13 特訓!? どゆこと?
この世界は五つの知性ある種族、人族、聖人族、獣人族、巨人族、竜人族、がそれぞれの国を造り世界を統べている。そして魔人族が世界の敵として存在している世界。そんな世界で生きる一人の人間の物語。
ノルダの唐突な特訓をしてあげよう発言を聞いた三人はひそひそ話をするために集まる。
「ねぇ、これどういうことなの? 急になんなのあれ?」
「わかんないよ」
「なんで急にこんな話になったんだ?」
「いや、わかんないよ」
「とりあえずどうするよ、特訓受けるのか?」
「受けるわけないでしょ! あんな会って数分の誰かもわからない人の特訓」
「でも今のままじゃ僕の目的の仮面の魔人を倒すには程遠いし、あんなに強い人の特訓を受けるのもありかなって」
「それもそうだな……」
「エリアの旅に同行している以上なるべくエリアの言うことをかなえたいけど……ごめん! 私は嫌だ! だって怖いじゃない! それに怪しすぎる!」
「おーい話し合いは終わったかな? それでどうする? 特訓受けるの?」
三人がひそひそと相談している様子をただただ呆然と見ていたノルダが言う。
(上級魔族をあんな一瞬で倒せる人には変わりない、そんな人に教えてもらえるなら怪しくてもその価値はある、シェニーには悪いけど……)
「受けます」
不安そうにもけれど真剣な眼差しでエリアが言う。
その言葉を聞き露骨にシェニーはエリアの後ろで嫌がっていた。
「よし! じゃあ僕の家に行こうか」
そう言いながらノルダは首都リベルから少し離れた森の方にへと歩き出す。
受けると言いながらも信用に足らなすぎるので三人は最大限に警戒してノルダについて行く。
「これ本当にあいつの家に向かってるの?」
シェニーは不安そうにエリアとネスに話しかける。
今エリアたち三人はリベルから少し離れた森の中を歩いている。
森の中は魔族が潜んでいて危険なので、通常家は平地か、都市内にあると考えられるが、今歩いているのは森の中だ。
「エリアちょっと聞いてみてよ」
シェニーがエリアの腹を肘で突きながら言う。
「えぇ……」
少し嫌そうにしつつもエリアは緊張した声でノルダに尋ねる。
「あの~家はまださきですか?」
「もうすぐだよ、そういえばエリア君だっけ?さっき過去に似た仮面の魔人がどうこう言ってたけど詳しく教えてくれたりしないかな?」
そう言いながら三人の先頭を歩くノルダ。
「詳しくっていうのは?」
「そうだな~、どんな仮面だったとか、変わった行動とか、身長とかかな」
「身長は170ぐらいでした、六年前当時僕も小さいかったので何とも言えませんが、仮面は目に穴が開いていてあとは真っ白でした、あとはそいつに妹を拐われました、こんなことを聞くということはノルダさんも何か知ってるんですか?」
「いいや? ただ気になっただけだよ、聞いた感じもそんな魔人は知らないね、でも妙なのは君の妹を連れ去ったって部分かな」
「それはどういう?」
そう聞き返したのと同時にノルダの家に着いた。
森の中ではあるがノルダが木を切って開拓したのであろう一本の大木を目印にその周りがきれいに整地されていた。
その整地された土地の中心の大木の上には小さくはあるが家が建てられていた。
(ノルダさんの家、案外きちんとした家だ、ひとまずは安心かな、でも見た感じ梯子とか階段がない、どうやって上に上がるんだろう)
「ようこそ僕の家へ」
「あれがお前の家なのか?」
ネスが木の上の家に指をさす。
「そうだよ、建てるの結構大変だったんだよね、そんなことはどうでもよくて特訓を始めようといいたいところだけど、残念ながらもうすぐ日が暮れる今日はひとまず休憩、明日の朝起こしに来るから、じゃあ今夜はごゆっくり〜」
そう言いエリアたちに手を振ってから木の上へとすごい身のこなしで枝をつたいあがっていった。
「え?」
三人はまたも困惑の声を上げる。
「なんなのあいつ!!!!」
シェニーが怒りの声を上げる。
「とりあえずご飯食べますか……」
「そうだな……」
「野宿はもう嫌だ!!!!!! お前の家に泊めさせろ!!!!!!!!」
シェニーは怒りにまかせノルダの家に向かって怒号を浴びせる。
そんな声を聴きながらノルダは優雅に身支度をしていた。




