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42 フェッテ・パプスの言葉

場面はトッシュで謎の少女との戦いを終えたルフル・スルトに戻る。


(転送魔法……なぜ魔人族が使えるのかは今は置いといて、魔人族が転送魔法を使えるとなるとこちらの城壁なんてあって無いようなものだ、戦況としては最悪、とりあえずフェッテ様に連絡を)



そしてまたまた場面は変わりここはリベル(スルトの首都)の街の中央に聳え立つ大きな城の中、女王フェッテ・パプスがお偉方の対応を相も変わらずしていた。


トッシュ(リベルの)との連絡がつい数十分前から取れなくなったのですが都市が落ちたのでしょうか」

「わからんがそう考えた方がいいだろう」

「ではそうなると次はリベルではないのか?」

「スルト様は今何をしておられる?騎士からルフル様がエンブス(魔力で動く乗り物)に乗ってどこかに行ったという情報も出てる、まさかトッシュに行ったらりなどしておらぬな?」


フェッテはその言葉に眉がピクリと動く。

フェッテの前でお偉方が議論をする中フェッテの『ラルク(繋ぐ手)』の魔方陣が描かれた紙が机の上で魔法陣の半分が青く光りだす。


「はい、誰でございましょうか?」


「騎士団総団長ルフル・スルトでございます、至急お伝えしたいことがあります」


「なんでしょうか」


「今トッシュにいるのですが」


ルフルのその言葉に部屋で議論していたお偉方がざわつき始める。


「おい今スルト様は何とおっしゃった?」

「今スルト様がリベルにいないのは相当まずいのではないか?」

「パプス様!! なぜスルト様をトッシュに行かせたのですか!!

「そうですぞ!!」


「今すぐ皆口を閉じて総団長ルフル・スルトの話を聞きなさい!! それで、なんでしょうか?」


「残念なことにトッシュはもう壊滅していました……だが、どうやって魔族と魔人族がトッシュに侵入できたかわかりました、簡潔に言います転送魔法です」


「転送魔法!?」


「はい、魔人族は転送魔法を使ってきます、後は言わなくてもわかると思います、私はこれからまたそちらに戻ります、では」


「ちょっと!!」


ルフルは伝えることだけ本当に最低限伝えるとすぐさま連絡を切った。

連絡が切れるとお偉方がざわざわとし始める。


「転送魔法だと!?」

「なぜ魔人族が禁忌の魔法を使える!?」

「魔人王が知っていたのかもしれない」

「では魔人王の復活は確定なのか?」

「そうなるといつリベルに侵攻してくるかわからないぞ!!」

「もうリベルの中に入ってるかもしれない」


と転送魔法について話していると一人の騎士が慌てて部屋に入ってくる。


「失礼します!! 緊急の報告があり参りました!!」


「なんでしょうか?」


フェッテが緊張感のある声で部屋に入ってきた騎士に尋ねる。

騎士はフェッテの緊張感ある声と目の前にいるお偉方に緊張しながらも話し出す。


「はい!! 大変僭越ながら申し上げさせてもらいます!! リベルへの魔族と魔人族の侵入を許しました!!」


お偉方は驚いてたが、さっきルフルから転送魔法のことを聞いていたのでフェッテは驚きもせず冷静にいられた。


「わかりました、ではあなたはギムレ(討伐者の集)に魔族、魔人族の討伐依頼を出してください、騎士団への報告は私がやります」


「はい!!」


そう元気に返事をすると騎士は部屋を慌てて出ていった。

その騎士につづいてお偉方もそれぞれのやるべきことをやりに慌てて部屋を出ていく。

部屋から全員が出ていきフェッテ一人になると深くため息をつく。


「あの自分の身の安全しか考えていないゴミ貴族どもめ、大した意見も決定権もないくせにのんきに何の意味のない話し合いをして、本当にうるさかった……」


そう愚痴をこぼすと椅子から立ち上がり部屋の中心に行くと屈んで床に大きな魔法陣を描き出す。


「『パーセムセロ(感覚強化)』」


フェッテがそう唱えると魔方陣は青く光りだし、リベルの街全体の魔力反応がフェッテの頭の中に流れ込んでくる。


(私が急遽設置した避難所全部に人間ではない魔力反応が多数、後は街の各所にも、特に城から見て正面の避難所にすごい大きな魔力反応、上級魔族でもあの魔力量はおかしいあれが魔人? なんでパーセムセロに引っかからないように魔力量を抑えてないんだ? そんなことよりあとは……感じ取れる中にはリベル内には魔人は一つしかない、魔族は凄い量いるけど……)


「『千里の声』」


フェッテがそう言うとリベルの街全体が緑のオーラに染まる。

それと同時に一瞬街の空が青く点滅する。


「今話してるのはスルト国13代目女王フェッテ・パプスである、今からリベルが置かれている状況について話す、この話を聞き今リベルにいる人々は判断して動いてほしい」


そうフェッテが部屋の中で話した声は街中全体に均等な声の大きさで響き渡る。


「今リベルは魔族と魔人族の進行を受け街の中への侵入を許している状況であり魔人族は転送魔法を使ってリベルに侵攻してきている、今魔族がいる場所は私が確認した限り設置した各避難所、そして街の各所で確認している、加えて城正面の避難所には魔人と思われし魔力反応も一体確認している、魔人の魔力反応はこれ以外には確認はしていないが他にもいるかもしれないので注意してほしい、避難をするならリベルを出ることを勧める、この情報を聞いたうえで各々は自分のやるべきことを果たしてほしい、健闘を祈る」


そう部屋の中でフェッテが語り終わるとひとりでに床に倒れ仰向けになる。


(なんで私の魔術はこうも魔力消費が激しいんだ……使い道もないし、体に力がはいらない……少し横にならないと動けそうにないかな……)

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