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輪廻伝記 〜この世界を生きている〜  作者: 今日虚無
防衛前線都市クラージュ編
4/42

3 すべてが変わった日

この世界は五つの知性ある種族、人族、聖人族、魔人族、巨人族、竜人族が国を作り世界を統べている。そして魔人族が世界の敵として存在している世界。そんな世界で生きる一人の人間の物語。

そして場面はスログの戦いから約一時間後、ヘルトに向かって一本道を歩いているエリア、テレサ、ジュリエに切り替わる。


このヘルトとクラージュをつなぐ一本道は歩いて約半日の距離がある。

クラージュを出てから三人は一言もしゃべらなかった。

クラージュを出て数分経った時クラージュの方から何かが崩壊する音がした。

そのとき三人、いや避難している人全員が本当に魔族からの侵攻を受けているのだと自覚した。

歩くと途方もない道の長さ、クラージュを出てすぐに聞いた音、スログのこと、これからどうなるのか、そもそもヘルトに無事につくのか、そんな考えが頭の中をぐるぐる回っていた。

もうその頭には喋る余裕がなかった。


そんな中ジュリエがやっと一言口を開く。


「こっちに、クラージュに向かってくるヘルトの騎士団といつか合流するはずよ~」


そしてすぐ一つの影が見えてきた。

なぜか道の真ん中で佇んでいる一つのいや一人の影だ。

それは絶対に、間違いなくこちらに向かってきているヘルトの騎士団ではなかった。 

異様な雰囲気を漂わせ、目の位置に穴が開いた真っ白な仮面をつけた男が立っている。

三人はその異様さに止まりたかったが列はそう簡単に止まってはくれない。


「もう少し遅く『リーブル』で来ればよかったが、まあいいだろう、計画通りだ、とりあえず前列の者どもには死んでもらうか」


少し後悔してそうに言うと、仮面の男は高く飛び上がり宙に浮く。

そしてこう呟く。


「『魔力弾』」


その瞬間男の手のひらからとんでもなく大きく銀青色(ギンセイイロ)に光る魔力の塊が生成されていく。

なんだ…あれは

逃げろ!!!

どけ!!

ちょっと、押さないで!

