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輪廻伝記〜この世界を生きている〜  作者: 今日 虚無
獣人の国スルト編

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24 後から来るやつは絶対に強い

最初に気絶させた騎士の手が青く光っていたことに気づいたノルダは急いで木の上の家に戻る。

その慌てようにエリアたちは質問攻めをやめてポカーンと見守っていた。

すぐにノルダはフードを被って家から出てきて、地面へと降り立つ。

それと同時になにかものすごいものがエリアたちのすぐ近くに降り立つ。


ドゴォォォォン!!


降り立つと同時にものすごい砂埃を上げる。

エリアたちはその砂埃の方へと目を凝らす。


(なんだ……? 砂埃でよく見えない……人影……? ん!?)


その人影はだんだんとくっきり見えるようになっていき、それがなんなのか視認できるようになった。

白く先に行くほど黒くなるグラデーションのかかった長く美しい髪で、身長はそれほど高いわけではないその姿は……。


「ルフル・スルト様!!!!!!!」


シェニーは驚きのあまり倒れそうになる。

ルフルは森に到着すると多くの倒れている騎士を確認し、すぐに倒れているロスクンの元へ行きロスクンの安否を確認する。


(良かった生きていますね、他の騎士たちも気絶しているだけのように見えますね)


「そこの三人、これはあなたたちがやったのですか?」


三人にルフルから冷たい目線が贈られる。

三人はその目線、あまりにも強い目線で睨まれたことにより恐怖のあまり声が出なかった。

なので首を振りながらこいつがやったとフードをかぶっているノルダを指さす。

ノルダは無言でエリアたちに指をさし返す。


「なんで嘘ついてるんですか!」

「なんで嘘つくんだよ!」

「何嘘ついてんの!」


三人は声をあげる。


「どっちなんですか? 今ならまだ罪は軽くなりますよ」


ルフルは戸惑いながら言う。

だが依然変わらず指をさし合うエリアたちとノルダ。


「もう指の差し合いはいいです、それよりそこのフードをかぶっている人、顔ぐらい見せたらどうですか? あなたが泣いている狐の面の人なんですよね、報告でバレてますよ」


ノルダはフードを深く被り直し見せない意思を示す。


「そうですか……まぁ、騎士たちを倒したのがどちらかわからない以上、どちらも連行するしかありません、抵抗しないでくださいね」


ルフルは武器も持たずに近づいてくる。

近づいてくるルフルに対して、いや、倒れているルフルの後ろ……騎士に対してノルダが魔力弾を撃つ。

ルフルはすぐさま騎士の方へ駆けつけ魔力障壁を展開する。 

ボン!!!!


魔力弾とは思えない小さな爆発が起こるとあたりが一瞬で煙で覆われる。


(『スライワンディ(手探り)』ですか、騙されましたね……)


ルフルは腰にある短刀を抜くと唱える。


「『絵空事(エソラゴト)』」


そう言うと短刀の先が青く光だし、ルフルが空間にその短刀の先を使い『風』の文字を書くと、その文字を中心に風が起こり煙が散っていく。

煙が散るともうそこには四人の姿はそこにはなかった。


(あのフードを被った男……顔は見れなかったですが、あれが狐の面の人だったのだろうか……はったりで言ってみたは良いものの確認したかった……それよりもまず騎士団に連絡を、流石にこの人数を私一人では、運べな……)


その時ポケットに入ってた『ラルク(繋ぐ手)』の魔法陣が描かれた紙の魔法陣の半分が青く光り始める。 


「ルフルさん! なにしてるんですか! 騎士団総団長に勝手に動かれたらこっちが困るんです! 色々と言われるのは私なんですよルフルさん!!」


よほど怒っているだろう声が魔法陣から鳴り響く。


「その声女王様ですか? ちょうどよかったです」


「ちょうどよかったじゃありません! 早く帰ってきてください!」


「こちらに騎士団を送っていただきたい、第四騎士団が全員気絶していますので」


「もう第一騎士団をあなたを連れ戻すために送ってます!」


「流石です、ありがとうございます、では」


「ちょっと!? なに勝手に終わらせようと!? まだ話は……」


そんな言葉を無視してルフルは『ラルク』の魔法陣に魔力を流すのをやめて通信を切る。



―一方その頃―


「うわぁぁぁぁぁぁぁ」


エリアたち三人は悲鳴をあげていた。

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