48 僕はあの人にあこがれて
「騎士団が来るまで全力で時間稼ぎしてやるよ!!」
デッドドックはリーハスに向かって巨大な爪を振りかざす。
リーハスは反撃することなく全ての攻撃を防御してひたすら守りに徹する。
(騎士団が到着するまで耐えれたら僕の勝ちだ、それまでは僕から下手に攻撃して反撃をもらうようなリスクは負わない、毎日体を鍛えてきたんだ力と体力には自信がある、こんな時に魔法が使えたら……多少は、もう少し本気で魔法を練習するんだった、村の人たちは村長の家に避難してるようだが、まだやられるわけにはいかない)
デッドドックの重たい爪がリーハスの大剣に何度も重くのしかかる。
デッドドック、バッドドックのなれの果てで数種の上級魔族の一種、デッドドックは周囲の生きている生き物を感知できる能力を持っているといわれている。
それなら村の人が隠れたってすぐに見つかって殺される。
だから騎士団が来るまでは僕は絶対に倒れられない、僕が倒れたら絶対に避難している村の人の所に行ってしまう。
(にしても魔族に体力はないのか……一向に攻撃が弱くならない)
何度も何度も大剣にデッドドックの大きな爪が振りかざされリーハスの手と足には力がはいらなくなってっくる。
それが数十分と続く。
(もう力がはいらなくなってきた、大剣を支えられない、いやまだだ、騎士団がトッシュからこちらに来るにはまだ時間がかかる)
「ッツ!!」
リーハスはデッドドックの重たい一撃に体勢を防御の体勢を崩す。
「まっ!!」
その隙にデッドドックはリーハスの腹めがけて大きな爪を振りかざす。
「死ぬ!!」
覚悟はできていてもやはり死は怖いもの、リーハスはその現実に目をつぶる。
(そうだあの時も……こんな最悪な時だった……そして僕の短い人生であの時ほど最高の時はなかった)
リーハスは目を開けて大剣を捨て魔力障壁を張り一発耐えれたら奇跡の防御の体勢をとる。
だが振りかざされたデッドドックの手は空を舞っていた。
そして目の前にはあの時に見た白く先に行いくほど黒くなるグラデーションのかかった長く美しい髪に、身長はそれほど高いわけではないが誰よりも背中が大きく威厳のある女性が短刀を持って立っていた。
「ルフル様……」
ルフル様はデッドドックの片腕を斬り落とすと一気にもう片方の腕と両足を斬り落とし、デッドドックが地面に崩れ落ちると首を斬り落とした。
(なんで……こんなところに……トッシュからエンブスを走らせたとしてもこんなに早くつくわけがない、いったいどうやって)
力が抜けてその場に崩れ落ちるとるルフル様が短刀をしまって近づいてくる。
「よく持ちこたえましたねリーハス・ウェンバ、あの時から八年、九年はたちましたか、私よりも一回り二回りも大きくなって驚きました」
「覚えていてくれたんですか!!」
「私言いませんでしたか?そんな六年で忘れることはないみたいなことを」
「言ってましたが……」
「あなただって覚えているではありませんか、なら私が忘れるわけありません、あの時の言葉通り本当に騎士になったんですね、すごいじゃないですか」
そう言いながらルフル様は倒れている僕に手を伸ばす。
僕は恐れ多くもルフル様の手を握り立ち上がる。
「は、はい!! そう言っていただき光栄でございます!! あのなんで僕ってわかったんですか? ルフル様と会った時とは見た目も変わっているはずなのに」
「私は毎年騎士団に入団してきた騎士の書類に目を通して全員の顔と名前を覚えています、あなたが入団した時嬉しく思ってましたよ、ですがあなたが会いに来ないのであなたがまだその時ではないと考えてるのではないかと思い、私も会わないようにしてました」
「そんな無茶なこと言わないでください、下っ端の騎士がルフル様に会いに行けるわけないじゃないですか」
「そうですか? いつでも会いに来てくださっていいのですが、そうですね会うのが遅くなってしまってごめんなさい」
「誤らないでください、僕は感謝してるんです、騎士になって三年、ルフル様にどうやって会おうか考えて新しい目標ができたり、自分を見失ったり、騎士が何かを思い出したり、ものすごく成長できましたありがとうございます」
「そうですか?」
「はい、なので僕がスルトの七騎士団に入って人々を守れるほど強くなったら改めてルフル様に会いに行きます!!」
「そうですか、頑張ってくださいリーハスならなれると思います、ではその約束覚えておきましょう、あと私のことはルフル様ではなく、ルフルと呼んでください」
その約束をして私は体格を生かした力任せの戦闘や中途半端な魔法を使った戦い方ではなく、徹底的にいろいろな相手に備えて準備をした戦い方で次の年七騎士団の第一騎士団に入団することができた。