あちらこちらから悲鳴が鳴り響く。

その魔力弾を見て人々が逃げようとし隊列が乱れていく。


「エリア、テレサ、三人で『魔力障壁』を張るわよ、あの大きさの『魔力弾』今から走って逃げても間に合わないわ、せーのの合図でいくわよ」


ジュリエはいつになく真剣に二人に呼びかける。

エリアとテレサはパニックだったが母の声を聞き一瞬で覚悟が決まる。


「せーの!!!」


「『魔力障壁』!!!」


三人は力強く叫ぶ。

三人の力が合わさり大きく青く光る魔法陣が宙に描かれる。

周りでも魔力障壁を張る人がちらほら見えた。

瞬く間に魔力弾は隊列の元へと降り注ぎ大きな爆発を起こす。

この爆発はエンブスで向かっていた騎士団から見えていた。


「何だあの爆発!?」


向かっている騎士団からも動揺の声があがる。


「急げ!もっと速度を上げるぞ!」


大きな煙が立ち込めている中、仮面の男は地面に降りてくる。


「ちょっと減りすぎたか?まあいいだろう、それより実験だ試してみるか 『王奪(オウダツ)』」


そう言いながら手をかざすと見えない何かが仮面の男に集まっていく。


仮面の男は不満にも納得した顔をする。

やはりこうなるか、まぁ想像できなかったしな、いいだろう実験は済んだ、あとの人間は生かしてやらうか。


「ん?」


仮面の男は煙の中何かを見つける。

煙の中、そこにはあの『魔力弾』を受けても立っている3人の影があった。


「まさかそこらの人間にあれを受けて生きれる奴がいるとはな、おもしろい」


仮面の男は少し嬉しそうにする。

エリアは辺りを見渡した。

それは生きてきた中で見たこともない光景だった。

三人以外生きた人間はいない地獄だ。


ジュリエは仮面の男の方を見ながらエリアとテレサに言う。


「エリア、テレサ、全力でヘルトの方へ走りなさい…さっき言ったけど騎士団がこっちに来ているはずだわ…あの化け物はお母さんが引きつけるその間に逃げなさい…」


その言葉を聴き考えたくもないことを二人は考えてしまう。

そして涙が止まらなくなる。

わかっている…わかってはいるがテレサは聞かずにはいられなかった。


「お母さんは!お母さんは!?」


「お母さんとは…お母さんとはここでお別れよ〜、お父さんにまた会えないのは少し残念だけど〜あなたたちが生きれるのならそれで十分だわ〜」


ジュリエは涙が溢れそうになるがいつも通りの穏やかな顔で穏やかな声でそう答える。

二人はジュリエにギュッと抱きつく。


「いやだ!いやだ!いやだ!」


テレサは泣きながらそう言う。


「離れたくないよ…僕も戦う…お母さんと戦う……」


エリアが泣きながら喋っているとジュリアは姿勢を低くし二人を力強く抱きしめる。


「生きなさい…お母さんの分まであなたたちが生きるのよ…これは約束、エリア、テレサ愛しているわ」


二人を抱きしめていたジュリエの顔にも涙が流れていた。


「さぁ!お母さんが魔力弾をアイツに打ったら全力で走りなさい」


涙を拭きジュリエは立ち上がる。

エリアとテレサもジュリエの言葉を聞き覚悟を決める。


「お別れ会はもう終わったか?待ってあげるとは我ながら優しいな」


「『ポイスト』」


エリアとテレサがそう唱えると空中に青く光る魔法陣が現れ魔法陣から剣が出てくる。


「いくわよ!エリア!テレサ!」


「はい!」


二人は覚悟を決めた返事をする。 

ジュリエは手を構え魔力の塊を手に生成する。 


「『魔力弾』」


「逃げても殺すが、逃げずに戦う気か?」


と仮面の男は少し笑いながら言う。

魔力弾は力強く仮面の男に向かって放たれる。 

仮面の男が片手で魔力弾を受け止めようとした時、手前で魔力弾が爆発し多くの煙が出る。


目くらましか!小癪な。


その間にエリアとテレサは剣を構え仮面の男の両隣を走り抜けていく。


「まぁ、やはり逃げるか」


そうよエリア、テレサそのまま逃げなさい


「さぁ!私が相手よ!バケモノ!」


ジュリエは仮面の男の気を引こうと大声で呼びかける。

あの子たちが騎士団に合流するまでなんとか時間を稼ぐ!


「ふw、時間稼ぎになればいいな?」


「『魔力弾』」


ジュリエは何発もの『魔力弾』を打ち込む。

しかし全て片手で受け止められる。


―次の瞬間―


仮面の男は踏み込み数メートルの距離を一気に詰めジュリエの懐へと潜る。

ジュリエはかろうじて反応し後ろに下がろうとするが...


「時間稼ぎご苦労様」


ドス!!!!!


仮面の男の拳が胸を貫く。


呆気ないものだな。


胸を貫いた手を抜こうとしたその時。

メキ、、メキメキメキ。

なんだこの音?

その音の正体は胸を貫いた自分の腕が潰れる音だ。

仮面の男は自分の腕を見る。

仮面の男の目に映った光景はジュリエが片手で自分の腕を握り潰している信じられない光景だった。


どこからこんな力が!?この女の魔術か!?


仮面の男は何かに気がつく。


「そうか、わかったぞ、そういうことかw、本当に命をかけているのか!面白いぞ!女!!」


「まだ時間稼がしてもらうわ…」


ジュリエはもう片方の手を上にかざす。


「『魔力弾』」


手のひらに銀色に光る魔力の塊ができる。

その魔力の塊へと複数の魔法陣が展開され魔力の塊が小さくなっていく。


「圧縮して威力を上げようとしてるのか?」


「そうよ…この距離なら片手で防ぐなんて馬鹿げたことできないでしょ…!喰らいなさいっ!!」


「『魔力障壁』」




愛してるわ…




そして場面はヘルトへと走るエリアとテレサに切り替わる。

エリアとテレサは無言でひたすら、ただひたすら走っていた。


「おい」


ありえないことが起こった。

後ろから声がしたのだ。


ありえない。


二人ともなんとなくそうなるとはわかっていた。

だが希望を捨てることはできないかった。

しかし希望は打ち砕かれる。

いざ現実になるとやはり、簡単には受け入れられない。


なんで、なんで、何で後ろから声が?


