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45 これは序章

エリアとネスは男の背中に描かれた魔方陣から出てきた魔族たちを一通り倒すと大の字になって寝ていたシェニーを起こして、魔方陣を背中に描かれていた男をネスがおんぶしてエリアとネスとシェニー三人でリベル(スルトの首都)にある医療施設へと走って向かっていた。

魔族はまだ街中にごった返すほどの数にはなっていない。


「すいません病院ってどこにありますか?」


「あの角を右に曲がってまっすぐ行ったらありますよ」


「ごめんなさい引き止めてしまって、ありがとうございます」


とエリアは街でおそらく城門に向かって逃げていたであろう人に病院の位置を聞いて三人で病院に着くと騎士団に見つからないうちにサッと背中に魔法陣の書かれていた男を預けて病院を去った。

病院から出て街を走っていると徐々に魔族の数が増えていく。


「こっからどうするよ?」


「とりあえず城から見て正面の避難所に向かう!! さっきのフェッテ・パプスさんの言葉通りならそこに魔人がいるはずだから!!」


「そうよね!! このチャンス見逃せない!!」


「んなこと言ってたか? まぁいいが、街中に魔族があふれかえってきてやがるな、倒しながら進むぞ」


「そうね」


と三人は魔法陣から武器を取り出して街で増え続ける魔族を倒しながら目的地の避難所に向かう。



一方そのころ場面は切り替わりフェッテ・パプスのパーセムセロ(感覚強化)で引っかかった魔人を討伐しにエンブス(魔力で動く乗り物)に乗って第一騎士団を引き連れて向かう大柄で青黒い髪の男第一騎士団団長リーハス・ウェンヴァに移る。


「第一騎士団諸君よく聞け!! 私たちは今パプス様が見つけてくださった魔人を討伐しに行っている!! しかし道中で魔族を見つけたら見つけ次第殺せ!! それと市民が困っていたら自分の身に変えてでも助けるように!!」


「はい!!」


と第一騎士団は城正面に急遽設置された避難所に向かう。


(やはり近づくにつれ魔族が増えてきたな、第一騎士団も道中市民の助けや魔族にやられ少し数を減らしてしまったか、だがおそらくもうすぐ目的の魔族と出会えるはずだ、気を引き締めなければ……)


とリーハスがそう考えた時、目の前に茶髪で短髪の少しひげを生やした大柄の男が魔族を引き連れて目の前に現れる。


(あいつが魔人か?)


「皆の者聞けー!! あの魔族を引き連れている大柄の奴がおそらく魔人だ!! 私は今からあいつに向かってこのまま突撃をする!! 皆は周りの魔族を倒してくれ!!」


そう言うエンブスに乗ったままリーハスは魔族を引き連れた大柄の魔族に向かって突撃する。

魔族はリーハスの乗っているエンブスめがけて拳をふるう。


「ガッハッハッハ!! なかなか威勢のいい人間だ!!」


そう言うとリーハスの乗ったエンブスをリーハスごと殴り飛ばした。

その間引き連れていた魔族たちはリーハスが引き連れてきた第一騎士団を交戦していた。


「なかなかの力だな、おまえ魔人だろ?」


「そうだ!! 俺はオウヴェルディ・バキバルダ、おまえらが俗に言う魔人だ!!」


「私はリーハス・ウェンバだ」


そう言うとリーハスはオウヴェルディに向かって走りながら背中にかけていた大剣を抜いてオウヴェルディに向かって振り下ろす。


「『身体強化・弱』」


そう呟くとオウヴェルディは片手で振り下ろされた大剣を受け止める。

しかし剣は徐々に手に斬り込んで刃が入っていく。


「『身体強化・中』


そうと呟くと大剣は腕の中間で動きを止めてリーハスは大剣ごと押し除けられる。


「いや〜想像以上の力だ、まさか中まで使わされるとは……」


「身体強化に上乗せして自身の力を上げる、それがおまえの魔術か?」


「ガッハッハ、そうだ、そっちこそ魔術を見せたらどうだ!?」


「おまえらと違って私たち人間は全員が全員魔術を使えるわけじゃないんだ」


「ではおまえは私に絶対に勝てないではないか!!」


「それはどうかな魔人、魔術が全てではないことを教えてやろう」


リーハスは大きく踏み込んで大剣を構える。

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