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輪廻伝記〜この世界を生きている〜  作者: 今日 虚無
聖人の国フレイア編

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72 団欒

「おじちゃ〜ん、おじちゃ〜ん!! クレープ買いにきたよ!!」


「なんだい姉ちゃん律儀にまた買いにきてくれたのかい?」


「そうだよ? 財布も取り返したし、頼んだクレープまだある?」


「ちょ、ちょっと待っててくれよ、今作るから」


「なに捨てちゃった、捨てちゃったの?」


「ち、違う! そこらにいた子どもにあげたんだ! そんなもったいないことするもんか」


「ほんとかな〜? まあ、私が悪いわけだし責める義理なんてないんだけどね!」


とアグは屋台のカウンターに身を乗り出して笑いながら話しかける。


「ほれご注文のイチゴクリームクレープだ」


「ありがと!」


アグはそう言いカウンターに代金を置きクレープを受け取ると走り出す。


「姉ちゃんうちのクレープの評価広めてくれよ!!」


「おいしかったらねー!!」




一方その頃城に招かれた三人は城へ続く長い階段を歩いていた。


「んだこの長い階段……」

「文句言わないでよ……壁の上に城が立ってるからしょうがないじゃない」

「魔法でこういうの便利にできねぇのか?」


そうネスが愚痴ると聞き耳を立てていたのかティエトと一緒に前を歩いていた黒服の男が反応する。


「あえて階段を使う形をとっているんだ!!」


「どんなあえてだよ……」


黒服の男の返答に笑いながらティエトが言う。


「どんなあえてってほんとだよね、本当は便利にはできるんだけど、誰が魔法を発動させる魔力を使うのっていう問題になっちゃうんだよ、だから大掛かりな魔法は恒常的に使えないの」


「陛下……」


「そんな見栄を張るところじゃないよソルミ」


「ソルミさんって言うんですか?」


「はい、私は陛下の補佐官ソルミ・ヨロセコと申します、以後お見知り置きを」


「僕はエリア・ブラグルと申します、こちらこそよろしくお願いします」

「私はシェニー・タンタスです、よろしくお願いします」

「俺はネス・ウーピットだ、よろしく」


三人が自己紹介するとあからさまにネスの時だけ顔が歪んだ。

どうやらウーピット兄弟の評価はもう地に落ちているらしい。

そんなこんな話しながら階段を上がると大きな門も前に着く。


「ようこそアイワン、フレイヤの中心へ」


そう言うとティエトは三人を城の中の自室へ案内する。

都市を分つ壁の上に建っているからといって城が狭いわけでもなくとても複雑に入り組んでおり見て回るには二日はかかりそうな広さだ。

ティエトの部屋も豪勢な内装をしていてほこりひとつまっていない。


「陛下本当に自室にお呼びして良かったのですか?」


「別に見られてまずいものなんてここにはないし」


「そ、そうですか?」


「とりあえず改めまして私はフレイヤの五天で国王のティエト・フレイヤよろしく」


「よろしくお願いします」


とエリア、ネス、シェニーの三人は返事をする。


「それじゃあ、あ! ソルミお茶を持ってきて!」


「かしこまりました……」


ソルミはそう言うとどこか不安そうに部屋を出ていく。


「さっそく、私に宛名手紙って何?」


「はい、これです」


エリアは懐からノルダから預かった手紙を取り出し渡す。


「良かったね直接私に渡せて、騎士団に預けたらいつ私の元へ届くのやら……」


ティエトはそう言いながら手紙を開き読み始める。


「え〜となになに、久しぶりティエト。そっちに僕のかわいい弟子が来てると思う、お願いだからその子たちをもう少し強くしてあげてほしい、なんとか上級魔族には一人で勝てるぐらいにはしたけど、魔人族にはまだ勝てないんだだから実践まじりなことをしてほしい、あ、あとその子たちに魔族や魔人族の情報を教えてあげてほしい、強くできなくても情報だけは教えてあげて、大国フレイヤの王が情報の一個も持ってないことないでしょ? よろしく、レーヴァ・スルトより」


「な、なにこの手紙……」


ティエトはそう言いながら頭を抱える。

エリアたちもその手紙の内容に苦笑いする。


「フレイヤ様はノル、いやレーヴァさんのこと知っていたんですよね?」


「まあそうだね、初代五天レーヴァ・スルト、どういう縁で君たちが出会ったかは知らないけど、君たちもびっくりしたでしょ、レーヴァ・スルトが生きてるってことに」


「はい、私は最初嘘だと思いましたし」


「たしかに、今生きてるって言われたらそう思うよね、私はなんだかんだ五、六百年前からの知り合いだし状況も違ったからあんまり驚かなかったかな、ん〜どうしようか……」


ティエトはこの手紙を受け今後どうするのかを考えている様子だ。


「ん〜、それじゃアグさんが来るまでレーヴァのこと話してあげる、そうだなーこの手紙の仕返しにレーヴァが世界一強くて世界一最悪なエピソードを語ってあげる」


「姉ちゃんが来るまで!? な、なんでだよ!? ちゃっちゃと情報だけ教えてくれ!!」


「ちょうど、このレーヴァの頼みにそえる良い案件があったのを思い出して、せっかくならアグさんにも手伝ってもらおうかなって」


「嘘だろ……」


「それじゃ場繋ぎのために、レーヴァへの些細な仕返しに話すね」

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