59 侵攻後
男はオウヴェルディのその言葉を聞くと腰に携えた刀を抜き地面に押し倒されたオウヴェルディの首を跳ね飛ばした。
そのあと、男は五天ルフル様の所に近づき膝をつくルフル様に手を伸ばすと、ルフル様は目に涙を浮かべながら男の手を取って立ち上がった。
すると二人でこっちに歩いてきたが、そこで僕は意識を飛ばした。
僕はオウヴェルディとの戦いで結局何もできなかった。
僕の魔術への理解度は高まったが行かせたのはあの一瞬。
ネスとシェニーは…………ネスとシェニーに合わせる顔がない
そろそろ起きないと……。
と目を開けるとそこは見慣れた天井だった。
ここは、ノルダさんの家?
とあたりを見まわしていると誰かもわからない男が近づいてくる。
どうやら家の中でお肉を調理していたらしい。
それにしても、だれだ?
「目を覚ましたかいエリア?」
「すみません……誰ですか?」
「そうか仮面をつけてないからわからないか、改めて、レヴィ・ノルダだ、よろしく」
「ノルダさん!? そんなお顔だったんですね」
「ネスとシェニーは外で二人で戦ってるから顔出してきな」
「生きてたんですか!?」
「死んでると思ってたの?」
とエリアは立ち上がろうとするとひどく体が痛む。
「そうだった、エリアはあの二人に比べて結構な大けが何だった、肩を貸すよ」
とノルダさんの肩を借りて木の上の家から降りると、木下の整地された広場で戦っている二人がいた。
ネスとシェニーはこちらに気が付くとすぐに戦闘をやめてすごい勢いで近づいてきた。
「よかったよ~エリア~」
とシェニーはエリアに抱き着く。
「心配したぞエリア!!」
「そうよ!! この中でエリアが一番ひどい怪我だったんだから」
「あ、ありがとう二人とも、それとごめん、あんな息巻いていながらあんな醜態を」
「まぁ次だ次、こうやって俺たち三人、魔人と一戦交えて生きてるんだ、自信持っていこうぜ」
「ネスの言う通りよ、次よ!!」
その二人の言葉に励まされながらも、いつも威勢よく戦いに行って負ける自分が情けなく、エリアは決して二人とは顔を合わせなかった。
そのエリアの様子を察するが故に明るい雰囲気で雑談を始めるネスとシェニー。
そんな三人の様子を見ながらノルダは木の上の家に帰り夕食の準備を進める。
しばらくするとノルダが夕食を作り終わって木の上から降りてき、エリアたち三人は机と椅子を用意して料理を並べて座る。
作られた料理はいつも通りただ焼かれた肉としろご飯だった
夕食を取っている中も雑談弾む、ノルダがスルト第四騎士団を壊滅させ罪をなすりつけてきたのを咎めそれを誤らせたり、その後一日ではあったが感味という店で働き起きたことを話したり、スルト侵攻の中で体験したことを話したり。
その雑談の最中ノルダが大事なことを口にする。
「そういえば、エリアも起きたことだし、明日朝一で五天に
会いに行くよ」
その一言に場は静まりかえる。
「どういうこと?」
とシェニーは聞き返す。
「だから明日五天に会いに行くってことだよ」
再度場は静まりかえる。
「だから何がどうなったらそうなるの!?」
「いやまぁ……あれだよ、たまたま五天と縁があってね、僕の話が聞きたいらしいからついでに三人もつれていこうかなって」
「ごめん意味が解らないんだけど」
「まぁ明日会いに行ったらわかるよ」
「そうじゃない!! ね!! エリア、ネス!!」
「そうだな、なんでそうなってんのか意味わかんねぇし、それに聞こうか迷ってたんだが、なんで仮面付けてねぇんだ? あんなに外さなかったのによ」
「僕もスルト侵攻の最中戦ってたからね、その時に仮面は壊れちゃったんだよ」
「じゃあ、あのま」
とエリアが話そうとした瞬間、ノルダは手でそれ以上話すなとジェスチャーする。
「ちょっと何隠してるのよ!!」
「だから明日になったらわかるよ」
とそんな感じで明日五天に会うことを伝えられ、三人は緊張からその夜はよく眠れなかった。
朝が来てエリアが目を覚ますとノルダは出かける準備を終えて三人が寝ている姿をじっと見ていた。
「お、おはようございます」
「おはようエリア、二人も起こしちゃって」
とノルダはエリアにお願いし、エリアは三人を起こし出かける準備を済ますと四人はスルトへと歩いて出かける。