二人は絶望の顔で振り返る。

そこにはついさっき見た仮面の男がいた。


「思ったより足が速いなお前ら」


そう言いながら仮面の男は何かを二人の元へ投げる。


ドッ ゴト…


二人の足元で鈍い音がする。


「別れの挨拶をしてたのに思ったより早い再開だなwおめでとうw」

 

それはなんだったのであろうか、二人は投げられた者を見なかった。

いや見れなかった。

涙も出なかった。


「行くよテレサ…」

「わかってるよエリア…」


二人は剣を構えて仮面の男の元へと走り出す。


「お前らもあの女みたいに面白いものを見せてくれるか?」


仮面の男はエリアの元までものすごい速さで近寄り右手で殴り飛ばす。

その隙に後ろからテレサが黒く光る剣を振りかざす。


奈落(ナラク)


仮面の男は左腕で受け止める。

しかし仮面の男の左腕は斬れ落ちる。


血が出ない!?


仮面の男は振り返り際にテレサを蹴り飛ばす。

そして一瞬にして左腕が再生する。


人間じゃない!?これが魔人族...?


二人は腕を斬っても血が出ず、瞬時に再生する光景にそう考えた。


「そうか、それがお前の魔術か、いいぞ!気に入ったぞ!」


そう喋っている間にエリアが剣を振りかざす。


光落(コウラク)


その剣をまたも左腕で受け止める。

エリアの剣は腕を斬れなかった。


「お前の魔術は面白くないな、不快だ死ね」


「エリア!!!」


テレサは走り剣を薙ぎ払う。


「『深象(シンショウ)』」


仮面の男はエリアを払いのけ左腕でテレサの剣を上から地面へと殴りつける。

右手でテレサの頭を掴み左手で腹を殴りテレサを気絶させる。


「こいつはもらって行くとしよう、実に運がいいな」


そう言いながらテレサを片腕で担ぐ。


「何を言っている!?テレサを、テレサを返せ!」


閃光(センコウ)


エリアはすごい速さで仮面の男に斬りかかる。


「本当に面白くない魔術だな、少し身体能力が上がるだけではないか」


そう言いながら片手でエリアの剣を殴り飛ばす。

エリアは殴り飛ばされ地面に倒れる。

仮面の男が魔法陣から剣を出しながらエリアの元へ歩いて行く。

エリアは立ち上がろうとするが、エリアへと仮面の男は剣を振り上げる。


「死ね」


その時、仮面の男に一つの青く半透明の盾が飛んでくる。

仮面の男は振り下ろそうとした剣で飛んできた盾を弾く。

仮面の男は不意の攻撃にのけぞり後ろに下がってしまう。 


何だあの盾?魔力でできているのか...?


弾かれた盾が地面に転がり消える。

ヘルトの方からエンブスに乗った騎士が来た。

男はすぐさまエリアの元へ駆けつける。


「大丈夫か少年!?安心しろすぐに私の仲間がここに来る!!」


白い鎧を着た赤黒い髪で少し髭の生えた男だ。


騎士団か、皆殺しにしてもいいが、収穫があった以上帰るとしよう。


仮面の男は大きな魔法陣を展開し、魔法陣に触れると触れた箇所から体が消えていく。


「妹が!テレサがあの仮面のヤツに連れ去られる!」


苦しそうにそう言いながらエリアは騎士の手を掴む。


「あの担がれている少女か!?」


騎士は仮面の男の方へと拳を構える。


「『蒼天鋼(ソウテンコウ)』」


そう言うと拳の先に盾が出現した。


「もう遅いよ」


騎士が盾を殴り仮面の男へと盾を飛ばす。

だが盾が当たるときには魔法陣ごと仮面の男は消えていた。


「テレサ…」


「少年!?少年!?少年!?」


エンブスがこっちに来る音がする...


