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輪廻伝記〜この世界を生きている〜  作者: 今日 虚無
獣人の国スルト編

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44 解除

「〜この情報を聞いたうえで各々は自分のやるべきことを果たしてほしい、健闘を祈る」


と下水路から出るとスルト国13代目女王フェッテ・パプスの街中に均等に響く声を聞くエリアたちはその声に耳を傾けるどころではなかった。


「下水路から出たぞ解除はまだか!?」


「あとちょっと!! あとちょっと!!」


(ごめんエリア、ネス……あとちょっととかじゃないかも)


「ネスここで魔族を倒すよ、僕は下水路から来るやつを、ネスは新しく出てくるやつを」


「おうよ」


エリアは剣を魔法陣から再度取り出してネスと一緒に剣を構える。

シェニーはエリアとネスに囲まれて男の背中に浮かぶ魔法陣の解除に全神経を巡らせていた。


(え〜と? 空間系の魔法陣だとここが重要? 違うの!? ごめんなさい!! あーーもう!! 全然魔法陣が崩れない!! どこが魔法陣の核に深く影響する線なの?)


そう考えながらシェニーが魔法陣を青く光らせている間エリアとネスは次々下水路から何もない空間から来る魔族と必死に戦っていた。


「『雷身(ライシン)』」


ネスがそう言うと体に電気が走り始め、ものすごい速度でバッサバッサと魔族を斬りつけ始める。


「身体強化が使えるってのは本当に便利だな!! 雷身と合わせたら体が軽くて仕方ねぇ!!」


エリアは一方で下水路から出てくる下級から中級魔族を斬りつけていた。

上級魔族は大きすぎて下水路でまだ詰まっているようだった。


(今の自分ならさすがに一、二体は一人で何とかなりそうだけどそれ以上に上級魔族が出てきたらシェニーを守りながら戦えるかどうか怪しい……この下水路の狭い空間を利用して一気に魔族たちを一網打尽にしたいけどそんな魔法覚えてないし……なら)


「『光斬花(コウザンカ)』『光落(コウラク)』」  


エリアは片手で剣を薙ぎ払い振り下ろしもう片方の手で魔法陣を空に描きいろんな場所に複数個を展開して設置する。


「『魔力弾』複数展開!!」


そうエリアが言うと魔力弾が設置した複数の魔方陣から一斉に放出される。

放たれた魔力弾はすべて下水路の出入り口の天井にあたり天井が崩壊して瓦礫で出入り口が封じられる。


「何とかギリギリ出入り口を封じれた……よかった」


「やるなエリア!! こっちも何とかはなってるが、シェニーまだか!?」


「あとちょっと!! あとちょっと!!」


「さっきも同じこと言ってねかったか?」


「うるさい!! もう一か八か……一か八かでこの人には悪いけどてきとうにいっぱい線を引く!! すごく痛いと思うけどごめんね!!!!!!」


そう言うとシェニーは男の背中に魔力で線を大量に描き始める。

男はうんともすんとも言わない、どうやら痛みで気絶しているようだ。


「おまえ、んなことしていいのかよ!?」


「もうしょうがないでしょ!! 禁忌の魔法なんて学校で習ったことないんだし!! 複雑すぎてわかんないの!! それにこのままじゃどっちみちこの人もこの魔法陣に体を焼かれて死んじゃうの、ならいっそ一か八かで線を描きまくって解除するのが最善でしょ!! それについた傷は医療魔法で何とか治せるから!!」


「それが最善ならネスあとは湧いてくるやつを何とかするよ」


「わかったよ」


(頼むよー!! この線は……違う……この線は!? 違う!! ならこの線……!?)


その時魔方陣の銀青色の光が消えていく。


「やった!! 成功よ成功!! よかった!! あとは傷を治してもらいに治療所にこの人を運ばないと……疲れた」


そう言うとシェニーは大の字になって倒れ込む。


「よくやった!! あとはこいつらを片付けるだけだ!! って何寝てんだ!!」


「いいでしょ!? ちょっと休憩させて!! 禁忌の魔法を解いたんだよ!! ほぼ奇跡みたいなもんだけど……」


「よくもこの状況でのんきなことを言えるな!?」


「ありがとうシェニー、大丈夫だよネス、このくらい僕とネスで何とかなる」


「それもそうだな」

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