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輪廻伝記〜この世界を生きている〜  作者: 今日 虚無
獣人の国スルト編

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37 仲間

今僕たちは下水路の隅に三人で横に並んで座っている。


リベル(スルトの首都)ではとなりの都市トッシュが魔族と魔人族に侵攻されたことを受けここリベルもいつ侵攻を受けるかわからないので安全が取れるまで避難勧告が出された。


そうなると僕たちは騎士団にも見つからず比較的に安全な避難場所はどこだ? となり、ネスとシェニーと一緒に走り回った結果たどり着いたのがここだった。

どうやら他にも訳ありだと思われる人たちもこの下水路に避難している。


(さっき僕がありがとうとか言って二人と別れて一人で旅に出ようとした矢先――その二人と一緒に避難……気まずい……)


(くそ気まずいじゃねぇかよ。あーどうするよ! 確かにエリアの旅の目的は妹を探すことと仮面の魔人を殺すことだろうけどよ……。やっぱり心のどこかで絶対に無理だと思っちまう……ノルダにそんなこと言うなとか啖呵切っておきながら……)


(あーもう私のバカ!! エリアは仮面の魔人を倒したいのよ!! それに妹を探したいのよ!! 何を躊躇してるの!! 騎士団に追われること? ギムレ(討伐者の集)の刺客に追われること? それとも魔人族と戦うこと? あーーーーもう!! それに……旅を始める時魔人族なんて私たちが強くなればいいとかエリアとネスに言って旅についてきた身……いざ魔人族と戦うとなると足がすくむ……情けない)


三人は下水路でそれぞれ思うことを頭の中でひたすらぐるぐるぐるぐる考えていた。

そんな気まずい沈黙の中シェニーが口を開く。


「あのさ、エリアとネスに私から言いたいことがあるの」


その言葉を聞いても二人とも返事を返さない。


「私はね、エリアとネスに会うまで一人で世界中を旅してたの。旅に出るまでは普通に起きて、普通に学校に行って、普通に家族と過ごして、普通に寝る、普通の人生を歩んでた。でも、いつしかそんな人生に疑問を抱いたの。私は楽しいのかって。もちろんその生活がつまらなかったわけじゃない、だけど、物足りなかった。それで旅に出たの。旅をしたら私の人生も少しは楽しくなるかなって思ってね。だけど現実は違った。なにかを願って行動しても思った通りの結果になるなんてことはない。それで時が経って、もう実家に帰ろうか悩んでたそんな中、エリアとネスに出会った。そしてエリアから妹を探すため、仮面の魔人を倒すためっていう旅の目的を聞いて、そんな大きな目的を持った旅についていけば私の人生も楽しくなるかもって考えちゃった。それで、エリアの目的を手伝うって言ってネスもなんとか巻き込めばもっと楽しいかもって。だからごめんなさいエリア!! 軽はずみに手伝うとかエリアの旅の目的を軽く考えて、本当は私のために旅について行ったの。ごめんネス!! こんな私のわがままに巻き込んで」


シェニーは下水路に響く大きな声で謝る。


「なんか俺に対する謝罪が軽い気もするが……巻き込んだとか考えなくていいシェニー。俺も自分の意思で結局は二人について行くって決めてんだからよ。それに俺にもシェニーみたいな気持ちがなかったのかって言われたら嘘になる。それと俺もエリアに謝りたいことがある。やっぱり俺は心のどこかで仮面の魔人と拐われた妹を探すこと、その仮面の魔人を殺すことなんて不可能だと思っちまってた。だからエリアが真に目的に近づくことを拒むようなことを言っちまっていたごめん」


「ごめんなさい!!」


その二人の謝罪にエリアが答える。


「いいよ二人とも、ここまで二人には助けられてきたし、僕も自分の力を過信していたんだ。最初の依頼なんて内心は一人であの異様な魔族を倒せるなんてことを考えてた。だけど、現実は力及ばず二人がいなかったから確実に僕は異様な魔族に殺されていた。だから二人に謝られる理由がないよ。二人は僕の命を救ってくれたんだから。それに僕は嬉しかったんだ。理由がなんであれ僕の目的を応援して助けてくれる仲間が増えて。本当なら二人を巻き込まず僕が最初から断ればよかったんだ……。これは僕の生きる理由を果たす旅なんだから……」


そうエリアは暗い声で言う。


「だから――ここで解散しよう」


「違う!! だから今度こそ私たちをエリアと目的を一緒にする仲間として旅をさせて!!」


そう言いながらシェニーが力強く立ち上がる。


「これは本心よ!! 仮面の魔人を倒すために本当に強くなるように頑張るし!! 妹さんだって全力で探す!!」


「そうだ。乗りかけた船だ俺もエリアの旅に連れてってくれ。今回は巻き込まらたわけじゃねぇぞシェニー、俺から言い出したんだ。それで絶対にエリアの妹は見つかるし、絶対に仮面の魔人を倒そう」


ネスも立ち上がるとそう言い座っているエリアに手を伸ばす。

シェニーも一緒にエリアに手を伸ばす。


「本当にいいの? これは僕の生きる理由を果たす旅だよ? 二人とも全然関係ないんだよ?」


「いいの!!」


「そうだ。嫌なら手――伸ばしてねぇよ」


二人の言葉を聞いてエリアは二人の手を取って立ち上がる。


「じゃあ……改めて……。これからよろしくお願いします!!」

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