「どうしましたかデュール団長!?その少年は?」


「この少年をヘルトまで連れて行け」


「残りの騎士は私についてこ……」


エリアは意識を飛ばした。







「ここは……ここはどこ?」


エリアが目を開けると見知らぬ場所で寝ていた。

エリアが半身を起こすと、こちらに気が付いた男が近づいてくる。

見覚えのあるような顔だ。


「起きたか少年!」


「あなたは…?」


「そうか、名乗るのを忘れていた!私は第ニ騎士団団長

ボウクル・デュールだ、よろしく、君の名前なんだい?」


デュール、どこかで聴いた名前だ。


「僕の名前はエリア・ブラグルです…」

 

「ブラグル…そうか、エリアくんかよろしく!」


「続けて聞くのですが、ここは?」


「ここはヘルトにあるレイラ修道院だ、今避難民の治療をしていてね、君はあれから少しの間眠っていたんだよ」


避難民、そうだ…。

エリアは全て思い出した。

父とクラージュで別れたこと。

母が死んだこと。


そして……


「妹は!?テレサはどこですか!?」


「……君の妹はあの仮面の魔人族に連れ去られた……すまない……私の力不足だ」


「そうですか……」


「お父さ、いや、三番隊騎士団団長スログ・ブラグルは知りませんか?」 


「ブラグいや、お父さんが直接どうなったという話は聞いてないが………残念なことにクラージュは壊滅した…だから…」


「そうですか…」


「お母さんは…」


「君のお母様は…すまないが、持ち帰ることができなかった」


「そうですか…」


エリアは暗い顔で俯く。


「これから僕たちはどうなるんですか…?」


「そうだな君たち避難民は残念ながら全員、貧民街に送られることになるだろう、ヘルトに避難民を受け入れるほどの容量がなかったんだ」


「そうですか…」


「そこでだ!君はまだ幼いだろ、君を私の信頼できる友の家に預けようと思っているのだが!どうだい?この提案はただの私の気まぐれだ!乗っておくのが吉だと思うがね!」


「そうですか…」 


エリアはもうどうでも良くなっていた。

大切なものは全て消えていった。

生きる気力がもう無かった。


「エリアくん、なぜそんな顔をしている?」


「なぜって…故郷も無くなって…僕の家族もいなくなって…笑ってるほうが変でしょ…」


「笑っていて何が変なのだい?君はこうして生きているんだ!笑った方が楽しいぞ」


「笑ったら楽しい...?別に僕は今生きたくて生きてるわけじゃないんですよ、こんなことならいっそ」


「死んだ方が良かったと?」


「はい...」

 

「ではキミは死にたいのかい?それは本心からでた言葉かい?」


「なんですかその質問………本心ですよ」


「本当に本心なのかい?」


「ちょっと…ちょっと静かにしてください!!」


エリアは自分の膝を叩き声を荒げる。


「もういいでしょ!ぼくにはお父さんもお母さんもテレサもいないんです!!!もうどうでもいいんです!!!ほっといてください!!!」


「ほっとけはしないね、君は僕が助けてしまったからね、最後まで、君の心も助けないと君を助けたことにはならないからね、もう一度聞こう、キミは死にたいのかい?キミの過去を無にするのかい?」


「死にたいに決まって………」


その時母と別れる前に言われたことを思い出した。


「しに、死にた、死にたくはないです………」


「それはどうして?」


「思い出したんです、お母さんに私の分まで生きてと言われたことを」


「ハッハッハッ!そうか、いいお母様だな、エリア君」


「それでも…死にたくないけど…生きたくもないんです…」


「お母様にそんなことを言われてもなお生きたくないと、ハッハッハッ!これは笑えるね!」


「何で!!!」


「君は生きる理由が欲しいのだろう?」


と笑いながら言う。


エリアはハッとなる


「これは私の勝手な考えだがな、()()()()()()()()()()()()、これこそがおそらく今までの君の生きる理由だったんだろ、それが無くなり、生きる理由を見失い、何故生きているのかわからなくなったそれが今の君なのではないか?だがそんなことがなんだというのだ、生きる理由なんてものは大事なものだが簡単に変わっていくものだ、変わったていいものだ、新しく見つければいいのだ、それにさきほど君は言っていたではないか、キミはもうとても立派な生きる理由を優しいお母様からもらっている」


