33 魔人族の会合
「はいは~い、みんな集まって~」
ここはこの世界のどこか、空は暗く地も暗い場所。
そんな場所で黒髪の少女イェリスが大きな岩の玉座の前で手をたたいて人を募っている。
少女が手をたたいて人を募ると五人が玉座の前に集まる。
「はいみんな集まったね~、今日のお昼に例の作戦を決行しま~す」
「あのくだらない作戦か? そんなことするよりフレイヤを攻めたほうがいいだろ」
そう作戦に対して愚痴をこぼすのは赤い髪で目つきの悪く膝を立てて座っている男である。
「魔人王様に失礼でしょ」
灰色の長い髪の女が奥から歩いてきて玉座の前で膝をつきながら冷たく言う。
「おいおいパイネさんよ、そんなにカッカすんなよ」
「いやはやいやはや賑やかですな」
空気をなだめるように七三わけの白髪の老人が魔人王に膝を落とし頭を下げた状態で言う。
その老人の隣に静かに膝をついている茶髪の長い髪の少女。
「そうだぞ、今から俺の出番なんだから作戦にケチをつけないでくれよ、ガっハッハッハッ」
大柄で少し顎にひげを生やした茶髪短髪の男が魔人王に膝をつきながら大声で笑って言う。
赤髪の男も周りが魔人王に膝をついて横に並びだしたのを見て静かにその横一列に参加する。
「うむ、だいたい集まったようだな、ところでオーブントはどうした?」
岩の玉座に座っている男が黒髪の少女イェリスに問いかける。
「さぁ多分どこかで暴れてると思いますよ、探してきましょうか~?」
イェリスは魔人王の座る玉座の周りをうろうろとしながら言う。
「いや大丈夫だ、皆の者集まってくれたこと感謝しよう、これからリベル攻略を始める、皆もわかっていると思うがこの作戦の意義は大きく二つある、心して係るように、作戦指揮はイェリスに任せる、皆イェリスの指示に従ってくれ、私からは以上だ」
玉座から言葉を述べるのは灰色と黒が混ざった髪色の大柄でも小柄でもない男だ。
「はいは~い、ということで作戦の指揮を任されたイェリスだよ~みんなよろしくね~」
魔人王に指揮を任されるとイェリスは魔人王の座る玉座の前にヒョイと出てきてのんきにしゃべりだす。
「じゃあこれからみんなに作戦の概要を話すね~まぁそんな大した作戦じゃないけど~、気合を入れるように~」
「別に説明してくれなくたっていいんだぜ、大体はわかってるしよ」
赤髪の男は玉座に向かって膝をつきながら鼻で笑ったような口調で言うと少女は一瞬で赤髪の男の前に移動して魔方陣から鎌を取り出しのどに突き立てる。
「ねぇねぇ、さっきからうるさいよアスト、それ以上喋ると私君のこと殺しちゃうかも」
「ここで本気でやりあったって俺は構わないぜ」
負けじと言い返すアスト。
その言葉を聞いたイェリスはアストから距離を置き鎌を構える。
「じゃあほらたって~、剣を構えて~って、アストは剣じゃなかったね~」
アストも立ち上がり魔方陣を展開するがその時白髪で七三わけの老人が間に割って入る。
「いやはやいやはや、仲間内で戦うのはやめませんか? ただでさえ少ない魔人族が減ってしまっては悲しいです、もし戦うのであれば私も刀を抜くとしましょう」
そう言うと老人は腰に携える刀に手を添える。
「そこまでだイェリス、アスト、グシオン」
玉座に座っている魔人王が声を大きくして三人を止める。
「どうする~、アスト〜?」
「やめだ」
そう言うとアストは魔法陣を消して玉座を背にしてどこかに歩いていく。
「ちょっと作戦は聞かなくていいの~」
イェリスが離れていくアストに問いかける。
「いまはそんな気分じゃない、後で聞かせてくれ」
そう言いながら後方にいるイェリスに手を振るアスト。
「いやはやいやはや平和的に収まってくれてよかったです」
そう言いながら老人は腰に携えた刀から手をおろす。
「じゃあ今から数時間後に決行される作戦について話すよ~」




