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輪廻伝記〜この世界を生きている〜  作者: 今日 虚無
獣人の国スルト編

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26 公権力が怖い時ってあるよね

三人はノルダが置いて行ったであろうお金を持ってリベル(スルトの都市)の城門前にいた。

 

「ねぇ着いてから言うのもなんだけどさぁ」


何か暗い顔をしてシェニーが言う。


「昨日のことでお尋ね者になってたりしないよね?」


「んなことあるわけねぇだろ、俺たちは何も悪いことしてねぇんだしよ」


「ほ、ほんとに?」


「じゃあネスが行ってきてよ、最悪捕まるのはあんただけで済むし」


そう言いながらシェニーはネスの背中を押す。


「お、お、おい」

「びびってるじゃん」

「び、びびってねぇよ」


(なにやってるんだあの子たち?)


門の前で押し合ってるネスとシェニーを騎士が不審そうに見る。


「そんなことしてる方が怪しまれるよ!」


エリアは二人にやめるように言う。


「しょうがねぇな! わかった! 行くよ!」


そう言うとネスはガチガチに緊張しながら門まで歩いていき、騎士に入都許可証を見せる。


「はい確認しました、どうぞ」


騎士は三人の疑念に反して普通に通してくれた。

ネスは小さく手でエリアとシェニーに来いと合図をする。

それを見て安心した二人も許可書を見せて都市に入っていく。


「昨日のこと大丈夫だったのかな」


エリアが二人に小さな声で聞く。


「大丈夫だったんじゃない?」

「しらねぇー」


シェニーは普通にネスは不貞腐れたように返す。



―数分後、エリアたちが通った城門―


「おーい」


一人の名もなき騎士Aが城門を警備している騎士Bに手を振る。

城門を守っている騎士Bはそれを見るなり軽く手を振りかえす。


「どうしたんだこんなとこまで」


「騎士団本部からお尋ね者の似顔絵が配られたんでな渡しに来たんだ」


そう言うと騎士Aは四枚の紙を騎士Bに渡す。


「この人たちは何したんだ?」


「詳細は知らねぇが、昨夜の第四騎士団全滅の犯人らしいぞ」


「第四騎士団といえば、魔人族が出るとかいう噂の森に調査に行った団か、黒髪短髪と金髪短髪の人族の男二人と黒髪長髪の聖人族の女一人、泣いた狐の面をつけてフードを被った男の四人組ね……」


「四人で七騎士団の一つを潰すとかありえねぇよな! にしてもだれが描いたんだよこんな変な似顔絵! 探す気がないのかね、こんなんで何がわかんだよってな、わかるとしたら髪の色ぐらいだろ!」


そう言いながら騎士Bが持っている似顔絵を指差し笑う騎士A。

そんなAを無視して考える騎士B。


狐の面は知らないとして、この三人どこかで見たような……なんかついさっきなんだあいつらって……。


「そうだ!!!!」


「うわぁ、ビックリした」


思い出した時の気持ちよさに大きな声がでる騎士B。


「さっきの子たちだ! さっき門の前で何か揉めてる子たちがいたんだ!!」


「お、お、お、おい、こんな似顔絵でわかったのかよ!」


騎士Aは騎士Bが持っていた似顔絵をぶんどり凝視する。


「とりあえず騎士団に連絡だ! お尋ね者の三人はもうリベルに入ってる!」


―一方その頃―


お尋ね者になっていることも知らずに呑気に三人はご飯屋さんを探していた。


「お腹すいたねー」

「すいたなー」

「すいたー」


そう言いながらダラーとして歩く三人。


「寿司は?」


ネスがお寿司屋を指差し提案する。


「寿司は食べたくないか……な……」


だがエリアが嫌そうに言う。


「もうそこらへんの露店で食べよ」


そう言うとシェニーは露店に走り出し何かを買って持ってくる。


「はい焼き鳥!」


串にお肉や野菜が刺さった料理らしい。

三人は道の隅に寄って静かに焼き鳥を食べる。

リベルの街は忙しなく色々な人が道を右往左往通り過ぎていく。

その光景をただただ茫然と眺める三人。

昨日一気に色々なことが起こり無自覚だが疲れていたのだろう。

その時エリアがその光景に違和感を覚える。


(なんかあの騎士の人たち持ってる紙と僕たちをチラチラと見てるな〜、なんなんだろうあの紙…………紙……紙?)


隣にいたシェニーに小さな声で話しかける。


「シェニーあそこにいる騎士の人たち何してると思う?」

「ん? どこ?」

「あそこ、紙をチラチラ見てる人」

「うーん、あれはねー、たぶんー」

シェニーは脳死で喋っている最中だんだんとその光景に理解が追いついてくる。

「私たちを怪しい者かなにかだと思ってるんじゃないかな?」

そう言うシェニーの顔は引き攣った笑顔になっていた。

「駆け足で路地に入るよ、わかったエリア、ネス」

「わかった」

「ん? 聞いてなかった、おい」


三人は駆け足で路地裏に入っていく。

二人の騎士もその後をついていく。


「追ってきたってことはやっぱり私たちお尋ね者なんだよ……ノルダ……」


嘆きながら怒りを募らせるシェニー。

「じゃあさっきなんでリベルに入れたんだろう」

「そんなことは今はどうでもいいだろ、どうすんだこっから情報収集とかノルダを探すとかの話じゃねぇぞ」

シェニーが悩みながらも案を出す。

「えーと、えーと、とりあえず走って撒こう! 話し合えるなら話し合いたいけど……エリア、ネス話し合いに行ける?」

「無理」

「無理だ」

「じゃあ! 行くよ!」


そう言うと三人は一斉に走り出す。

それに合わせて騎士も走り出す。

悪いことした人って警察見たら内心は怖がってるのかな? 

でも警察の人に不意に声かけられたら怖いよね。

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