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輪廻伝記〜この世界を生きている〜  作者: 今日 虚無
聖人の国フレイア編

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69 聖人の国フレイア首都ラング

ノルダの家を出てから数週間をかけエリアたちはのんびり歩き時には走りながらフレイアを目指し、ようやく首都ラングの城門の前に着いた。


「やっとついたね」


「里帰りだー」


とシェニーは故郷を目の前にグーと背筋を伸ばし空を仰ぐ。

それに比べてネスは下を向き地を見る。


「だからネス〜同じ国にいるからってアンタのお姉さんに会うわけないでしょ〜、そもそもラングにいるかもわかんないし」


「前も言ったけどなんか会う気がするんだよ、なんだこの嫌な感じは……」


「ま、とりあえず都市に入ろっか……」


エリアは苦笑いしながら言うと三人は城門に向かい二人分の都市に入るためのお金を払い入都許可証を貰い入る。

街並みはリベル(ヘイムダルの首都)とあまり変わらないが、ところどころにさまざまな文化を感られる。

行き交う人々はもちろん聖人の国なので聖人族が多いがヘイムダルやスルトに比べると他の種族の割合が高い。

また中央には首都ラングを分割する様な壁が聳え立っている。

そして街の中央奥には分けられた二つの街を跨ぐように五天の住まう城が建てられている。


「お昼なんだけどどうする? 泊まるのは私の家でいいとして、とりあえずご飯食べに行く?」


「そうだね、食べ終わったら五天様に会いに行ってみよう」


と三人はとりあえず昼ご飯を食べることを探し街を歩く。


「シェニー、あの城壁のむこうがヴィスカ(フレイア国立国際大学)?」


「そう、世界のお偉いさんがこぞって通うところ」


「シェニーはあそこに入ったことはねぇのか?」


「用事があったら入るけど、大体の人は何かない限りは入んないかな、大体の物はこっち側にあるし」


そんな話をしていると前から深くフードを被った人が走ってきてエリアにぶつかり倒れる。


「イテテテ」


エリアが倒れた体をあげると上にフードを被った人が乗っていた。


「だ、大丈夫ですか?」


とエリアは下敷きになりながらフードを被った人に声をかける。

フードを被った人は周りをキョロキョロと見渡すとすぐに起き上がりシェニーの後ろに隠れる。


「ちょっとなに!?」


「なんだこいつ?」


フードを被った人はシェニーの後ろに隠れたまま近くにいたネスを引っ張りシェニーとネスをぴったりくっつけるとその二人の後ろに隠れる。


「ちょっとネス離れてよ!」

「くっつきたくてくっついてんじゃねぇよ」


とネスとシェニーは互いに離れようとするがなかなか離れられない。

すると前から数人の騎士が辺りをやけに見ながら走ってくる。

騎士が近づいてくるとシェニーとネスはビタビタにくっつけられる。

騎士団は急いでいるのかそんなはたから見たら不思議であろうネスとシェニーの状況を見落として走ってどこかに行ってしまった。

どこからどう見てもあのフレイア騎士団の探していたのはこのフードを被った人だろう。

三人は隠れているフードを被った人に目をやる。

フードを被った人はその様子を見るや否や掴んでいたネスとシェニーに加え少し離れたところで見ていたエリアを捕まえ街の裏路地に連れていく。


「ちょ、ちょっと」

「力強すぎでしょ」

「まだ街についてそんな経ってねぇぞ!!」


三人はフードを被った人に引っ張られるまま人気のいない路地裏まで連れていかれると、フードを被った人は周りをキョロキョロと見て人がいないことを確認してフッと一息吐くと三人を離す。

エリアたちはフードを被った人からすぐに離れ固まる。


「いや~助かりました、危なかった~」


「ねえまたこのパターン? まだお昼ご飯も食べてないよ? ちょっと早すぎない?」

「悪い人じゃなさそうだけど」

「騎士団に追われてんだぞ、絶対に悪人だろ」


「あの~どちら様でしょうか?」


「あ、そうだね自己紹介、自己紹介」


そうは言うがなぜかフードはとらない。


「私はレリ・エクラ、ただのフレイアの市民だよ、そっちは?」


「私はシェニー・タンタス」

「ネス・ウーピット」


「僕はエリア・ブラグルです、ところで、なんでフードをとらないんですか?」


とエリアは尋ねえる。

それもそうだ、ノルダのように顔を隠す奴に訳ありじゃないやつはいない。

エリアたちもラングに着いて早々に事件に巻き込まれるのは避けたいところ。

レリはあからさまに動揺した様子で。


「いや、ま~あれだよ、そう! 前髪がきまってなくてさ!!」


「嘘だ」

「嘘……」

「嘘だな」


「う、嘘じゃない!!」


「じゃあ顔見せろよ!! 前髪がきまってるかは俺たちが判断してやるよ」


「嫌!! 男の子にはわからないかもだけど、前髪は髪の毛の次に女の子の命なんだから!!」


その言葉にエリアとネスは、そうなの? とシェニーを見る。


「いや……そんなことは……」


とシェニーは前髪をいじっていた手をエリアとネスの目が向けられた瞬間素早く隠しこたえる。


「それで本当にラングの市民なんですか?」


「そう!! それは嘘じゃない!!」


(前髪はやっぱり嘘なんだ……)


「んじゃあよ、なんで市民が騎士団に追われてたんだ? 犯罪者か?」


「私は騎士団に追われてないし、別の誰かを追ってたんじゃないかな?」


「なら今この状況は何なんだよ!!」


「あ!! 忘れてた、ぶつかっちゃったからごめんなさいがしたくて~」


とフードを被った人は自分の体を隅々まで探りながら何か渡すものはないかと探す。


「え~と……」


「早く騎士団に報告するわよ、関係なかったら騎士団もほっとくだろうし、ノルダの時みたいに巻き込まれたくないからね」

「そうだね」


その隙にシェニーはエリアとネスに耳打ちをする。


「では、またどこかでご縁があったら!!」


とシェニーはエリアとネスを引っ張りその場を去ろうとする。

するとフードを被った人はエリアとネスを掴みどこかに行くのを阻止する。


「あの~なんですか? 僕たち用事があるので……」


「騎士団に今からこのことを報告しに行く用途じゃないよね……」


とフードを被った人は震えながら言う。


「そんなわけないじゃないですか!!」


と明るい声で笑いながらこたえるシェニー。


「あ!! キミたち討伐者かなんかでしょ? 私がここを案内してあげる!!」


「いや私ここが故郷だから……」


「さあ!! 行くよ!!」


「ちょっ……」


そう言いながらフードを被った人はエリアとネスを引っ張って連れていきその三人に焦りながらシェニーもついていく。

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