろそろ魔族に遭遇してもいい頃合いなのだ。
「そういえばまだ魔族に出会いま、出会わないね」
「何か嫌な予感がする」
「やめろ、そんなこと言ってると…」
そのとき異様に開けた場所に出る。
さっきまで草木で生い茂っていたのに誰かに更地にされたような場所へと。
草木は地面から少しのところで全て綺麗に切られている。それが何かを中心に円状に広がっているのだ。
「なによここ」
「まるで誰かが更地にしたみたいな場所」
「これはなんかやばい気がするぞ、ん?あれは...なんだ?」
ネスは更地になっていない森のほうに何か見つける。
それは人が作ったというには大きく、巨大な何かが通ってできた道という方が納得できる。
「おいあの道、村人が作った道じゃなさそうだよな」
「本当だ、どうしますか?行きますか?」
「ちょっと待って」
シェニーは地面に魔力で魔方陣を描き始める。
「『パ―セムセロ」』」
『パーセムセロ』は周辺の魔力を持っているものを感じ取れる魔法だ。
感じ取れるものは魔力を持っているものとの距離、魔力量だ。
シェニーが唱えると魔力が魔方陣を描き青く光りだす。
しかしすぐに魔方陣が消える。
シェニーは焦っている顔をする。
「逃げるよ、すごい魔力量の何かがこっちに来てる、もう見えるよ」
エリアとネスには何が何かさっぱりわからないが、シェニーの表情を見て察する。
これは本当にまずいと。
三人が村のほうへと逃げようとしたとき、ネスが見つけた道から巨大な何かが出てくる。
三人はその姿を見て驚愕した。
それはおよそ五メートルほどの大きな体で体中に顔がついており、肌は緑っぽく、筋骨隆々で鋭い爪をもった化け物だった。
異様な魔族は三人の元へと走り出す。
「あれはなんだ?上級魔族か?俺の知ってる上級魔族にあんな奴はいねーぞ、本当に俺は馬鹿だったのか?」
「僕も知りません、上級魔族のスターロの様にも見えますが、あんなに大きいものなんですか?」
「私も知ってる魔族にあんなのいないよ、確かにスターロにも見えるけど身体中についてる顔は下級魔族のゴブリンみたいに見えない?」
「どうするよ、これ逃げれんのか?あのデカいやつは完全にやる気らしいぞ」
「逃げれるなら逃げたいけど、あれが逃がしてくれるかどうか」
そこでエリアは一つ提案する。
「僕が囮になります、その間に村に戻ってヘルトの騎士団に救援要請を出してください」
エリアは昨夜シェニーにあんなことを言われたがやはり内心は一人でも倒せるものだと思っている。
「馬鹿言わないで、救援要請を出して騎士団が来るのなんか何時間後よ!」
「なら3人で倒すに決まりだ」
ネスのこの一言で三人の覚悟が決まったとき、その3人のへと異様な魔族の拳が振り落とされる。
3人は拳を避け、散会し異様な怪物を囲む。
「『ポイスト』」
そうエリアとシェニーが唱えると青く光る魔法陣から武器が出てくる。
ポイストは魔力量によって入る重さが変わる収納魔法だ。
ネスは腰にかけていた剣を抜く。
「私の魔術で牽制をする、あんたたちがあいつをやって、魔族の殺し方は普通の生物と同じ、頭か心臓に当たる部位の大きな損傷、それか魔族の体は残滓と魔力と生命力でできてるから、それがなくなるまで削ることよ」
「はい!」
「わかってら!」
ここから異様な魔族との戦闘が始まる。