エリアの目に涙が流れていた。


「それに、君のお父様、妹様が亡くなったと決まったわけじゃない、生きる理由なんてまだたくさんあるではないか」


「デュールさん…」


「なんだい?」


ボウクルは真剣な顔で返事をする。


「デュールさんの友達の家に預からせてもらってもいいですか?この生かしてもらった命お母さんの分まで生きたいですが、僕はお父さんと妹と探しそしてあの仮面の魔人を殺すために捧げます!これが()()()()()()()()()です」


エリアはそう胸に誓った。

その強い言葉を聞きボウクルはニッコリとする。


「わかった!では来週から少し離れた村の...」


「すみません!あと一ヶ月だけヘルトに居させてもらうことはできませんか?お父さんを待ちたいんですお願いします!」


「そうだな!では一ヶ月は私の家に泊めてあげよう!」


そして第二騎士団団長の家とは思えないボロい家にエリアは1ヶ月泊まることになる。





それから少し経った時

父スログ・ブラグルの遺体がヘルトに送られてきた。





―一ヶ月後―


ここは首都ヘルトから少し離れた小さな村。 


「ボウクルさんここ…酒場ですか?」


連れてこられたのは酒場だった。


「そうだ!酒場だからといって警戒することはないぞ!!安心しろこれからキミがお世話になるのは、とても優しい私の友だ!」


ボウクルは酒場の前で名前を叫ぶ。


「シャリア!!!シャリアはいるか!?」 


「そんな大きな声出さなくてもわかるわよ!!!」


そう言いながら明るい茶髪を一つくくりにした女性が家から飛び出してくる。


「紹介しよう!エリアくんこちらの明るく元気に飛び出してきた女性が!私の友!シャリア・フュービンだ」


「何よその紹介?それでどうしたのよ?珍しいわね、故郷に帰ってくるなんて、その子は?」


「ニ週間前ぐらいに『ラルク』で伝えただろ?」


「ニ週間前?そういえば…」


シャリアは思い出す。


―二週間前シャリアの酒場―


買い出しから戻ると『ラルク』の魔法陣が描かれた紙が青く光っていた。


「ん?誰からかしらって!こんなに魔力流してたら紙が崩れるでしょ!?」


シャリアは急いで魔法陣に手をかざすし魔法を流す。


「だれよ!?こんなに魔力流したらこっちの紙が崩れるでしょ!?」


「やっとでたかシャリア!10分ぐらい流してたぞ!」


「ボウクルね!?で要件は何よ!?早くしてよね!こっちの紙が崩れちゃうから!」


「そうか!今日からニ週間後ぐらいにシャリアの家に子どもを預けに行く、とりあえず16歳、成人になるまで育ててくれ!!」


「は!?何言ってんの!?自分で育てなさいよ!!ちょっと?ちょっと!?聞こえてるの!?」


ボウクルの『ラルク』の魔法陣が描かれた紙は崩れていた。


「私の紙が崩れてしまった!!」


―二週間後の今―


「そうね…そんなこともあったわ…怒りのあまり記憶から消えてたわ…『ラルク』で言ってた子がその子ってわけね…」


「思い出してくれたか!!そうだ連絡した通りだ!!ではよろしく頼むぞ!!」


僕はこんな人に励まされたのか?


とエリアはガッカリする。


「ボウクル?私が!いつ!引き取ると!言ったのよ!?アンタが助けたんだから!!アンタが育てたらいいじゃない!!」


「シャリア、私には無理だ、私は子育てには向いていない、

私には親というものがわからないからな」


ボウクルはエリアの目線まで腰をおろし肩を掴む。


「すまないエリアくん…ここがダメなら…君を預かってくれる場所を僕は知らない…君を助けてると僕が言ったのにな…」


とボウクルはシャリアは横目でチラチラと見ながら言う。


「い、いいわよ、私が預かってあげる」


と腕を組みながらそっぽをむいて言う。


「本当か!?良かったな!エリアくん!」


そう言いながらエリアを抱きしめる。


「それでその子はなんなの?」


「エリアくんはクラージュから避難している道中に魔人族に襲われた避難民だよ」


「へぇー…」


「よ、よろしくお願いしますフュービンさん」


「シャリアでいいわよ!よろしくエリアくん!」


そう言うとボウクルに指を差して言う。


「あんた私が預からなかったらどうするつもりだったのよ!?」


「もちろん私の家で育てていくつもりだったが」


「な!?じゃあなんで私の家に?」


「ここ一ヶ月はなんとか家に帰るようにしていたが、私は普段騎士団本部で泊まり込んでるからな、それにおそらくこれから魔族が増えるだろうからもっと忙しくなる、そんなこんなで私が預かってしまうとエリアくんの一人暮らしがはじまってしまうんだ!」


