25 他人の考えはわからない
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」
一方その頃エリアたちはノルダに抱えられものすごい速度で森の中をかけていた。
速すぎて景色が一つも見えない。
(視界がぼやけよく見えないがノルダの足が青く光っている?)
ノルダはものの数十秒で森を抜けとエリアたちを降ろす。
「ここまできたら大丈夫でしょ、さすがにあの大勢の騎士たちを置いておってはこれまい」
あんな速度で走ったのにノルダは息切れ一つせずに話す。
あまりにもの速さに恐怖してエリアたちが息切れをしている。
「ノルダ説明して! あれはいったいどういうこと!? スルトの騎士団を全滅させて応援で駆け付けたのは五天様だし、あの騎士団長の人もノルダを見て五天様に連絡するみたいなこと言ってたし」
「そうだ、いいかげん教えろよ」
「なんであんなことしたんですかノルダさん」
シェニーはノルダに怒鳴りつけ、エリアとネスは真剣にノルダに問いただす。
ノルダはいつもと変わらず揚々とした態度で答える。
「秘密だよ」
その態度を見てシェニーは頭から煙が出るくらい怒り出す。
「少しは反省したらどうなの!? ノルダが反抗して指を差し返してくるから五天様には共犯だって思われてそうだし! そうだよ! なんであの時指さしてきたの! やったのはノルダじゃない! それに!!!!」
シェニーの怒りは止むことなく、さっきの出来事から普段のノルダの嫌いなところまで言い出し、しまいには魔法陣から槍を持ち出すほどだった。
さすがに槍を持ち出した時はエリアとネスが止めに入ったが、エリアとネスも心の中ではノルダに対して良い印象を持ってはいなかった。
(シェニーの言った通りなぜ騎士団を襲ったのか、なぜ僕たちに罪をなすりつけようとしたのか、それになぜ五天様の前で顔を面を見せないようにしていたのか)
そのことがエリア含めネスとシェニーの心の中で引っかかっていた。
ノルダはシェニーに怒号を浴びせられている最中一言も喋らなかったが、やっと一言。
「君たちに今回の出来事について謝らせてもらいたい、特に君たちに罪を擦ったのはごめん」
そう言いノルダは頭を下げる。
絶対に謝らないだろうと思っていた人がいざ謝ると三人は驚き? 戸惑い? のあまり、一気に怒る気もなくなった。
その反応を狙ったのかはわからないが、その一瞬の隙をつきノルダは三人に殴りかかる。
「なんで……」
「なっ………」
「絶対殺す……」
三人は抵抗する暇もなくノルダに気絶させられる。
意識が途切れる間際ノルダが一言。
「ごめん」
(ノルダさん、なんで僕たちに特訓をつけてくれたの? なんで仮面の魔人のことを聞いた時何かを考えてたの? 五天様のことを聞いたときなんで哀しそうだったの?)
「ノルダさん!!!!!!」
エリアは叫びながら目を覚ます。
辺りを見渡すと見知らぬ洞窟の中だった。
ネスとシェニーも隣で寝ている、だがノルダの姿は無かった。
洞窟の入り口にはノルダが置いてあったであろう袋に入ったお金があった。
エリアはすぐに二人の体をゆすって起こす。
「ノルダ許さん……ノルダ許さん……ノルダ殺す!!!!」
そう言いながらシェニーが目を覚ます。
「ノルダは!? ノルダはどこ!? って!! どこここ!!!!」
シェニーは血走った目でノルダを探すが見渡した辺りが見知らぬ場所で驚き大声をあげる。
その間エリアはネスの体をゆすって起こそうとしている。
だが一向に起きないネスを見かねて八つ当たりのようにシェニーがネスの頬を引っ叩く。
「はーやーくー起きなさい!!」
ベシン!!
「あ、え?」
ネスは目を擦りながら起き上がり辺りを見渡す。
「ここどこだ? あとなんか顔がいてぇ」
ネスの顔が痛い発言には二人とも一切触れず、とりあえず三人は無事に起き、これからどうするかについて話し合うこととなった。
「これからどうする? このままスルトを離れて別の国で情報集めするか、もう少しスルトに残るか」
「私はスルトでノルダを見つけて一発ぶん殴りたい」
「それはいくらなんでも無茶な話だが、特訓してたからまだリベルでの情報集めも十分とは言えねぇ、おれもスルトに残るのがいいな、まぁ最終判断はエリアに任せる」
エリアは少し悩み結論を出す。
「とりあえずお腹すいたしスルトに行かない? ご飯ないし、ノルダさんが置いていったであろうお金もあるし」
「そうだね、お腹すいた」
「ひとまず飯だ」
なんか気がついたらノルダどっか行ってた。




