67 動向
エリアたちが最後の特訓をしている頃、スルトの女王フェッテは各国の王を集って今回の侵攻で得た情報の共有をする会議を魔法を使って城の一室で始めていた。
「集まっていただきありがとうございます」
とフェッテは相手の顔は見えないが光る魔法陣に話しかける。
すると青く光る魔法陣から声が返ってくる。
「今回は大変だったねフェッテさん」
「その声はティエトさんですね、来てくださりありがとうございます」
「アングルボザとテュールの人は来ないのですか?」
「グラアリさんですね、来てくださりありがとうございます、事前に連絡はしましたが今回は見送るということらしいので三人で始めさせていただきます」
「おやおや、ここでテュールの名前を出すのはどういういとですグラリア王?」
「何か癪に障りましたかティエト女王?」
「いえいえ、ただ国でもない一都市の頭をここに呼ぶ理由がないので、その名前を出すのはいかがなものかと思っただけです」
「あの」
「それは私の考えが回らず失礼いたしました」
「そうですよね、そちらも最近は行方不明の市民が増えているらしく大変なことは承知しています、お忙しいそうですし考えが回らかったのは許しましょうか」
「いいですか!! 今日は喧嘩をしにきたわけじゃないです!! 世界で魔人族に対抗するために、これ以上の被害を出さないためにお呼びしたのですからね!! 今からスルト侵攻の情報を共有します!!」
と今回のスルト侵攻で得られた情報、魔人族の情報、魔人族の目的、禁忌の魔法、伝えられる範囲だけを二人に伝える。
時を同じくはしないが世界のどこかの空も地も暗い場所でもスルト侵攻を経ての会議が行われていた。
「魔人王様今回の侵攻オウヴェルデの犠牲を経て得られたものはございましたでしょうか? 恐れ多いのですが魔人王様自ら出向いてもらえばスルトを落とすこともできたのではないでしょうか? 少なくともその機会が今回の侵攻ではありました」
と大きな岩の玉座に膝をつきながら白髪の老人グシオンが玉座に座るものに訪ねる。
「収穫はあった、目的でもあった初代五天レーヴァ・スルトの生死を確認することができた、スルトを落とすことは前にも言った通りまだその時ではない、私たちが国を手に入れるときは私たちが世界で一番強くなった時ではないといけない」
と玉座に座っているものが返答する。
「それはそうだが、生死の確認のためならオウヴェルディの死はいらなかっただろ」
と軽く玉座に向かって膝をつきながら赤髪の男アストが軽口を叩く。
「うんいらないよ〜」
その軽口に黒髪の少女イェリスが玉座に寄りかかりながらこたえる。
「てことは雑魚はいらないってことだよな?」
「ちょっと違う、弱い馬鹿はいらないの間違いだよ、あの作戦で自分が死ぬなんて考えついてなかった馬鹿だよ? そんなやついらないでしょ? どっちかでも持ってたら考えたんだけど」
「そうかよ」
と失笑しながらアストは言葉を吐き捨てる。
「今回の侵攻で私たちは多大なる力を手に入れました、魔神王様次は、私たちの世界を手に入れるために次やることは何ですか?」
と灰色の長い髪の女パイネが問いかける。
「次はフレイアだ、そこで最後の準備を整える」
と玉座に座る者がこたえる。
その会議が終わり集まっていた者たちが散り散りになった数分後、地面で呑気に寝転んでリラックスしているイェリスにアストが近寄り尋ねる。
「おいイェリス」
「なにアスト?」
「俺は次の作戦の意味がよくわからん、魔人王は本当に世界を手に入れるために動いているのか?」
「へ〜、それはどういうこと?」
「最終的な目的はいったら世界征服だろ? だが魔人王は国一つ取ろうとしない、そうしないのは取ったところで各国から総攻撃されて潰されるってからって理論はわかる、そのために俺たちは強く、一番強くなる必要がある、だから今回スルトを襲って俺たちの力を蓄えた、だが魔人王はそれでも足りないいて感じだ、ならいったい一番強くなる方法ってなんなんだ? それを目指しているとして次の作戦に何の意味があるんだ?」
「う〜んそうだね〜、世界で一番強くなる方法、確かに世界一強いって考えてみたらわかんないよね~、じゃ~アストには教えてあげる」
と言いながらイェリスは仰向けになった体を起こしアストの耳元に近づき囁く。
「世界で一番強くなる方法はね…… だよ」
「なんだよそれ、無理に決まってんだろ……」
アストはその言葉を聞いて目を丸くする。
「ビックリしたでしょ、周りには言わないでね~」
そう一言言い残すとイェリスは手を振りながら闇に消えていった。
いろいろ意図的に省いたところとか、書き足すところありますが!! ここで獣人の国スルト編おわりです。 スルト編はまぁいけるやろで取り組んで大変なことになったので次の編もぼちぼち設定練れたら出そうと思ってはいますが、多分練れてなくても出します。