「そういうことね…」


「では、エリアくん、妹様のこともそしてあの仮面の魔人のことも16歳までだ!それが本当に君の生きる理由なのか考えるんだ!時間は十分にある!普通に生きることだって君はできるんだ!もちろん君が救ってもらった命はどう使おうと君のものだ!どう使おうと誰も止めはしない!だが念を押していう!16歳になるまでは勝手に探しにいく事は私とシャリアが許さないからね!!」


「はい!わかりました!」


「うん!」


「ちょっと!?なんなの!?ねぇボウクルなんなの!?そのすごく大切そうな話なんなの!?」


「お別れだエリアくん!まぁ、たまに会いに来るがな!!」


「え?無視…」


「はい!何から何までありがとうございました!!」


「ではさようならだ!!!」


そう言いボウクルはエンブスに乗りヘルトに帰って行った。


「では、改めてシャリアさんこれからよろしくお願いします!」


「こちらこそよろしくね、あとさっきの話は……まぁいいわ聞かれたくないなら聞かないでおくわ、ボウクルもだから無視してたっぽいし」


「いえいえ、後で話させていただきます」


ここから6年エリアはシャリアのもとで暮らすことになる。

今回で防衛前線都市クラージュ編はおわりです。

最初の章だからまぁ短いよね。

次から新章に行きたかったんですけど、、、、

シャリアさんとの日常を書こうか迷ってるんですよね。

本編として書くか、サブストーリーとして書くかうーーーん。

どっちがいいとかあれば教えてください。

新章を書くなら設定を練りに練り込むので時間はかかります。 

今回のエピソードの感想は、

エリアを立ち直らせるシーンすっごく難しかったです。

なぜなら私の中のエリアが全然立ち直らないから。

もしかしたらちょっと書き換えるかも。

書き換えてもエリアはちゃんと立ち直りますので安心してください。

あと戦闘シーン書くの難しいすぎ!

あとボウクルを真っ直ぐな人間として書いていったら空気読めない元気な人になってしまいました。

ごめんボウクル。


お知らせ

あとクラージュ編のep1は大幅に話を付け足しました。

キャラのちょっとした日常パートがないと愛着湧かないかなって思いまして。


では新しい試みとして

作者が今回の話を少し解説します。

1クラージュからヘルトへの一本道は他の都市へ分岐している道があります。例えたらクラージュからヘルトが一本の大通で、たまに他の都市、街につながる路地があるみたいな感じです。

2前のエピソード読めばわかりますが仮面の男は魔人王です。

もう魔人王って書こうかな!って思ったけど、エリアたちは 仮面の男が魔人王と知らないのでやめときました。

3魔人族は体が魔力でできているので斬られても血は出ません。魔力がでてくるのかな?

4エリアとテレサを逃すためにジュリエが最初に撃った

『魔力弾』ですが手前で爆発して目眩しになりましたよね。

あれは『魔力弾』ではなく『スバルトエイヌ』という煙幕を出す魔法です。ずる賢いですね『魔力弾』と言いながら目眩し。

5エリアとテレサが『ポイスト』と言って魔法陣から剣を出し いましたが、あれは2〜3Kgはいる魔法のカバンです。魔力量 で入る量は変わります。2〜3Kgは結構すごいです。

魔人王も使ってましたね。

闇討ちに使えそう。

6魔人王が『魔力弾』を撃つ時に飛び上がったのは『タイバス』という浮くことのできる魔法です。

魔力の消費がすごいです。

 

7ジュリエが魔人王の腕を片手で潰した力ですが。

 命を懸けてたんでしょうね。



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